簿記3級の傾向について。昨今の簿記3級には、「問題文が高度・複雑化」「新しい問題が登場‐試験が非定型化」「実務重視」といった変化が見られているので、対策を練る必要がある。
簿記3級の全体的な傾向は、以下のように、3つに渡って変わってきています。
過去の簿記3級は、出題が定型化していてほぼ過去問通りだったので、問題文なんかは読まずに、(ああ、これね)的な感じで、即、解答ができていました。
しかし、最近の簿記3級では、「問題文をしっかり読まないと、解答できない」ように変わっています。
たとえば、第1問の仕訳問題で、意図的に誤読を促すような記述(フェイク)を文中に挿入してきており、「何が、簿記上の取引なのか?」を把握させた上での解答を要求しています。
たとえば、「第141回:仕訳問題‐第4問 仕入応用」などは、顕著な問題です。こんな問題、以前は皆無でした。
試験問題の全体で、暗記や記憶だけでは、(え?どうしたらいいの?)的な混乱が生じる『仕掛け』が増えており、明らかに『底の浅い受験生を落としにかかっている』ように見受けられます。
簿記3級には、計算能力以上に、『読解力』と、それに応じた『判断力』も必要になっています。
問題文や資料を読む癖をつけ、問題の趣旨に応じた解答を、日ごろからやっておかないと、本試験で対応できない危惧があります。
これまでの簿記3級は、ド定番の問題ばかりで、試験問題の変化はそうありませんでした。
しかし、新しい問題が、ぞくぞくと出るようになっています。
たとえば、第5問は、ほぼ精算表だけだったのに、財務諸表の作成まで、出題されるようになっています。
内容的にも、これまでにはなかった「純損失」が顔を出すなど、今後も、「これまでにない出題」が増える公算が『大』です。
おそらく、当該「新しい問題」の採用は、「パターン学習と暗記と記憶」だけの受験生を落とすための措置のように見受けられます。
「パターン」だけの受験生に、見たことのない問題を当て、パニックに陥れようとする『出題者の善意』の存在を、わたしたちは知っておかねばなりません。
「先入観」は危険です。外れると、パニックの元だからです。
簿記3級では、テキストや問題集、過去問では見たことのない「新しい問題」が、“常に”出題されることを覚悟し、冷静に対処する心構えを練っておく必要があります。
かつては、仕訳さえ切れたら、合格でした。
しかし、昨今は「実務重視」を受けて、簿記のさまざまな論点・観点が、試験問題に採用されています。
代表的なのが、「簿記一巡の流れ」を把握していないと、うまく解けない問題の増加です。
「簿記一巡の流れ」とは、「再振替仕訳→期中取引の仕訳→決算整理仕訳→決算振替仕訳」のことで、それぞれの段階の仕訳(処理)はもとより、「今、目の前の取引なり処理の前後」まで、把握できているかを試してきています。
単に仕訳を暗記しただけでは、点につながらなくなっています。テキストを精読して、『取引』の理解と繋がりを押さえてください。
また、「実務重視」で顕著になっているのが、「帳簿記帳」です。
仕訳帳から総勘定元帳、商品有高帳や売掛金元帳、当座預金出納帳といった補助簿等々、帳簿がらみの出題が増加しています。
つまり、仕訳のみならず、その『集計』と『転記』までが問われているという次第で、「実際に即した勉強」を意識していないと、点が取れなくなっています。
また、帳簿の記入方法も、注意しなくてはいけません。
帳簿への記入は、「金額や残高」だけではなく、「摘要」欄や「仕丁」欄、「借/貸」欄といったところまで問われる(配点がなされる)ことがあるので、繰り返しますが、「実際に即した勉強」を意識する必要があります。
そのほか、帳簿の締め切りはもとより、個々の帳簿の関係、たとえば、補助簿と補助元帳との対応等も出題されており、仕訳さえ切れたら受かった時代は、完全に過去のものになっています。
今でも仕訳は重要ですが、もう「それだけ」ではないので、テキストで「帳簿記帳」の手順や要領をしっかり押える必要があります。
なお、当該「帳簿組織」の論点は、簿記2級でも問われるので、しっかり勉強しておきましょう。
独学向け教材は、「教材レビュー」です。なお、「簿記3級の簡易廉価版教材」も参考をば。
簿記3級の中で異色のメンドクサさを誇るのが為替手形です。当該論点についてはブログの方にまとめているので、「ブログ:簿記3級-為替手形」を参考ください。
仕訳問題は、「簿記3級の仕訳問題」を参考ください。
そのほか、簿記3級に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。興味のある方は、「簿記3級:ブログ記事」をばご参考ください。
また、電卓の打ち方についてを、「簿記のコツ-それは計算機」や「計算機打ち方例」で述べてます。お目汚しください
「検算のコツ」を知っておくと、計算ミスを結構防げます。
なお、お手持ちの電卓が、試験で使えるかどうか不安な方は、「簿記の電卓」を参考ください。
また、簿記3級の求人数等を、「簿記3級独学資格ガイド」に挙げていますので、ご高覧をば。
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