簿記3級の勉強時間

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 簿記3級の独学合格に必要な勉強時間は、おおむね60時間から70時間。「1ヶ月~3ヶ月」の勉強期間を見ておく。が、簿記3級は格段に難化しているので、本試験の出題如何によっては、長引く可能性が高い。簿記2級予定でも「1ヶ月」。

60~70時間の3ヶ月だが

 結論から言うと、簿記3級の独学合格に必要な勉強時間は、おおむね60時間から70時間です。

 1日1~2時間のお勉強で、時々休んで、「3ヶ月」の勉強期間を見ておきます。

 「3ヶ月」あれば、おおむねすべての論点は消化できますが、後述するように、簿記3級は格段に難化しているので、受かるまで時間のかかる公算が大です。

絶賛難化中‐簿記3級は“勉強しないと受からない”

 かつては、「3日で受かる」などと揶揄されていた簿記3級ですが、完全に潮目が変わって、昨今の試験は、格段に「難化」しています。

 4~5割が「ざら」だった合格率は、直近では2~3割台に落ち込んでおり、そうカンタンには受からない試験に変貌しています。

 以前は、代表的な仕訳が切れて、試験で定番・頻出の論点さえできれば、試験に通っていました。

 しかし、試験の方針が、「実務重視」路線に切り替わったため、従来の仕訳問題はもとより、帳簿記帳や帳簿組織、簿記一巡の流れまでが「試験問題」となり、格段に難しくなっています。

 このため、簿記3級の試験勉強も、今後の傾向に応じて、「長期化」することが予想されます。

 おおむね『3ヶ月』ですが、それ以上の期間も念頭においておくほうが無難です。

 繰り返しになるんですが、ホントもう、簿記3級はカンタンに受からなくなっています。

練習と訓練なので時間がいる

 ところで、簿記3級の勉強時間で「何をするの?」かというと、一口で言えば、練習と訓練です。

 「簿記3級を勉強する前に知っておきたい3つのこと」でも述べているのですが、簿記とは「動詞」です。

 簿記の試験勉強は、机の前に座って頭を動かすだけの、“頭脳労働”ではないのです。

 仕訳を切って電卓を叩くという、身体作業を行うのが、簿記3級の試験勉強です。

 言うなれば、帳簿記入という動作を身体に憶えこませるための、練習・訓練期間が、「3ヶ月」という勉強時間です。

1~3ヶ月

 簿記3級の試験勉強期間は、先述したように、おおむね「3ヶ月」です。

 が、この数字はあくまで一般的なものであり、勉強時間が多く取れる人なら、「1~2ヶ月」くらいで、合格ラインの実力は身に付きます。

 先に述べたように、簿記で一番モノを言うのは練習と訓練なので、集中して回数をこなしたなら、勉強時間は格段に短くなります。

 しかし、反面、『相性』の問題もあります。

 勘のいい人や要領のいい人なら、スラスラっとできてしまいますが、わたしのようなドン臭い鈍い人なら、結構な時間がかかることは、覚悟しておきましょう。

 でもまあ、まじめに勉強していれば、どんな人でも相応の実力が身について、合格できます。世界のほとんどで“簿記られている”ことを鑑みれば、多少ドン亀な人でも、“根気さえあれば”、大丈夫です。

簿記2級予定者でも「1ヶ月」

 かつて、簿記2級を予定しているなら、簿記3級は「1週間くらい」でよいと述べていました。

 というのも、かつての3級は、難しい論点がなかったので、ざっと済ませて早々に2級に進んだ方がよかったからです。

 しかし、現状では、「1週間」はダメです。

 最近の簿記2級を踏まえると、簿記3級には、「1ヶ月」くらいの時間を見ておきます。

 というのも、簿記2級にて、簿記3級で勉強する「帳簿」の問題が、かなり突っ込んで問われるようになったからです。

 有体に言うと、簿記“2級”の試験で、「帳簿の付け方・記入方法」に、『配点がなされる』ときがあり、たとえば、「摘要欄が正しく記入できているか」「貸/借が正しいか」「ちゃんと帳簿を締め切っているか」などなど、簿記3級にて、帳簿についてしっかり勉強していないと、簿記2級の第2問あたりで、足元を思いっきり、すくわれてしまいます。

 「帳簿の練習不足」は、難化した簿記2級では、致命的な失点にならざるを得ません。

 これは個人的な憶測ですが、『簿記2級からスタートした受験生は、どうしても、3級の論点である帳簿関係が手薄→そんな奴らを、敢えて“狩る”問題を出す』的な感がぷんぷんします。

 昨今の傾向はこんな次第なので、簿記2級が目標という方でも、「帳簿」が絡んでくるところは、本当に丁寧に、練習・訓練してきっちり消化しておいてください。

最終合格まで、6ヶ月から1年の可能性も

 かつては、簿記3級の短期合格はざらにありました。

 というのも、試験問題は頻出・定番で多くが占められており、パターン学習と暗記と記憶で何とか受かっていたからです。

 しかし、最近の本試験では、定番・頻出の問題のほか、新問題や新論点が顔を見せるようになり、格段に受かり難くなっています。

 また、「問うていること」は同じでも、問題文を変えてきたり、資料の出し方を変えたりするなど、変則的な出題が多くなっています。

 加えて、出題者は、『パターン学習と暗記と記憶でゴリ押しする受験生』を、目の敵にしている傾向が見受けられ、試験問題のパターン化は、ますます、なくなっていきそうです。

 本試験の傾向は、パターン化の逆、つまり、読解力、理解力、応用力を求める問題が増えています。

 こんな次第で、簿記3級は、最終合格まで、手こずる可能性が大です。

 簿記3級のすべての論点を習得するには、先に述べたように「3ヶ月」です。

 しかし、不幸にも難しい試験が続くと、最終合格まで、6ヶ月から1年くらいの時間を食う可能性もあることを、頭の片隅に置いていてください。

 1回で合格が理想ですが、ちゃんと勉強していても、2~3回、受けなければならないこともある、と覚悟しておく方が、気が楽です。

 なお、簿記試験では、時折、救済試験が行われて、累積した受験生を一掃するときがあるので、極端な難試験に当たっても、くじけず、受験を続ける方がよいでしょう。

簿記3級のこまごましたもの

 簿記3級の勉強方法は「独学の簿記3級:商業簿記」を、独学向け教材については「簿記3級の教材レビュー」をばご覧ください。

 簿記3級でも、高品質な計算機を使いましょう。絶対に楽です。計算機を選ぶ際は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」を参考にしてみてください。

 が、読んで考えるのがめんどくさい人は、「売れ筋の電卓は、結局なに?」で選ぶか、わたしが愛用している「DF-120GT」を買えばいいでしょう。

 簿記3級に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。興味のある方は、「簿記3級:ブログ記事」をばご参考ください。

 また、簿記3級の求人数等を、「簿記3級独学資格ガイド」に挙げていますので、ご高覧をば。

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