独学の簿記3級:商業簿記

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 簿記2級の独学に必要なことを最小限にまとめています。「実務重視」路線に切り替わった簿記3級は、「3日で受かるなんて、もう言わせない」試験に変化しました。試験問題全体がレベルアップし、従来の仕訳に加えて、集計・転記まで求める問題が増加、かつて、5割あった合格率も2~3割台に下がっています。良質の教材でしっかり勉強しない限り受からないので、油断大敵です。

「3日で受かる」なんて、もう言わせない

 まず、直近の簿記3級から窺える傾向は、「きちんと勉強した人しか受からせない」です。

 受験予定の方は、まず、「簿記3級=カンタン」という認識を改める必要があります。

 かつての簿記3級は、ぶっちゃけ言うと、「カンタンに受かってしまう試験」でした。

 試験問題はほとんど変わらず、設問もド定番のものが多く、「パターン学習と足し算・掛け算」だけで合格する人が、多々、輩出されたのです。

 しかし、試験勉強は「算数と仕訳暗記」しかやっていませんから、簿記3級があるといっても、転記やら記帳やらが全くわかっていない塩梅で、つまり、実務には使えない“合格者”が濫造されたのが『簿記3級』という資格なのです。

 こうした「資格はあるが、実質パー」な合格者を出さないようにするため、「実務重視」路線に切り替わった、という塩梅です。

 かつては「3日で受かる」なんて揶揄された簿記3級ですが、もう、そんなことは言えない試験になっています。

 もっと言えば、出題者が「そうは言わさない」ように、試験を変えてきている、といった手合いです。

 簿記3級は、後述する独学向け教材を、『3回』繰り返しておけば、独学合格できます。

 しかし、簿記3級は、「きちんと勉強しないと受からない」試験に変貌しています。

 合格率も格段に下がってきており、安易な受験は危険です。簿記3級は、もう、まぐれでも受からないです。

合格率-20~30%で定着か?

 かつては、「40~50%」と高い合格率を誇っていた合格率も、「難化」の波を受けて、「20~30%」台に低下しています。

 ちなみに、143回(H28.6.12)は「34%」、142回(H28.2.28)は「26.6%」、141回(H27.11.15)は「26.1%」でした。

 ちなみに、140回(H27.6.14)は「52.7%」で、139回(H27.2.22)は「54.1%」で、138回(H26.11.16)は「38.5%」なので、明らかに、近年は受かりにくくなっている」ことがわかります。

 簿記2級でも合格率は下がっていることから、簿記3級でも「20~30%あたりで下げ止まる」様相です。

独学合格の前提‐いい教材・電卓

 難化している簿記3級には、本格的な教材を使うのが一番、無難です。

 後述しますが、最近は「テキスト」の比重が大きくなっているので、内容に不足のないものを、選ばなくてはいけません。

 教材についての詳細は「教材レビュー」で述べてますが、読むのがメンドクサイ人は…、

 テキストは「合格テキスト 日商簿記3級」で…、

 問題集は「合格トレーニング 日商簿記3級」で…、

 過去問は「合格するための過去問題集 日商簿記3級」で揃えば、独学でも支障ありません。どれも『定番』です。

 また、電卓についても、簿記3級から、高品質なものを使うようにします。

 高品質電卓を使うと、計算ミスは格段に減少し、計算・集計が速く・正確になり、試験勉強の能率が格段に向上します。

 簿記の勉強で、高品質電卓を使わないのは、「損」です。

 下の画像は、左からペラペラ計算機、1代目の高性能電卓・2代目の高性能電卓と続き、一番右の計算機が、現在わたしが愛用中の電卓です。

 簿記2級では必須の高品質電卓と避けるべきペラペラ計算機 高品質な計算機

 高品質の電卓は、簿記3級以降の、簿記2級や建設業経理士、通関士、FP技能士といった資格の試験勉強でも、すごく役に立ちます。

 経験者は語りますが、絶対に、値段の元は取れます。買い替えを推奨します。

 機種の詳細は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」に書いていますが…、

 読むのがメンドウなら、わたしが愛用している「DF-120GT」を使えばいいです。

簿記3級の傾向変化について

 簿記3級は、ざっと、以下のように変わっています。

問題文が高度・複雑化

 過去の簿記3級は、出題が定型化していてほぼ過去問通りだったので、問題文なんかは読まずに、(ああ、これね)的な感じで、即、解答ができていました。

 しかし、最近の簿記3級では、「問題文をしっかり読まないと、解答できない」ように変わっています。

 顕著なのが、第1問の仕訳問題で、意図的に誤読を促すような記述(フェイク)を文中に挿入してきており、「何が、簿記上の取引なのか?」を把握させた上での解答を要求しています。

 全体を見ても、暗記や記憶だけでは、(え?どうしたらいいの?)的な混乱が生じやすい『仕掛け』が問題文に増えており、明らかに『底の浅い受験生を落としにかかっている』ように見受けられます。

 簿記3級には、計算能力以上に、読解力も必要になっています。

 なお、仕訳の個々については「簿記3級の仕訳問題」を参考ください。

新しい問題が登場‐試験が非定型化

 これまでの簿記3級は、ド定番の問題ばかりで、試験問題の変化はそうありませんでした。

 しかし、新しい問題が、ぞくぞくと出るようになっています。

 たとえば、第5問は、ほぼ精算表だけだったのに、財務諸表の作成まで、出題されるようになっています。

 内容的にも、これまでにはなかった「純損失」が顔を出すなど、今後も、「これまでにない出題」が増える公算が大…いや、ほぼ毎回出るようになるでしょう。

 おそらく、当該「新しい問題」の採用は、「パターン学習と暗記と記憶」だけの受験生を落とすための措置のように見受けられます。

 「パターン」だけの受験生に、見たことのない問題を当て、パニックに陥れようとする『出題者の善意』を、わたしたちは知っておかねばなりません。

 今後の簿記3級では、過去に問われたことのない「新しい問題」が、“常に”出題されることを覚悟し、冷静に対処する心構えを練っておく必要があります。(目利きと見切りのところで後述。)

実務重視

 かつては、仕訳さえ切れたら、合格でした。

 しかし、昨今は「実務重視」を受けて、簿記のさまざまな論点・観点が、試験問題に採用されています。

 代表的なのが、「簿記一巡の流れ」を把握していないと、うまく解けない問題の増加です。

 「簿記一巡の流れ」とは、「再振替仕訳→期中取引の仕訳→決算整理仕訳→決算振替仕訳」のことで、それぞれの段階の仕訳(処理)はもとより、「今、目の前の取引なり処理の前後」まで、把握できているかを試してきています。

 また、「実務重視」で顕著になっているのが、「帳簿記帳」です。

 仕訳帳から総勘定元帳、商品有高帳や売掛金元帳、当座預金出納帳といった補助簿等々、帳簿がらみの出題が増加しています。

 つまり、仕訳のみならず、その『集計』と『転記』までが問われているという次第で、「実際に即した勉強」を意識していないと、点が取れなくなっています。

 また、帳簿の記入方法も、注意しなくてはいけません。

 帳簿への記入は、「金額や残高」だけではなく、「摘要」欄や「仕丁」欄、「借/貸」欄といったところまで問われる(配点がなされる)ことがあるので、繰り返しますが、「実際に即した勉強」を意識する必要があります。

 そのほか、帳簿の締め切りはもとより、個々の帳簿の関係、たとえば、補助簿と補助元帳との対応なども、出題されているので、仕訳さえ切れたら受かった時代は、完全に過去のものになっています。

 今でも仕訳は重要ですが、もう「それだけ」ではないので、テキストで「帳簿記帳」の手順や要領をしっかり押える必要があります。

簿記3級の基本的進め方

 単刀直入にいいます。

 まず、テキストを読みます。で、テキストの問題を解きます。で、テキストの問題を解いたら、すぐさま問題集で、テキストでやったところの問題を解きます。

 テキストで骨子をおさえ、問題集で肉付けする、という感じです。

 で、復習(超大事!常にやる)を織り交ぜながら、テキストと問題集の最後までやります。

 で、もう1回同じことをします。で、まだ不安が残るようなら、もう一度、テキストと問題集を繰り返します。

 できそうかなーという実感が出たら、過去問を解き始め、過去問でわからないことを、テキストや問題集でケアしていきます。

 過去問は「3回」やります。これで、まず合格圏に入れます。

「量」は嘘つかない

 まず、結論から言うと、簿記の勉強とは「量」です。

 テキストは「3回」読み、問題集は「3回」解いて論点をつぶし、過去問は「3回」繰り返します。

 「テキストを読んだ量」と「問題演習の量」とで、合否は決まると思ってください。

 「簿記3級を勉強する前に知っておきたい3つのこと」でも述べているように、「簿記」とは「帳簿記帳」が略された「動作」だからです。

 簿記は「身体で憶える」ものです。頭で理屈がわかっていても、身体が付いてきていないと、解けないか、ものすごく時間がかかります。

 新問題や新論点と遭遇したとき、一番物を言うのは、「量」です。

 (あ、ここ解けそう)とか、(こうやったらいいんじゃない?)的なひらめきは、「量」をこなした者だけに起きます。底の浅い勉強では、取っ掛かりすら浮かばないはずです。

 先に、昨今の簿記3級は、「しっかり勉強しないと受からない」と述べましたが、逆を言えば、『しっかりやればまず合格』です。

簿記3級の肝は、取引の8要素(仕訳の8要素)

 結論から言うと、試験勉強を始めたら、まずは、簿記の根底を為している、『取引の8要素(仕訳の8要素)』を、完全に物にしてください。

 先ほど、試験傾向について長々と述べましたが、いったん、ぜんぶ忘れてください。

 実務云々・記帳云々は、当該「仕訳の8要素」ができてからの話であり、当該論点が“あやふや”だと、お話にならないためです。

 簿記3級の試験傾向は変わっても、超重要なところは、全く変わっていません。


左側(借方) 右側(貸方)
  資産の増加

負債の減少

資本の減少

費用の発生

  資産の減少

負債の増加

資本の増加

収益の発生

 ↑これを丸暗記するだけで、簿記3級の理論の勉強はほぼ終わりです。

 兎にも角にも、当該「取引の8要素(仕訳の8要素)」を、ぎっちぎっちに脳みその中に詰め込みます。ガチ暗記・ド暗記・丸暗記・棒暗記。騙されたと思って、諳んじるまで憶えてしまってください。

 もっと実践的なことを言うと、当該「仕訳の8要素」を冷蔵庫に張りましょう。トイレに張りましょう。カレンダーに、玄関に張りましょう。スマホや携帯の待ち受けにしましょう。

 そして、3日間、見続けましょう。暇があれば憶え直し、脳に刻みつけます。

 売掛金の入金と聞いたら、即、条件反射的に、「資産」の仕訳が切れるようになっていないと、戦えません。

 中途半端に、あれー売掛金は資産項目だったかなあ、なんて考えるようじゃダメです。

 簿記に挫折する人の多くは、超最重要論点である「取引の8要素(仕訳の8要素)」が、不十分のまま先に進んでいます。で、よくわからなくなって自爆しています。

 テキストでは、高々2~3ページの記載でしょうが、簿記最大かつ根幹の“論点”が載った最重要ページであります。8要素は、「反射・反応」のレベルまで、憶え切ってください。

 ここが天王山です。まずは、3日間、ガチ暗記に励んでください。これが脳に入っていないと、本当にどうしようもなく、ゴジラの出ない「シン・ゴジラ」になってしまいます。

仕訳&計算機こそ、独学合格の最短

 簿記3級の絶対方針は、問題ごとに、「必ず仕訳を切り、必ず計算機を叩くこと」です。

 絶対にやってはいけないこと、つまり、最も合格から遠ざかる勉強は、「頭の中」で終わらせることです。

 (あーわかったわかった、こうすればいいんでしょ)みたいな、頭の体操で済ませてはなりません。

 わたしが幸運だったのは、一番最初に手にしたテキストに、「仕訳を切れ」と「計算機を叩け」と書かれていたことです。ストレートに2級に受かりました。

 合格者は皆、口を揃えて言いますが、「頭だけで済ます勉強」が、最も受からない勉強です。

 たとえわかっていても、念には念を入れて、仕訳を切って計算機を叩きます。

 確信を持って言いますが、“愚直に”仕訳を切って、“めんどくさがらずに”計算機を叩くのが、遠回りに見えて、実は、独学合格の一番の近道です。

 また、3級で仕訳を徹底的に切っておくと、後々の簿記2級や、建設業経理士や管理業務主任者、FP技能士などの資格で、必ず生きてきます。どんな問題も、最後は『仕訳』に戻るからです。将来のことも考えて、仕訳を切る作業に、完璧になっておきましょう。

問題文・資料を落ち着いて読む

 試験勉強中は、まず、問題文をしっかり目を通すことを意識します。

 出題者は、「底の浅い受験生」を、まず落としにかかっているように見受けられます。

 表面的には「従来の問題」でも、問題文に何気ない指示や指定があったりして、不注意な受験生を、引っかけに来ています。

 資料も、同様に、しっかり目を通します。

 とりわけ、見知らぬ処理を求めている場合は、要注意です。

 何気に、指示やヒントがある場合があるので、“即、あきらめる”のではなく、まず、資料を丁寧に読むようにします。

 解答は、気が急きます。だからこそ、出題者は、その隙を突いて来ます。

 特に、仕訳問題は、「問題文の読解」が重要で、出題者は、ことさら、誤読を促すような文言を紛れ込ませています。

 「念のため」をキーワードにして、大丈夫そうであっても、丁寧に問題文・資料に当たってください。

目利きと見切り

 大事なことは、「目利きと見切り」です。

 今後も、「新しい問題」が出題されるはずで、また、従来型の問題に、「新論点」を挿し入れてくる可能性も“超”高いです。

 ですから、まずは、当該「新しいやつ」を推し量る必要がある、ってな次第です。

 モットーは、「手強そうなら後回し」です。

 新問題や新論点は、おおむね、よくよく考えたら解けるものが多いです。

 しかし、見慣れないものですから、予想以上に、時間を取られる危険があります。

 ですから、個々の問題を目利きして、解けそうなら解く、時間がかかりそう・手強そうなら後回しにするという見切りが必要になります。

 簿記2級試験においては、完全解答が難しくなっており、「部分点を重視」する傾向になっています。

 ですから、簿記3級においても、1問1問に拘泥せず、取れるところから取っていくという姿勢が大事になっています。

 新問題や新論点が出るとはいっても、本試験の全てがそうなるわけではなく、多くは既存の論点で構成されています。

 既存論点で点数を確保した後で、「ややこしい・手強い・時間がかかる」問題に本腰を入れる・時間を割く、というのが、現状の簿記3級の試験戦術です。

理論穴埋め‐テキストの読解も

 かつての試験は、「仕訳偏重」だったため、テキストの記述が“かなり軽んじられて”いました。

 しかし、今後はそうは行きません。

 試験問題に「理論穴埋め」が採用されており、簿記や経理、会計の基礎的な用語や語句が頭に入っているかどうかも、試されるからです。

 また、「実務重視」路線に舵が切られているので、テキストにて、帳簿の組織図や構成などを、しっかり読んでおく必要があります。

 簿記3級は、明白に、「計算のみでは受からない」ようになっています。

 なお、穴埋め問題は、おおむね「語群選択」でしょうが、出題者は常に受験生の斜め上を行きます。

 いつ『語群』がなくなるか、わかったものではありません。なくなれば、問題の難易度は確実に上がります。

 「ガチの、完全な穴埋め問題」が出てもいいように、テキストの記述は丁寧に当たっておきましょう。

簿記3級の勉強時間

 答えから言うと、「1ヶ月から3ヶ月」を見ておくことを推奨します。

 簿記3級の勉強時間は、“3日で受かる!”なんていう極論までが吹き荒れる、錯綜した世界です。

 そこで、このくらいの時間を見ておけば、仕事や家事、学業等を抱えた人でも、余裕をもって合格できるだろう勉強時間を、「簿記3級の勉強時間」の方に挙げています。

 簿記3級だけの人、2級も考えている人等、ケース別に挙げているので、皆さんの実情に適った勉強時間を把握してみてください。

簿記3級の難易度

 答えから言うと、「鼻歌が出るほど余裕では受からないが、仕事や家事、学業を抱えていても、勉強量は支障のないボリュームであり、本試験は定番の出題が大半なので、きちんと勉強したらまず1回で受かる」難易度です。

 合格率の検証など、詳しいことは長くなるので、「簿記3級の難易度」にまとめています。

簿記3級のこまごましたもの

 簿記3級の中で異色のメンドクサさを誇るのが為替手形です。当該論点についてはブログの方にまとめているので、「ブログ:簿記3級-為替手形」を参考ください。

 仕訳問題は、「簿記3級の仕訳問題」を参考ください。

 そのほか、簿記3級に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。興味のある方は、「簿記3級:ブログ記事」をばご参考ください。

 また、電卓の打ち方についてを、「簿記のコツ-それは計算機」や「計算機打ち方例」で述べてます。お目汚しください

 「検算のコツ」を知っておくと、計算ミスを結構防げます。

 なお、お手持ちの電卓が、試験で使えるかどうか不安な方は、「簿記の電卓」を参考ください。

 また、簿記3級の求人数等を、「簿記3級独学資格ガイド」に挙げていますので、ご高覧をば。

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