簿記2級の有資格者のための、簿記・経理系資格のスケジュール表(2020年年度)。簿記2級以降の資格として、簿記1級は費用対効果が悪い。よほどの理由がない限り、簿記1級は受けない。代わりに、特権付与のある建設業経理士や、知識が身に付くFP技能士を狙う方が賢明である。
上記画像は、「簿記2級の有資格者のための資格スケジュール表(2020年度)」です。
結論から言うと、簿記2級の有資格者は、“相応の理由や目的がない限り、1級は受けず”、建設業経理士やFP技能士などの資格を狙っていく、という寸法です。
簿記2級の次は1級だ!とは、単純に行かないのであります。
端的に結論を言うと、「簿記1級とは、税理士の受験資格を得るための資格」です。
逆を言えば、「税理士を受ける予定はない人」や「税理士の受験資格のある人」は、積極的に簿記1級を取る必要はない、という次第です。
そもそも、簿記1級の試験設定は、主として「大企業」向けですので、中小企業では、簿記1級は“持ち腐れ”になります。
じゃあ、大企業向けの求人には強いかというと、大企業ともなれば、税理士や公認会計士の有資格者が多数参戦してきますから、簿記1級だとどうしても弱くなってしまいます。
また、一般的な求人では、「簿記1級有資格者のみ」という限定求人は少なく、「要 簿記資格(1~3級)」みたいなアバウトなものが多く、簿記1級自体が切実に望まれていないのが実情です。
要は、『これ』という強みがないのが、簿記1級なのです。
先述したように「税理士の受験資格の取得」くらいしか、実利的な意味がありません。
強いて言えば、税理士受験資格以外に、「勤め先に資格手当制度があり、簿記1級を取ると資格手当が付く」とか、「将来的には会計指導者になりたい」といった理由がない限り、積極的に狙う必要はありません。
なお、「税理士の受験資格のある人」が上位の会計資格を狙うのなら、簿記1級よりも、直に簿記論です。
簿記1級があるからといって簿記論がやさしくなるわけでは決してないので、2級から直接、簿記論に行く方が時間のロスになりません。1級の試験科目である工業簿記・原価計算は、税理士の簿記論ではあまり意味がなく、簿記1級は回り道にしかなりません。
簿記2級保有者にとって、簿記1級はそう魅力的ではありません。対して、「建設業経理士」は就職や転職目的、勉強的な意味で、非常に魅力的です。
まず、就・転職ですが、「建設業経理士」の1級と2級には“特権”があり、建設業や建築業の就・転職に有利になります。
建設業経理士の1級と2級の有資格者の『数』が、公共事業の受注の際の経営審査事項の1つとなっていて、直接「会社の評価」に繋がるからです。
求人数そのものは、簿記に遥かに及びません。“建設業”の簿記ですから、求人先が建設業等に限られてしまうからです。
しかし、専門分化されている分だけ、建設業等の就・転職では、考課の1つとなる、という塩梅です。建設業経理士が「必須」という企業もあります。
また、勉強的な意味で、建設業経理士は“簿記で勉強できなかったことを補える”特徴があります。
建設業経理士1級の試験科目は、「財務諸表」「財務分析」「原価計算」です。
このうち、「原価計算」は簿記2級にて学習しましたが、他の2科目はまだです。
財務諸表では企業会計原則やらを、財務分析ではなんたら比率とかなんたら利益率、なんたら回転率等々、簿記では勉強しなかったことが問われます。
建設業経理士1級の試験科目は、簿記2級で勉強したことを深化させるのに、適した試験だと思います。
下手な会計本やしょうむない経営分析本にお金を費やすよりかは、1級の試験勉強の方がはるかに血肉となるでしょう。
加えて、建設業経理士1級は、「科目合格制」を採っており、合格の有効期間はなんと5年!!です。このため、受験生への負担は少なく、生活や仕事に支障なく、勉強できるのも大きな魅力です。
こんな次第で、簿記2級の次に何か資格をとお考えの方は、①就・転職の幅を広がって有利、②簿記の知識にプラスアルファできる、という2つの理由から「建設業経理士」を推薦するものです。
はっきり言うと、簿記2級があれば、間違いなく建設業経理士2級も受かります。
なぜかというと、建設業経理士2級の方が、圧倒的にボリュームが少ないからと、大半の論点は簿記2級で勉強済みだからです。
忙しいという方、しんどい勉強は当分いいという方は、建設業経理士の2級から取るといいでしょう。
合格率は「30~40%」で、試験勉強期間は簿記2級があれば、建設業経理士2級は「1~3ヶ月」もあれば、十分過ぎる位です。
建設業経理士の中では、「2級」が一番求人が多く、2級から“特権”がつくので、就・転職先の確保の点でも、2級は全然悪くありません。
スケジュール的には…(先の画像参照)、
建設業経理士2級の本試験日は、9月中旬か翌3月中旬です。
両日のうち、都合の付く方に受ければよいでしょう。
9月に受けるなら、「7月~9月」を試験勉強に充て、
翌3月に受けるなら、「1月から3月」を試験勉強期間に充てればよいでしょう。
もし、完全に内容を忘れているようなら、「プラス1ヶ月」しておくことを勧めます。
まあ、先述したように、簿記2級があれば、建設業経理士2級はまず取れるので、気を楽に臨んでみてください。
参考:建設業経理士2級の独学
参考:教材レビュー
先述しましたが、簿記2級があれば、まず間違いなく建設業経理士の2級には受かります。
テキストを見てもらえばわかりますが、大半の論点は簿記2級で学習済みだからです。
同じようなことをするのはメンドクサイなーという方や、余計なことにお金や時間を使いたくない方は、直接、建設業経理士の1級に向かうべきです。
先述したように、建設業経理士の1級は「科目合格制」で、合格は「5年有効」なので、かなり余裕を見て勉強ができます。
勉強に油断は禁物ですが、途中で引越し等の大きな出来事があっても、「5年」もあれば、間違いなく最終合格に漕ぎ着けられるので、気分的に非常に軽いかと思います。
合格率は、それぞれ「20%台」。勉強したらまず通る難易度です。
学習計画は、「勉強したいなー」と思うものから、受けていくくらいで大丈夫です。簿記2級に受かる“学力”があれば、大丈夫です。
スケジュール的には…(先の画像参照)、
建設業経理士1級の本試験日は、9月中旬か翌3月中旬です。
試験勉強期間は、1科目当たり「4ヶ月」は見ておけば、十分合格ラインを窺えます。
9月に受けるなら、「6月~9月」を試験勉強に充て、
翌3月に受けるなら、「12月から3月」を試験勉強期間に充てればよいでしょう。
一気に3科目合格もできなくはないですが、“酷”になりそうなので、体力に自身のある方だけに勧めます。
建設業経理士制度の一番おいしいところ-科目合格制度を捨てるのはもったいないです。穏当に1~2科目ずつ、制覇していけばいいでしょう。
試験は逃げませんから。
公式は、「建設業経理検定ホーム」です。
なお、教材ですが、TACとネットスクール2社の独占状態ですので、どちらかのテキストと過去問を選べば支障ありません。
両社とも簿記業界では著名定評出版社なので、間違いはないです。
1級教材参考:TAC-建設業経理士1級
1級教材参考:ネットスクール 建設業経理士1級
簿記2級以降の資格として挙げている「FP技能士」ですが、資格の価値としては、FP技能士は、低い部類に入ります。
まず、求人がありません。知名度も高くありません。名称独占資格でしかないので、特権がありません。
FP技能士は、3級なら「1ヶ月」そこそこの時間があれば、2級でも「3ヶ月強」の時間があれば、合格できます。
問題のレベルは、中学・高校の公民のレベルであり、計算問題も基本は算数なので、試験勉強の負担は高くありません。
ぶっちゃけて言うと、FP技能士は、積極的に取る必要はありません。が、知識・教養の点では資するものが多い試験であり、簿記2級まで取っている人なら、試験勉強で得られる知識群を活かせられるように思います。
簿記2級以降の道を模索する上で、新しい何かを見つける意味で、受験するのは「多いにアリ」です。(わたしもこの口です。)
年に3回も試験があるので、時間の融通も効きます。
なお、受験資格を満たすなら、「2級」から受験するとよいでしょう。難易度は、3級とそう異なるわけではありません。
3級FP技能士については、「FP技能士3級の独学」と、「FP技能士3級の教材レビュー」を…、
2級FP技能士については、「FP技能士2級の独学」と、「FP技能士2級の教材レビュー」を…、
1級FP技能士については、「FP技能士1級の独学」と、「FP技能士1級の教材レビュー」をお目汚しください。
資格の価値と優先順位の把握のために、各資格の求人数(ハローワーク)を挙げておきます。
各資格の直近調査での求人数はおおむね…、
簿記1級は「250件」、
建設業経理士1級は「7件」で、建設業経理士2級は、「34件」、
FP技能士2級は「10件」で、FP技能士3級は、「7件」です。
優先順位はこれらの数字に尽きますが、「建設業経理士」はやや特殊です。
優先順位の理由や詳細については、「簿記・経理系資格の優先順」をお目汚しください。
簿記の試験勉強は、使う計算機によって大きく変わってしまいます。
100円ショップで売ってるようなペラペラ電卓の人は、買い換えることを絶対推奨します。バカみたいに能率が上がります。
計算機を選ぶ際は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」を参考にしてみてください。
読んで考えるのがめんどくさい人は、「売れ筋の電卓は、結局なに?」で選べば支障はありません。
電卓の使い方については、「簿記検定計算機打ち方例」を、自分の電卓が試験で使えるかどうかの当否は、「簿記の電卓」で確認ください。
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