簿記2級は、かつては過去問だけで済んでいたが、昨今は軟化傾向にあるので、過去問演習だけでは不十分となっている。そこで、「予想問題集」を追加しなくてはいけないのだが、本ページでは、予想問題集を解く理由と、「偵察」と「解く順番」といった効果的な利用方法を説述する。
かつては、過去問演習で合格できていましたが、難化している昨今では、予想問題集などを追加して、さらなる問題演習が必要となっています。
予想問題集を解く理由は、「プロの技を買う」ためです。
簿記2級試験は、いったん問われた論点は、次からさらに高度・複雑化して問われる傾向があります。
また、簿記1級で問われた論点を、2級用に調整して出題する傾向もあります。
そして、実務動向です。たとえば、研究開発費は、法人税の減税と関わるので、実務上、重要な論点となっており、今後の出題が大いに予想されます。
こうした、教材“外”の情報に対しては、どうしても受験生は疎くなります。いちいち1級の過去問をチェックするわけにも、国税庁の法改正PDFを熟読するわけにもいきません。
であるが故に、プロの技を買う、という次第です。
過去問の膨大な蓄積や過去の試験データ、そして、実務動向を踏まえて作られる予想問題集は、情報収集という点で、かなり効率の良い作業かと思います。
「ド素人の受験生」が考える「ぼくたちのよそう」に比べたら、格段に精度の高いものとなっています。
予想問題集を解くと、従来にない問題に接するので、「応用力」が、格段に鍛えられます。
(あーこういう風に突っ込まれると解けないな)を、前もって数多く経験しておけば、格段に落ち着いて(動揺を抑えて)、本試験に臨めます。
そして、予想問題集を1~2冊も解いておけば、“やることはやった”という、自信も付きます。
また、予想問題集の多くの問題は、基本は過去問の焼き直しなので、過去問のよい復習に、過去問の理解度のチェックに有効です。
このような利点があるので、予想問題集までを、試験勉強の対象とすべき、という次第です。
まあ、ぶっちゃけ言うと、「予想」そのものはよく外れます。
しかし、それでも、予想問題集は、「問題演習数の確保」という点で、大きく貢献するはずです。
そら、過去問演習だけの人と、予想問題集まで問題演習の「数」を稼いだ人なら、後者の人が受かります。
合格とは、とどのつまり、問題演習の「数」だからです。
予想問題集を解く際は、「偵察」を必ずやってください。
当該偵察は、3~5分くらいの、ざっと見で結構です。
貴重な試験時間を、わざわざ「偵察」に割くのは、第1問から第5問まで、どのような出題なのかを、ざっと把握することで、「解く順番に変化をつける」ためです。
第1問は仕訳、第2問は変則、第3問は試算表といったように、問題が定型化した試験だと、解く順番も決まりがちです。
多くの方は、解きやすい1問から順々に解いていくことでしょう。
しかし、だからこそ、気をつけるべきなのです。出題者は、受験生の斜め上を行きます。
資格試験でよくあるイヤらしい手法に、「最初に難問を配置して、後の方にカンタンな問題を配する」ことがよくあります。
定番の第1問の仕訳問題に、“ぶっ飛んだ”問題を多数配置して、受験生の動揺を誘うことは、とても予想できるのです。
また、第1~3問に、時間のかかる問題を多数配置して手間取らせて、普通レベルの工業簿記・原価計算の時間を足りなくさせることも、これまた考えられるのです。
試験の傾向は、今後、どのように変わるかわかりません。安易な予断は自滅の元です。
こんな次第で、予想問題集を解く際は、いきなり第1問目から解くのではなく、どの問題から手を付けるか、「解く順番の練習」も行ってください。
ざっと全問題を見渡して、第4問と第5問の工業簿記・原価計算がカンタンそう・解けそうなら、そっちから解答するのもいいでしょう。
おおむね例年通りなら、第1問でウォーミングアップ、第4問と第5問で得点確保、第2問と第3問で合格点まで上乗せする、ってな解き方もありです。
第1問の仕訳問題で、時間がかかりそうなら、後回しにして、“他の取れそうな問題”から始めてもいいのです。
『問題を解く順番』は、不動のものではありません。
先も言ったように、出題者は常に斜め上を行くので、予断はないほうがいいです。
「偵察」→「解けそうな問題・点が取れそうな問題から解く」という練習を通して、解答のシュミレーションをいろいろしておきましょう。
点数の可能性も格段に上がります。なにより、「時間配分」が、かなりうまくいきます。
使用する予想問題集の詳細は、「教材レビュー」で述べていますが、読むのがメンドクサイ人は…、
TACの「TAC直前予想 日商簿記2級」や「無敵の簿記2級」、成美堂の「日商簿記2級完全予想模試」などを使えばよいでしょう。
簿記2級に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。興味のある方は、「簿記2級:ブログ記事」をばご参考ください。
そのほか、「簿記のコツ-それは計算機」や「計算機打ち方例」なども役に立つかと思います。
さらに、「検算のコツ」も知っておくと、磐石でしょう。
また、簿記2級の求人数等を、「簿記2級独学資格ガイド」に挙げていますので、ご高覧をば。
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