簿記検定試験の計算機(電卓)選び

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 日商簿記検定の試験勉強と受験に際し、どのような計算機(電卓)を選べばいいかを、以下に見ていきます。重要な選択基準が3つ(12桁表示、GT機能・M+機能の有無、大きさ)、シャープかカシオか、どのメーカーかといった、「まあ」で「アレ」な基準が数個あります。

 『弘法、筆を選ばず』なんていいますが、日本史上で、最大の才人といわれる弘法大師空海だからこそ、筆を選ばずに済んだのです。

 ということは、わたしたちボンクラな人は、「しっかりとゆるがせにせず道具を選ばないといけない!」わけでして、簿記の試験勉強並びに受験においても、同様の事情であります。

 以下に、わたしの経験の即した、計算機(電卓)選択の3つの重要な基準と、まあ知っておけばよい「アレ」な基準を数点、述べていきます。

 なお、手っ取り早く電卓を選びたい人は、「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考までに。

重要な基準1-「12桁であること」

 計算機(電卓)を選ぶ際の第1の重要な基準は、「12桁」であることです。12桁以上あっても構いません。しかし、逆の「桁が少ない」のはダメです。

 というのも、簿記検定の試験では、億単位の出題もあるので、桁数が少ないと計算に非常に手間取るからです。

 わたしは受験当時、8桁の計算機を使っていたのですが、まあ、ホトホト苦労しました。思い出したくもないです。手間がかかって転記ミスも発生するという最悪な事態でした。

 「計算機(電卓)は12桁」を、絶対に忘れないようにしてください。ホント、徒労です。無用な苦労を上乗せしないように。

重要な基準2-「GT機能やM(メモリ)機能があること」

 「GT」とは「グランドトータル」機能のことで、「M(メモリ)」とは、「M+」や「M-」、「RM」といったメモリを利用した計算機能のことを指します。

 計算機の諸機能のうち、最も便利な機能が上記「GT」と「M」の2機能です。

 試験勉強並びに試験においても、よくよく使うことになるので、上記2機能のある計算機(電卓)を選びます。

 まあ、数千円レベルの計算機ともなれば、ほとんどの機体に付いてくるので、青筋立てて調べることもないでしょう。

 まあ、でも、万が一があるので、計算機上のキーに「GT」と「M」のプラスなりマイナスが書かれたキーが「存在しているかどうか」、チェックを入れましょう。

重要な基準3-「大きいこと」

 「大きい」と言われても抽象的ですが、逆を言うなら、カードサイズの電卓や手の平サイズの計算機を買うな、ということでもあります。

 なぜ小さい計算機がダメなのかというと、キー入力と表示に「難」があるからです。

 計算機のサイズが小さいと、数字キー自体も小さくなるし、キー間隔も狭まるので、どうしても、入力間違いが発生してしまいます。「1」を押したと思ったら同時に「2」「4」「5」などの1キー周辺の数字まで押していた、なあんてことが多発するわけです。

 そして、表示の問題です。

 計算機が小さいと、相対的に入力や出力の結果を表示する液晶が小さくならざるを得ません。そのため、数字の読み取り違いが多々生じてしまいます。

 よくよく目を凝らして見るような計算機は、正直、ゴミです。ぱっと一目で数字が判別できてこそ、「計算の道具」ですので、表示が大きなものを買います。

 まあ、これも、数千円レベルともなれば、大概は大きくて見やすく設計されています。

 以上が、計算機(電卓)を選ぶ際の重要な基準です。「絶対の基準」とは言いませんが、3つの基準から外れると、実に苦労して要らざるトラブルに遭遇することになるので、ご留意くださればと存じます。

 「やるべきことをする」とは、「しないでいいことはしない」ってことです。

 無用なことをしていたら、やはり、合格は遠ざかります。

 さて、以下に、「できればそうしたらいいよ」と言いつつも、実質的には「そうすべきだ」という、和風表現をした計算機(電卓)の選択基準です。

「まあ」で「アレ」1-シャープかカシオを選ぶ

 タイトルママなのですが、計算機(電卓)は、シャープかカシオの計算機を買います。

 計算機のメーカーにいろいろありますが、上記シャープかカシオの2メーカーから選べばいいでしょう。

 理由は、両者が「定番で定評」であるからです。

 他メーカーの計算機と、機能的な違いはまずないでしょうし、いちいち調べるのもめんどうだし、2社でいいでしょう。メーカーは、そんなに頭を使わなくてもいいところです。

 たとえば、シャープやカシオの電卓が10万円~20万円もして、他メーカーのが1000円~2000円もするなら、その「差額」を考えるのに十分な動機が生まれますが、実際、値段に巨大な差があるわけでなし、あっても数百円差、それなら、おっさん思考で「シャープかカシオでいいよ、いちいちめんどうだし」で決めちゃえばいいです。

 ちなみに、シャープとカシオの計算機の違いは、キーの場所が微妙に違う、入力様式が微妙に違うくらいで、実に「微妙な差」です。メーカー関係者が卒倒するかもしれないけれども、ぶっちゃけ、どっちでもいいです。名前で決めたらいいです。

 わたしは今、シャープ製の計算機を使っていますが、今度はカシオを買おうかなと思っています。別に特別な意味はなく、「カシオ」と「カツオ」って似てるなーというヘンな理由からです。「カツオ計算機」って面白いなあ、と思ってます。まあ、シャープに飽きたというものでもないです。計算機に飽きはないし。

 まあ、考えるのがめんどうなので、計算機(電卓)のメーカーは、シャープかカシオでいいでしょう。

「まあ」で「アレ」2-「5」のキーにぽっちり

 ほとんどの計算機(電卓)には、「5」のキーには、ぽっちりが付いているはずです。

 計算機の「5」のところが、パソコンのキーボードの「F」と「J」にあたります。そこが、ブラインドタッチ上のホームポジションになるという塩梅です。

 これまで、「5」のぽっちりがないのを見たことがないのですが、コストカットの一環で除かれる可能性もあるので、「5」キーがぽっこりしているか、「凸」状になっているのを買いましょう。

「まあ」で「アレ」3-値段は穏当なものを

 計算機(電卓)を買う際は、値段はある程度無視してもいいでしょう。

 2000円から3000円、奮発して、5000円強の電卓を買えばよいかと思います。

 それ以下の額になると、品質が不安です。キーの構造がダメで、押したら元に戻らなかったり、液晶が割れやすかったり、故障しやすかったり、計算機の底四方のゴムがすぐ取れたりと、要らぬ災難に遭遇する可能性が大です。

 逆に、高すぎると、余分な機能(プログラム計算)などが付いてきて、受験ができないなんてことになりかねません。

 という次第でして、穏当な価格帯の中から、よさそうな計算機をピックアップしていけばよいでしょう。

 さて、最終的な決定の際の注意事項です。計算機(電卓)とは、“道具”ですので、「相性」の問題があります。それが、他の製品と比べて割高であっても、自分がピンと来た物を買いましょう。

 結局、万人がいいという計算機でも、「慣れる」ための時間を、「ゼロ」にすることはできません。どれほど評価が高い計算機でも、「慣れるための時間」が必要なわけで、その時間の中で重要なのは、「相性」です。

 わたしは、下手に節約精神を発揮して、ちょっとだけ安いが愛着の持てない計算機を買うよりも、多少値の張っても、ピンときた計算機を買うべきかと思います。

 というのも、その差額は、「その時だけ」のものだからです。電卓は最低でも1年は使えます。普通に使えば3年、穏当に行けば5年10年使うことになるのですが、そうなると、値段の差に意味がなくなってくるのです。

 自分が(いいなー)と思った電卓が5000円して、定評系の電卓が2000円だったとしましょう。でも、その差額「3000円」は、3年の計算で年1000円、月83円の差です。10年計算で年300円、月25円で、あってないような金額になります。

 道具というのは、やはりいいものはよくて、そして、相性がいいものほどよく使う、つまり償却できるというわけで、値段についてはけちけちせず、「いいな」と来た物を買いましょう。

 安さにこだわってアレでアレな物を買うよりも、最終的には、安くつきます。

 わたし自身、シャープの計算機をここまで使うとは思いませんでした。

「まあ」で「アレ」4-日数計算や時間計算など

 計算機(電卓)によっては、日数計算や時間計算といった諸機能の「有無」があります。

 ちなみに、それらの機能は、わたしの計算機には付いてません。でも、あってもなくてもいいんじゃないかなと思います。

 というのも、それらはそう多用するものでもないからです。

 いくら機能があっても、当該計算機の機能に対して、わたしたちは、それなりの練習なり訓練を踏まないと、使いこなせられません。「GT」だって練習しないと使えません。

 よくは知らないものを、大事な本試験中にやってみるというのは、博打です。

 日数計算や時間計算は、指折りでもできるのだし、その機能を練習して憶えるのもめんどくさいし、日数計算や時間計算は、考慮に入れなくてもいいんでないかなーと思います。

 ちなみに、日数計算や時間計算付きの計算機(電卓)でも、日商簿記は受験できます。

 『(注)ただし、次のような機能は、プログラム機能に該当しないものとして、試験会場での使用を可とします。・日数計算 ・時間計算 ・換算 ・税計算 ・検算(音の出ないものに限る)』」とあります。→http://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/topics/post-31.php

「まあ」で「アレ」5-機能の試験制限

 日商簿記検定の本試験では、計算機(電卓)の機能に、制限が課せられています。

 たとえば、携帯やスマートフォンはダメとか、音が出たらダメとかです。

 計算機(電卓)を買う際に、意外に気になるのが当該試験制限で、いちいち公式を見て、細かく調べるのもかったるいです。

 そこで、ネットで買うならば、口コミや評価にて「簿記試験用に買いましたー」なんて文言がたくさんあれば、「それは試験に使えている」わけですから、わざわざ調べる手間が省けます。

 電器屋で買うのなら、裏なり表の製品説明にて「検定試験対応」と書かれているものを買えば、めんどくさくないでしょう。

 公式の機能制限の文章を読んでも、(なんだかなー)でよくわからないので、「誰かが使っている」ものか、「メーカーのお墨付き」を買えば、考えなくて楽でいい。

 ちなみに、日商簿記検定にはサイズの規定がないので、プロって感じがする電話帳みたいな巨大計算機でもOKです。でもまあ、重いからやだね。

 まとめると、持ち込める計算機(電卓)の種類は、そんなに気にしないでいいです。関数計算機能が付いた計算機には、「sin」「cos」「tan」といった、文系おなじみの文言のキーがありますので、一目でどれが関数機能付きかどうかわかるでしょう。めまいや吐き気のしない計算機なら大丈夫。値段もやや高く、すぐわかります。

「まあ」で「アレ」6-訂正キー、「CE」または「C」がある

 当該6つ目の「まあ」で「アレ」は、結構重要です。

 入力ミスというのは、どうして起きますが、その度に計算をやり直すのは癪で仕方がありません。

 そこで、訂正するための機能が求められるわけですが、それが、タイトルのあるように、訂正キー、「CE」または「C」の存在です。

 訂正キーというのは正式名称でなく、シャープの計算機では「→」のキーで、正確には「右シフトキー」といいます。カシオでは「桁下げキー」を呼ばれます。

 当該キーは、キーボードで言う「BackSpace」で、「1字」だけ訂正するときに用いるキーです。ちょっとした打ち間違いのときに、実に重宝します。

 後段の「CE」または「C」とは、「くりあえんとりー」と「くりあ」と呼ばれるキーで、入力した数字全てを消すキーです。桁数の大きい数字のときは、先の「→」キーで直すのめんどうなので、全部消して再度打ち直すって塩梅です。

 なお、当該「CE」または「C」キーの機能は、メーカーのみならず、計算機の型番によっても「表記」が違ってくるようなので、たとえば、「C・CE」とか「CI」といった表記になっているときもあります。取り扱い説明書で確認です。

「まあ」で「アレ」7-表示部分の稼動

 計算機(電卓)選びの必須条件ではありませんが、表示部分の液晶が「動くようになっている」と、何かと調整できて利便性が高まります。

 室内が光量が多くて光加減が悪く、計算機の計算結果が見難いときは、結構あります。

 こういったときに、計算機の傾きを変えられると重宝します。

 主に2タイプあって、計算機の裏につっかえ棒的なプラスチック板が格納されている計算機(電卓)と、液晶部分全体がグリグリと前後に動く計算機(電卓)があります。

 どっちがいいかは、個人の好みです。わたしは後者の「前後グリグリ」を選びましたが、実際的に、計算機(電卓)の角度が少し変われば、格段に見やすくなるので、「見方が変わる」ような装置が付いているものなら、どっちでもそう支障はないと思います。

 逆を言うなら、表示部分がベタっと固定化している計算機(電卓)は、意外に持て余すって寸法です。数百円ほど値がかさみますが、表示部分の稼動する計算機(電卓)の方が、便利で長く使えるでしょう。

まとめのようなもの-間違いの少ない計算機(電卓)選び

 っと、まあ、計算機(電卓)について述べてきたのですが、重要な3基準さえ満たしているなら、何を買ってもいいように思います。

 わたし自身が、今の計算機をこんな風にして買ったわけじゃないからです。それでも、十分に、役に立ってくれています。

 極論ですが、住めば都でして、使えば愛着です。隣で寝ている配偶者の顔を見れば、氷解するように思います。(異性であればいい。)計算機も同じ事情でありましょう。(そこそこの機能があったらいい。)

 さて、「わたしが買うとしたらどうするか」を、述べておきたいと思います。

 価格.comかアマゾンでもいいので、「 計算機 簿記 」か「 電卓 簿記 」で検索をかけて、評価が高く、口コミなりレビューにて「簿記検定」目的で使っている人の有無を確かめます。

 ほいで、3~5つほど、購入候補を絞って、その商品名と型番をメモします。

 ここからが大事なのですが、そのメモを持って、電器屋へ行きます。

 なぜか。それは、計算機は最終的に「個人的な道具」になってくるからです。個人的という点では、靴やシャツに近いものなのです。

 まず、「視力」が違います。老眼の人、老眼になりつつある人、近眼の人は、表示部分の液晶が大きい方がいいでしょう。手の大きさもあります。手の平が大きい人、小さい人がいます。指の稼動範囲も個人差があります。ですから、実際に実物を持って打ってみない限り、良し悪しはよくわからないのです。

 わたしは、先も言ったように、シャープの計算機を使っていますが、購入基準をよく知らなくて買った物でも、ず~と長く使えている理由は、やはり、実物を手にして、「自分」の「身体」にあっているかどうかを、よくよく確かめたからだと思います。

 ちなみに往時、母にキャノンの12桁計算機をプレゼントしたのですが、液晶とキーの大きい物を選びました。見難いもの・使い難いものは、使われなくなるからです。

 ま、実物を見たほうが、何かと早いので、ある程度ネットで下調べをしたら、週末にでも近くの電器屋に行って、実物を見て、ベタベタ触って買いましょう。

 なお、計算機を買った際についてくる「取扱説明書」は、念のため取っておきましょう。

 計算機の入力ならびに機能は、個々の計算機によって結構異なっています。「自分の計算機では、何ができて、それはどう打てばよいか」が書かれた取り扱い説明書は何気に重宝するので、保存しておくことをお勧めします。紙切れだからといって甘く見ると、結構な痛手です。

 なお、最後になりますが、手っ取り早く電卓を選びたい人は、「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考までに。

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