独学資格ガイド

マンション管理士

(まんしょん・かんりし)

資格評価:1つ星

独学可否:独学合格は可能。管理人未取得。


さくいん

マンション管理士とは?名称独占資格コンサルタント難易度合格率勉強時間取るべきか取らざるべきかまとめ資格メモ‐試験日程・費用など


マンション管理士とは?

 マンション管理士のハロワの求人数は、「平均12件前後」であり、極めて少ない求人しかない資格である。

 ところで、同じ不動産資格の宅地建物取引士(宅建)が「1,400件前後」で、管理業務主任者が「120件前後」である。

 後述しているが、マンション管理士は名称独占資格でしかなく、また、これといった特権もなく、設置義務等もないので法的需要もない。桁違いに少ない求人数も、首肯できる。

 ハローワーク平均求人数:15人(2018年8月調査)

 当該資格の最新データは、「ハローワーク資格別求人数データ」にあります。

 ところで、ハロワ登録資格の求人数1位~200位は…、

 H30 資格求人数 TOP100

 H30 資格求人数 TOP101-200

 …を、参考ください。


マンション管理士とは、名称独占資格

 結論から言うと、マンション管理士は「名称独占資格」であり、「マンション管理士」と名乗れるだけの権能しかなく、独占業務がない。

 ゆえに、当該資格があるからといって、名称以外の特権が付与されるものではない。

 先の宅建や管理業務主任者が「必置資格」であり、取得者に法的需要が見込まれるのに比べると、何も付与されないマンション管理士は、資格として『弱い』。

 後述するが、マンション管理士は、マンション管理のコンサルタント資格なのだが、マンションのコンサルが独占業務ではないため、マンション管理士でなくても“マンションのコンサルができてしまう”のである。

 つまり、“マンション・コンサルタント”や“マンション・アドバイザー”と名乗って、コンサルティング業務を行うのは、法的に禁じられていないのである。

 先も言ったように、あくまで「マンション管理士」と名乗る際に、当該資格が必要なだけである。

 また、『業界内資格』としても、マンション管理士の立場はない。

 マンション管理士の存在(人数)が、マンション管理業者やマンション管理組合の特別な評価につながるわけではなく、金融機関からの借入利息の割引があったり行政からの補助金があるといった特典もない。

 加えて知名度も低く、以上のことから、マンション管理士は、資格として強くはないといわざるをえない。


マンション管理士はコンサルタント。

 マンション管理士は、マンションの管理組合に対して、マンション管理に関する相談・助言・指導を行うコンサルタント資格である。

 たとえば、管理組合から管理費や修繕積立金の未納の相談があったとしたら、催告・請求の実務から、訴訟の手続き及び競売まで、法的知識に乏しいマンション管理組合の援助に当たる、といった次第である。

 もちろん、法的支援のみならず、マンションの本体や設備・器具に関する問題、大規模修繕・定期修繕などの計画や企画への助言指導援助なども行う。

 このように、マンション管理士の業務は、マンションに関するほとんどが対象となっており、本試験も応じて、マンションに関する広範囲の事項が出題される、といった手合いである。


マンション管理士の難易度

 結論から言うと、マンション管理士試験の難易度は、管理業務主任者より格段に難しく、宅建よりもやや難しい、である。

 先述したように、マンション管理士はコンサル資格であるため、マンション管理に関する幅広く深い知識が問われる。

 たとえば、先の例の管理費や修繕積立金が未納の場合、最終的にはマンションを競売して回収するのだが、マンション管理士がそういう相談を受けても大丈夫なように、当該競売手続きに関する問題が、条文知識のみならず、実務的事柄まで、深く出題される。

 このため、数は多くはないが、宅建より難しい問題が出題される。

 なお、マンション管理士は、管理業務主任者より倍は難しい。試験科目の「民法等」や「建築・設備」などは、如実に難しくなっている。

 加えて、目に見えない難易度としては、教材の乏しさである。

 宅建は多数が受験するので、入門書やビギナー教材が豊富で勉強しやすいのに対し、マンション管理士は受験者数が宅建の1割程度のため、教材のバラエティに乏しく、勉強し難い資格となっている。

 こうした教材事情のため、殊更に、マンション管理士が難儀な試験となっている。


マンション管理士の合格率

 マンション管理士の合格率は「おおむね7~8%」である。

 宅建が「17%前後」で、管理業務主任者が「20%前後」であるから、格段にマンション管理士の合格率は低い。

 まあ、敢えて穿った見方をすれば、マンション管理士は、合格者がそれほど要らない、人数が少なくても社会経済上支障はない、という側面があるだろう。

 宅建や管理業務主任者は「必置資格」であるため、あまりに合格者の人数を絞ると、社会経済に混乱をもたらしかねない。(有資格者がいないと廃業や営業禁止になってしまうため。)

 マンション管理士は、先述したように、「名称独占資格」でしかないため、公益上の混乱も少なく、このため、のびのびと試験を難しくできるのであろう、と推測する。


マンション管理士の勉強時間

 マンション管理士の勉強時間は、「500時間から600時間」と言われている。

 宅建が「300~400時間」、管理業務主任者が「200~300時間」と言われており、時間がかかる。

 が、マンション管理士の受験生は、7~8割が宅建や管理業務主任者の取得者であるので、試験科目の何科目かに、ある程度の前提知識があり、マンション管理士試験向けにプラスアルファするだけで済む人も多い。

 これら有資格者の勉強時間は、額面どおりにはならないように思われるが、全くゼロからなら、「500時間から600時間」くらいは見ておくべきである。


取るべきか取らざるべきか

 マンション管理士を取るべきか取らざるべきかは、その人のマンションに対する経験・知識・経歴にかかっている。

 たとえば、ゼネコンでマンション建設に長年携わってきたとか、建築事務所でマンションの設計をしていたとか、ビルメンテナンスの会社に勤めていたといった経歴があるなら、マンション管理士を活かすことはできよう。

 また、マンションや不動産の法的知識が豊富な弁護士や司法書士、行政書士といった士業の人々も、マンション管理士を取得することで、他業者と差別化することができよう。

 言うまでもなく、管理業務主任者としてマンション管理業者に奉職していて、組合運営のノウハウを積んでいるなら、マンション管理士を活かせられるだろう。

 そのほか、マンション購入に関する相談を受けるFP(ファイナンシャルプランナー)も、相性はよい。

 返済プランしか企図できないFPに比べたら、マンションの価値の当否についてもっと深く切り込んだプランニングできるだろう。当然、差別化できる。

 マンション管理士を取っても損はないのは、ざっと上記のような人たちである。

 反対に言うと、マンションに関する何の経験も知識も経歴もないなら、マンション管理士を取る必要は微塵ない。活かすことが極めて難しいからである。

 本当に“腕に覚え”がないと、単に「マンション管理士」と名乗れるだけであるから、取っても活躍の場はない。下手に取得しても、履歴書の飾りになるだけである。

 もっと言うと、“腕に覚え”があって、現在、実際に“腕を振るっている”人たちに、『差別化という後方支援』をするのがマンション管理士である。


ただ、マンション管理士が未開なのは間違いない

 以上、辛口口調でマンション管理士を見てきたが、資格では『未開』であることは間違いない。

 マンションの老朽化や建替え等の問題は、今後、数多く発生することになり、これからピークを迎えることになる。

 また、数は少なくなったが、マンション管理業者の各種横領は、年に何件かは発生しており、管理組合も業者任せにできるものではなくなってきている。

 しかも、昨今では、マンションの大型化が進んでいるため、管理組合の意見調整や意思決定等が困難となっている。相談役や調整役の比重は大きい。

 こうしたことから、コンサルとしてのマンション管理士には、開拓されていない荒野が広がっているように思われる。

 名称のみとはいえ、国家資格というブランドは大きい。

 たとえば、私称でしかない「マンション何たら鑑定士」と、国家資格の「マンション管理士」とでは、やはり、後者が相談相手になる公算が大きい。また、マンション管理士には、罰則規定があるから、信用もある。

 多くの資格は、既に有資格者で食い尽くされているが、マンション管理士は、取得者の『腕』いかんで、いかようにも膨らませることが可能であると思われる。

 マンション管理士の今後の活躍を願って止まないものである。


まとめ

 マンション管理士はコンサル資格であり、言うなれば、独立開業系の国家資格である。法的特権が付与されないため、一般企業からの求めは、ほとんどない。

 マンション管理士は、試験の難易度は高いうえに、法的な特権は「名乗れるだけ」であり、加えて、活かすには相応の経歴・経験が必要であり、万人向けの資格とは到底いえない。こうした点から「Cクラス」とした。

マンション管理士の資格メモ

 マンション管理士に関する、一般的事柄や試験日程・日時、取得に要する費用等を、以下にまとめました。

マンション管理士の一般事項

 マンション管理士は、「国家資格」であり、取得者には一定の評価がある。

 マンション管理士は、名称独占資格でしかない。(参考:名称独占資格とは?

 マンション管理士の知名度は低い。

 マンション管理士に、受験資格はない。

マンション管理士の試験日程・日時

 本試験の試験日は、『例年11月の第4日曜日』である。

 携帯電話とスマホに厳しく、本試験時は、電源を切って封筒に入れ、椅子や机の下に置くように指示される。鳴るとやばい。

 なお、公式の文言を見るにつけて「遅刻」は、入室禁止の明言がない以上、多少は許されるようであるが、実際は「わからない」ので、きちんと集合時間に席についておくべきである。

 申込み日は、おおむね「9月1日から9月30日」までの「1ヶ月間」である。

 願書配布は、おおむね8月から開始される。

 大きな本屋なら、願書を置いていることが多い。教材のチェックを兼ねると賢い。なお、正確な配布先は「こちら」で確認のこと。

 本ページの作成時、「公益社団法人 マンション管理センター」が試験主催ですが、一度は公式を見て、試験情報を確認しておいてください。

マンション管理士のめやす取得費用

 一口で言うと、「26,000円前後」である。

 テキスト2冊で、おおむね計6,000円前後。

 過去問も2冊で、おおむね計6,000円前後。

 予想問題集は、おおむね2,000円前後。

 受験料は、9,400円(例年価格)。交通費や切手代等の雑費を2,000円ほど見込んで…、

 総計は、「26,000円強」という次第である。

 マンション管理士の教材は複数冊が多く、予算を多く見込んでおく方が無難であろう。

 価格参考:アマゾン-マンション管理士試験

試験に関すること

 マンション管理士の難易度を一口で言うなら、「やや難」である。

 合格率は、おおむね7%~8%である。逆を言うなら、9割は落ちる試験である。

 勉強時間は500時間から600時間、勉強期間は、おおむね6ヶ月以上は見ておく。

補足コンテンツ/関連リンク

 マンション管理士に関するこまごましたこと、たとえば、「不動産3資格(宅建、管業、マン管)の違い」といった記事を、ブログにも投稿しています。

 興味のある方は、「マンション管理士:ブログ記事」をばご参考ください。

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