50代男性向けの、独学合格可能な資格リスト。50代からでも正社員採用のあるビルメン業に必須の2資格(2電工・乙4)と、定年後も踏まえると推奨できる2資格(管理業務主任者・二級ボイラー技士)と、求人数はある登録販売者、お勉強用の簿記3級の解説と、士業系資格への警鐘をまとめています。
主に、ハロワの求人数と求人動行が、評価のベースです。
リストの後に、個々の理由を述べています。気になった資格のところからお目汚しください。士業系資格への警鐘は最後です。
万が一の際は、再就職が格段に厳しくなる年代ですが、以下の資格があれば、路頭に迷うリスクは格段に下がり、失業期間の長期化も防げることでしょう。
優先順位(損のない順)も、この順番です。上から順繰りに取って行けばよいでしょう。
突出して求人のある資格。中高年層にも仕事あり。試験の難易度も高くない。
参考:資格ガイド、2電工の独学、筆記教材レビュー、実技教材レビュー
これまた、求人のある資格。賃金は安いが、年を取っても仕事がある。難化したが、独学合格可能。
理系キャリアなら、2電工ではなく電験。求人多数。簡単には取れないが、文系でも挑戦する価値はある。
就・転職、再就職用。賃金は低く求人の地域差もあるが、まだ仕事がある。定年後の一手一石に。試験勉強の負担は少ない。
参考:資格ガイド、二級ボイラー技士の独学、二級ボイラー技士の教材レビュー
就・転職、再就職用。管理職経験者や営業経験者向け。定年後の一手一石に。あとあと効く。要試験勉強。
参考:資格ガイド、管理業務主任者の独学、管理業務主任者の教材レビュー
必置資格で需要旺盛。宅建クラスの求人数。販売系・営業系の資格。誰でも受験できる。合格率は40~50%。
お勉強資格。定年後の株式投資のために。試験勉強の負担は少ない。
50代の資格事情はざっとこうした次第で、個々の詳細を、以下に述べていきます。
士業系資格については、最後の方にあります。
まず指しあたって言っておきたいのは、「資格=評価」ではない」ということです。
資格で価値があるのは、「必置資格」という資格で、要は、法的な需要のある資格以外、50代で評価されることはほとんどありません。
どれほど履歴書の資格欄が埋まっていようと、勤務先の業務に関係しない資格の評価は「ゼロ」で、再就職の決め手にはならないのです。
そして、国家資格であろが公的資格だろうが、知名度の低い資格、設置義務のない名称だけの資格(=名称独占資格)は、いくら取っても資することはないので、自己啓発の意味で取るにしても、「有用な資格」を取った後から、おいおい取ることを勧めます。
また、資格に何がしかを求めるなら、資格を選ぶ際は、求人数の多さを調べてください。(このページの最後にリンクがあります。)
資格について、絶対に知っておくべき実情は、「資格=必ず職にありつける」ではないことです。
「求人数から見る資格-74%の資格には求人がない」でも述べていますが、ハロワに登録されている資格のうち、7割の資格には求人がない現状です。
弁護士や公認会計士でも廃業する昨今、難関国家資格といえども、「仕事がなければ仕方がない」のです。
「わたしだけのケース」かもしれませんが、50代になって、“なんでそんな資格を持ってるの?”と、資格に精通しているわたしですら「???」となる資格をたくさん取っている人がいましたが、彼は、取った資格とは全く関係のない仕事に就いています。
資格詐欺とまでは言いませんが、50代にターゲットを絞った資格商法は何気に多いので、価値を踏まえたうえで、資格を取得をしてください。
2~3つの業界を除けば、資格は「数」ではありません。
結論から言うと、50代男性がまず取得しておくべき資格は、「第2種電気工事士(通称:2電工)」と「危険物取扱者 乙種4類(通称:乙4)」です。
資格取得を考えているなら、2電工と乙4から、手をつけるのがベストです。
当該2資格を推薦する切実な理由は、まず、「求人の数が多い」からで、他の資格と比べて、格段に「ハズレ」がないのです。
2電工と乙4は、全国満遍なくコンスタントに求人があり、しかも、それぞれ社会の根幹を担う電気とガソリンが対象の資格なので、廃れにくい長寿命の資格となっています。
後述しますが、両資格は、中高年齢でも正社員採用の多い設備・メンテナンス業に強いので(両資格はほぼ必須)、万が一の際は、格段に生活が安定します。
加えて、両資格は、パートタイマーの仕事も多く、“つなぎの仕事”も見つけやすい特徴があります。
いったん失業すると長期化しやすい50代では、貴重な求人の機会を得られるはずです。
その上、両資格は、「激務ではない仕事も多い」ので、体力に自信がなくても何とか仕事をこなすことができます。
このように、2電工と乙4さえあれば、今後、「仕事がなくてどうにもならない」とか「他に行くところがないだろう?的な、足元を見られた低待遇」や、「病気や怪我で生活保護一直線」というような、リスクと危機を避けることができる有用な資格となっています。
安定という点で、2電工と乙4は、頭を1つ2つ飛び抜けたものがあります。
中高齢となると、正社員になるのは格段に難しくなります。
しかし、それでも、比較的なりやすい業種が、ビルメンテナンスといった設備業です。
ビルメンテナンス業では、「資格がないと、法的に作業ができない」ことが多く、資格の取得が推奨されており、2電工と乙4はその最たるものとなっています。
反対に言うと、両資格がないとお話にならない、という塩梅です。無資格者は、ほぼ書類で撥ねられます。
ビルメンテナンス業に必要な資格は、2電工と乙4以外に、「電験3種」や「二級ボイラー」、「第3種冷凍機械責任者」、「消防設備士」といった資格がありますが、まずは、鉄板資格の2つを取ってから、ボチボチ取っていけばいいでしょう。
これらは、年に2~3回ほど本試験が実施されるので受験機会が多く、電験をのぞけば難関資格でもないので、後回しでも大丈夫です。
ところで、本格的に、ビルメンテナンス業に進もうと思っている方は、残りの資格も、積極的に取って行きましょう。持っている方が格段に評価は高いですし、仕事に就けたら、「資格手当」という形で即現金化(1資格あたり2千~5千円@月)するから、損はありません。
なお、後述していますが、設備系資格に興味があるのなら、「二級ボイラー」を、まず狙うといいでしょう。
端的に言うと、50・60代を求める仕事は、あまりありません。
しかし、探せばあるもので、50・60代でもいいですという仕事に、「セルフのガソリンスタンドの監視要員」があります。
当該業務は、モニター越しに給油作業の「立会い」をするのですが、当該仕事の求人文句に、「シルバー歓迎」とか、「68歳まで継続雇用可能」と記されていることが多いのです。
仕事は、安全と防災を司るので責任は大きいですが、それでも、仕事自体は、ボタンを押すという単調なものなので、結構長続きしている方を見受けます。
夜勤を求められることも多いですが、やはり、長く勤められるのは魅力であるかと思います。
当該監視業務をするのに、「乙4」は必須で、定年後のことを踏まえると、「乙4」の魅力は大きいです。
先ほど2電工を推奨しましたが、理系キャリアの方は、「第3種電気主任技術者(通称:電験3種)」を勧めます。
電験3種は、2電工の上位互換資格なので、理系的な素養のある人は、電験3種です。
難易度は、電験3種の方がはるかに高いですが、資格の価値も、応じて高くなっています。まあ、待遇・賃金・職種に巨大な差はないのですが、業務や仕事の選択肢が大きいです。
ちなみに、電験3種があると2電工の筆記は免除です。
ところで、先にビルメン業界に求められる資格を述べましたが、文系キャリアのある方も、できるなら電験3種まで考えておきましょう。
電験3種は、3年間有効の科目合格制度なので、文系でも、がんばれば合格できる資格です。
電験3種は必置資格なので、ビルメン業や設備業等で欲しがられる資格です。不埒なことを言うと、「とりあえず有資格者が欲しい」ところもあるので、未経験でも有資格者にはそれなりのプラスがあります。
電験3種はスグに取れない資格ですが、有力資格として頭の片隅に置いておきましょう。
こういう言い方はよくありませんが、電験3種クラスを持っていれば、50代でも「求人の網」に引っかかります。
2電工と乙4の両資格は「守り」に強いので、資格の価値は高いです。今後、『困り果てる』事態は、大いに避けることができます。
両資格に費やした金銭・時間・労力は、就職・転職の際に、それか、安心・安全という精神的な形で、必ず取り戻せます。
人生の保険・保証として、2電工と乙4は、他の資格と比べて段違いで有用であるといわざるを得ません。
最後に、両資格とも、独学で取得可能なのも、推薦する理由です。
つまり、高額な費用のかかる専門学校に通わなくてもいいし、退屈な講座を受講しなくてもいいし、長時間の試験勉強が強いられるわけでもない、という塩梅です。
さらに付け加えるなら、勉強の手軽さも魅力なのです。
2電工の実技は、どうしても机の前の試験勉強となりますが、2電工・筆記と乙4は、通勤電車内で十分消化できます。
わたしはほとんどを電車の中で済ませました。1本前の電車が人身に遭い、後続の電車内で2時間缶詰になった際に、筆記の過去問を総復習したのがいい思い出になっています。
勉強の手間(取りやすさ)。取得コスト。有用さ。求人の多さ。
2電工と乙4は、費用対効果からして、他の資格と比べて段違いで有用であるといわざるを得ません。
中学生の言い方ですが、現状の「最強資格」は、2電工と乙4です。
資格を取ろうと思うなら、まず、この2資格の取得から始めてください。地球を踏み外さないくらいに、カタイ資格です。
反対に言うと、取っては見たが、どうにもならない「ザル資格」はたくさんあります。
最後に、危険物の乙4の勉強方法は「乙4の独学」を参考に、使用教材は、「危険物:乙4の教材」をばご参考ください。
第2種電気工事士の勉強方法は「第2種電気工事士の独学」を…、
独学向けの教材については、「2電工・筆記教材レビュー」と「2電工・実技教材レビュー」をば、お目汚しください。
諸手を挙げて推奨はできませんが、50代の人には、「二級ボイラー技士」を取得しておくことを勧めます。
この資格を持っていると、すぐ仕事が決まるわけではありません。
しかしそれでも、必置資格である二級ボイラー技士には、資格の中でも“まだ求人のある方”なので、50代・未経験でも、当該二級ボイラー技士免許だけで仕事が決まることもあります。(賃金はビックリ額ですが。)
また、先に推薦した「乙4」を持っているなら、当該資格も併せて取ることを勧めます。
というのも、ボイラーの半分弱は、重油を使う油炊きボイラーだからで、重油の取扱いと立会いのできる「乙4」と相性がいいためです。
最近では、ガス炊きボイラーが増えているので、乙4の地位は低下していますが、それでもまだまだ油炊きのほうが多いので、「乙4+2ボイラ」はセットで持っておく方がいいでしょう。
まあでも、ボイラーの資格は地域差があるため、“温暖な地方”にお住みの方は、考え物です。やはり、ボイラーの需要は雪国の方が多いためです。
とはいえ、病院やホテル、旅館、大型商業施設では、大概、ボイラーがあるので、有資格者の需要があります。暖かいところに住んでる方も、取得しておいて損はないかと思われます。
蛇足ですが、50代の方は、お金がかかりますが、免許証まで発行しておくことを勧めます。せっかく決まりかけた仕事を失いかねないためです。(ガイド参照)
すぐに仕事が決まるわけではありませんが、「管理業務主任者」という資格があります。
管理業務主任者は必置資格で、マンション管理業を営むのに必要な資格です。
求人数はそれほどないのですが、『法的需要』があるので、常に一定の求人があります。
管理業務主任者の仕事は、マンション管理組合との折衝といった「粘り強さ」が求められる仕事なので、管理職に就いている方や、上下間の調整に腕を振るっている方は、適性のある業務となっています。
また、ゼネコンや建設業等で、「マンションの設備・構造」に携わってきたことのある方なら、マンション管理について未経験でも、採用されると聞いています。
また、先の話となりますが、定年後の仕事として、マンションの管理人の仕事があります。
管理業務主任者は、管理人の資格ではありませんが、有資格者にはそれなりの評価が与えられます。
というのも、有資格者の欠員が出てしまうと、会社自体が営業できなくなるので、有資格者の確保は会社にとって大きな意味があるからです。
まあ、もう既に充足しているので、「ないよりかは、あったほうがいい」程度の評価ですが、それでも「ないよりかは、あった方がマシ」です。
定年後の再就職を円滑にする意味でも、50代で管理業務主任者を取っておいて、損はないように思います。
参考:資格ガイド、管理業務主任者の独学、管理業務主任者の教材レビュー
求人のある資格を取りたいのなら、現在は、「登録販売者」が推薦できます。
登録販売者は、一般用医薬品を販売するのに必要な資格で、年々、求人数は伸びて、直近では「1,600件超」の求人があり、販売系の資格としては、突出した需要があります。
参考:最近の登録販売者求人数:ハロワ資格求人数データ
わたしの調査では、登録販売者は、ハロワ登録の資格の中でも、有数の右肩上がりの資格で、高齢化社会で薬の需要も続きますから、応じて、寿命の長い資格になる公算が大です。
「登録販売者」は、超絶に賃金は増えませんが、「法的需要」があるので、強い資格です。「販売系」や「営業系」の履歴のある人は、狙う価値のある資格です。
勉強期間は「2~4ヶ月」で、合格率は「40~50%」です。試験勉強の負担は少ない方です。
勉強方法等は「登録販売者の独学」を、使用教材は「教材レビュー」を参考にしてみてください。
正直言うと、50代になって、会計的な事柄に接触がなかった人は、「縁がなかった」としか言いようがありません。
ですから、簿記3級を取ったとしても、仕事にも、就職や再就職にも、直接、役には立たないでしょう。
とはいえ、簿記3級を取っておくと、定年後に、「株式投資」という結構、頭脳を使う趣味を持てます。
1ヶ月か2ヶ月、簿記3級のテキストの前で計算機をいじっておれば、決算や帳簿、会計や財務や経理といった“会社の数字”に苦手意識は持たなくなりますし、合格した後で、企業分析に関する本を数冊読めばいいです。
簿記3級には、会計的なことの基礎が詰まっているので、下手な会計本を読むより、はるかに身に付くものが多いです。
定年後は時間が自由になりますから、株式投資にも、多くの時間が割けます。
企業の財務諸表や有価証券報告書が、曲りなりにでも読めるようになる簿記3級は、定年後の実益を兼ねた趣味を作るうえでも、有用かと思います。
参考:「簿記3級で、ぶっちゃけいいんでない?-知識・素養編」
勉強方法等:簿記3級の独学
独学向け教材:簿記3級の教材レビュー
50代の人にとって、士業系資格による独立・開業で大事なことは、「経験」です。
わたしが言いたい「経験」とは、当該士業職に関する実務的経験や知識ではありません。
ここで言う「経験」とは、「事業をやったことがあるか、どうか」です。
50代の方が士業資格を取って独立・開業したいという方に、わたしが「がんばってください!」というときには、明確な基準があります。
その基準とは、今までに、会社を潰したことがあるとか、何かしらの事業をやっていたが畳んだとか、会社で新規事業の立ち上げをゼロからやったといった、『商売』の経験があるかどうか、です。
こう言うとアレですが、本当に、心底『独立開業』したいのであれば、50代になる前に、何かしら事業をやっておかないといけないのです。
商売に関しては、「1度のある・なし」が実に重要で、ずっと会社勤めをして50を迎えたという人と、経営者となって1度でも痛い目にあった人とは、全く事情が異なります。
失敗は成功の元といいますが、ホントその通りで、失敗していない人は、「元」がないので、ほぼ失敗します。
30代や40代の若いうちなら、その失敗を、体力を持ってカバーできますが、50代となると、もう体力的に、そして、時間的にも厳しいのです。
ずっと会社勤めだったという方は、士業資格による独学・開業を勧めませんし、従って、資格の取得も勧めることができません。
よく、「カーネルサンダースは、60になって成功した」なんていいますが、逆を言えば、彼以外にうまく行った人はあまりいない、という証左ではないでしょうか。
また、彼も、かなりの失敗を重ねて60を迎えたことも、絶対に見落としてはいけないと思います。
最近の士業系の資格は、少々覚悟がいるくらい、難化しています。
安易な挑戦は、本当に時間を無駄にするどころか、晩節を汚しかねないので、よくよく考えて受験するようにしてください。
「廟算して勝つ」といいますが、「開業する前から、もう顧客がいる」くらいの下準備ができて、挑戦するくらいが丁度いいです。
そして、就職や転職目的での士業系資格の取得は、絶対に勧められません。
一般企業で、士業系資格は、ほとんど評価されません。士業系の資格は、その士業系法人くらいしか、仕事の口がありません。
就職や転職に強い資格は、別にあります。
わたしは社労士や行政書士を取りましたが、正直言って、今となっては、同じ苦労をするなら、『電験3種』に時間や労力を割くべきだったと思います。就・転職に直結するからです。
少々きついことを言いましたが、夢は夜見るもので、昼見るべきは3年分の事業計画書です。
上述した資格以外の有用な資格を探しているなら、ハロワの求人数を元に、独学で取れる資格の価値をクラス別に分類した「独学資格ガイド」を参考にしてみてください。
役に立たない資格は、ごまんとあります。ぶっちゃけ、役に立たない資格の方が多いくらいです。
また、資格を履歴書の資格欄に書くと、面接の際に「何でこの資格取ったの?」的な質問をされる可能性が高いです。
先に述べた「独学資格ガイド」ですが、そこそこ、面接対策に使えると思うので、質疑応答の補強に利用ください。
また、ハロワ登録の資格・免許の求人数データもあります。
頭に特定の資格なり免許があるなら、一度調べてみることをオススメします。やはり、「求人のない資格」は「当て」になりません。
★みんなとシェアする