独学資格ガイド

簿記1級(日商簿記検定:1級)

(ぼき1きゅう/にっしょうぼきけんてい1きゅう)

資格評価:1つ星

独学可否:独学合格は可能。管理人未取得。


さくいん

簿記1級とは?簿記1級の特典合格率と難易度簿記1級か、税理士簿記論かがんばれる理由のある人だけ相当な決意が必要まとめ資格メモ‐試験日程・費用など


簿記1級とは?

 簿記1級とは、求人数が平均で「300件」と、求人のある資格である。多いといっていいだろう。

 簿記1級は、ハロワ登録資格の求人数にて、見事に、TOP100内にランクインしている。

 ちなみに、簿記2級は「1,500件前後」で、簿記3級は「1,400件前後」の求人である。

 ところで、「簿記1級必須」といったような、直に1級そのものを名指しする求人は多くない。

 よくある文言は「簿記2級以上」で、「以上」部分に1級が含まれているわけだが、1級取得者の絶対数が少ないからかと思われる。

 賃金は、2級・3級と比べると格段に高く、賞与付きも多々ある。

 当人の知識と経験を買われ、経理職のエキスパートや管理職候補として採用されるからである。

 とはいえ、額面が2級・3級と変わらない求人が多いのも事実である。

 求人先は、建築業や物品販売業、サービス業といった一般企業だけでなく、会計事務所からも多々ある。

 ハローワーク平均求人数:311人(2018年8月調査)

 当該資格の最新データは、「ハローワーク資格別求人数データ」にあります。

 ところで、ハロワ登録資格の求人数1位~200位は…、

 H30 資格求人数 TOP100

 H30 資格求人数 TOP101-200

 …を、参考ください。


簿記1級の特典

 簿記1級は、ご存知のように、簿記資格の最高峰であるので、合格者には特典が付与される。

 一番大きいのは、簿記1級に合格すると、税理士の受験資格が得られることである。

 後述するが、簿記1級を積極的に狙う理由は、当該「税理士の受験資格」ぐらいである。

 これ以外は、公式によると、大学の推薦に有利だったり、職業訓練の指導員試験で一部免除されたりするが、大多数の人にはあまり関係がないだろう。


合格率と難易度

 合格率は例年10%台を推移してきたが、最近では、「約8%」に落ち込んで来ている。

 もとより、商業簿記・会計学、工業簿記・原価計算とボリュームが多かったが、昨今の会計制度の変容によって、試験内容・出題論点が増えるとともに難易度も上がり、さらなる難関資格となった。

 しかも、試験科目ごとに合格最低点(個々に4割以上の得点がないとダメ)が設定されており、どの試験科目も手が抜けないため、簿記系資格の最高峰にふさわしい試験となっている。

 ちなみに、合格ラインは「7割」の得点である。


簿記1級か、税理士簿記論か

 簿記1級で一番難しいのは、試験勉強云々以上に、「受験の決意」である。

 簿記1級には、税理士試験の「簿記論」というライバルが存在するからである。

 大学・短大等で「経済学」などを履修していると、当該単位だけで税理士試験の受験資格となる。

 経済学は、経済学部の学生のみならず、一般教養で取る学生も多いので、結構な人に税理士の受験資格があることになる。

 故に、結構な数の人は、簿記1級がなくても税理士試験が受験できるわけである。

 このため、簿記の上級資格を取ろう!と思った場合、『同じ時間と労力を費やすなら、簿記1級より、税理士の簿記論に挑戦するのも、大いにあり』という選択肢が生まれるのである。

 簿記論の科目合格は、簿記1級と同程度か、若しくはそれ以上に評価される『資格』である。能力証明は言うまでもない。

 また、合格率は、両者とも「10%前後」で大差はない。

 勉強期間も、おおよそ半年から1年と、違いがない。

 もちろん、難易度は簿記論の方が高いが、手間の点で、一概に言えない。

 というのも、簿記論では、簿記1級の試験科目である会計学の出題はなく、それに、工業簿記や原価計算の出題がないので、労力的には“どっこいどっこい”になってしまうのである。

 逆に、工業簿記や原価計算が苦手という人は、簿記論の方に相性がよいと言わざるを得ない。

 このように、簿記1級受験の決断には、「価値的に」「相性的に」「時間的に」、税理士試験の簿記論を併せて考えねばならないのである。

 で、簿記論の受験を踏まえると、『税理士試験』という長丁場の試験の当否を考慮に入れなくてはならず、“最終合格できるのかよ”とか“中途半端に1科目だけ合格しても意味ないジャン”といったように、考えが麻の如くまとまらなくなるのである。


簿記1級は、がんばれる理由のある人だけ

 簿記1級の受験生として最適な方は、「税理士というキャリアを本気で考えていて、税理士の受験資格が“ない”人」である。

 こうした人は、簿記1級取得に大いなる“価値”があり、だからこそ、がんばれる。

 そのほか、会計指導者になりたいとか、専門学校等で講師や教師になりたいといった強い思いがあれば、簿記1級という試験を勝ち抜くことができよう。

 また、経理職に長年奉職してきた人が、自身のキャリアの総決算的な意味合いで取るとか、昨今の簿記状況を再勉強するとかであれば、取得を勧められる。

 このように、簿記1級に関して、明白なイメージや目的意識、具体的な取得価値が固まっている人は、「費やす物と得られる物が引き合う」ので、簿記1級に挑戦すべきである。

 単に「1級に憧れる」といった、緩い動機では受験しない方がよく、決意が固まるまでは待った方がよい。

 というのも、「費やす物と得られる物が“まったく”引き合わない」ので、高確率で挫折するからである。

 人間は、馬のニンジン同様に、「利得」が対応していないと動かないし、最初は動けても、次第に、動けなくなる。。

 憧れだけでは、試験勉強の現実に、身体も頭もついてこない。


再度言うが、相当な決意が必要

 先も述べたが、簿記1級は、税理士を目指しているが受験資格のない人等以外には、「これ」といった利点がないので、相当な決意と覚悟がないと、試験勉強が続かない。

 そのうえ、教材のボリュームの多さが、やる気の“蒸発”に追討ちをかける。

 簿記1級の市販教材は、試験の科目別で編まれており、おおむね、テキスト3~4冊・問題集3~4冊でシリーズ化されていて、簿記2級の倍以上の分量を誇る。

 単価はそれぞれ2,000円強で、教材代だけで12,000円~16,000円強かかり、過去問を加えて2万円近い費えとなる。

 このように、簿記1級は、分量的に、コスト的に、かなりのものがある。

 本屋の店先で、簿記1級の教材がド~ンと積み上がった机を想像してから、受験を決断する方が無難であろう。


まとめ

 簿記1級は、Cクラスとした。

 というのも、簿記1級は“二の足を踏む試験”だからで、加えて、よほどに強い意志がないと、合格できないからである。

 多くの人にとって、「費やす物と得られる物が引き合わない」ので、やる気の維持が最高峰に難しい試験である。

 税理士試験の受験資格があるわたしからすると、「簿記1級」の取得に費やされる時間・コスト・労力と、簿記1級の合格証書とは、全く引き合わない。

 簿記1級を受験するなら、簿記論を受けるだろう。簿記論の方が難しいが、まだ「合格に夢と価値がある」からである。わたしは、「エサ」がないと、動けない。

 なお、就職や転職目的なら、簿記2級や3級で十分であり、簿記1級までは必要でない。

 簿記1級は、個々の事情によって大差のある『取得価値』をきちんと見極めた上で受験すべきであり、従って、一般の老若男女が争って取得する必要もないことから、Cクラスの資格とした。

簿記1級の資格メモ

 簿記1級に関する、一般的事柄や試験日程・日時、取得に要する費用等を、以下にまとめました。

簿記1級の一般事項

 商工会議所の実施する「公的資格」で、定番の評価がある。

 簿記1級は、検定試験であり、一定の能力評価がなされる。

 簿記1級は、一般によく知られている資格なので、面接で説明を省略できる。

 簿記1級に、受験資格はない。2級や3級がないと受けられないわけではありません。

簿記1級の試験日程・日時

 例年、6月・11月の、1年に「2回」行われる。2級・3級のように「2月」は実施されないので注意。

 申込み日は、おおむね本試験日の2ヶ月前より受付開始である。

 願書配布も、おおむね本試験日の2ヶ月前より受付開始である。

 願書の配布先は、おおむね商工会議所だが、大きな書店で配られているので、受付に聞いてみるのが吉。

 なお、本ページの作成時では、簿記1級は、「商工会議所」が主催しています。念のため、「簿記1級 公式」などで検索をかけて、必ず正式なソースで情報を検証してください。

簿記1級のめやす取得費用

 一口で言うと、「30,000円前後」である。

 テキスト4冊で、おおむね計8,000円強。

 過去問も4冊で、おおむね計8,000円強。

 過去問は、おおむね3,000円強。

 受験料は、7,710円(例年価格)。交通費や切手代等の雑費を2,000円ほど見込んで…、

 総計は、「30,000円弱」という次第である。

 そのほか、予想問題集などの予備教材の予算を見込んでおく。

 価格参考:アマゾン-簿記1級

試験に関すること

 簿記1級の難易度を一口で言うなら、「難」である。

 合格率は、おおむね8%~10%である。9割は落ちる試験である。

 勉強期間は、おおむね6ヶ月以上は見ておく。

補足コンテンツ/関連リンク

 簿記に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。

 興味のある方は、「簿記2級:ブログ記事」や「簿記3級:ブログ記事」をばご参考ください。

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