皮膚に用いる薬の総論的なまとめ

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 登録販売者の試験科目「主な医薬品とその作用(通称:医薬品)」の「皮膚に用いる薬」の総論的なことや、○×問題、頻出事項のまとめ。試験のポイントやコツなど。過去問も例題として挙げる。

インデックス

  1. ひとくち「皮膚に用いる薬」
  2. 皮膚に用いる薬リンク
  3. 時間のない人‐捨てる・捨てない
  4. 時間のある人
  5. よく出るところ1‐使用上の注意
  6. よく出るところ2‐水虫薬の注意
  7. よく出るところ3‐受診勧奨‐○○日間使って
  8. よく出るところ4‐受診勧奨‐殺菌消毒薬
  9. よく出るところ5‐受診勧奨‐抗炎症・鎮痒・鎮痛成分
  10. よく出るところ6‐受診勧奨‐角質軟化剤
  11. よく出るところ7‐受診勧奨‐にきび薬など
  12. よく出るところ8‐受診勧奨‐水虫薬
  13. よく出るところ9‐症状

ひとくち「皮膚に用いる薬」

 第10節「皮膚に用いる薬」は、結論から言うと、臨機応変にやるところです。

 当該「皮膚に用いる薬」は、都道府県によって、出題数に大きな違いがあります。

 たとえば、旧大阪府試験では、少なくて「2問」、多くても「3~4問」くらいしか出ません。

 しかし、東京や福岡では、最低でも「3問」が出題され、多いときだと、「5問」も出るときがあります。

 このように、本節の出題は「約2~5問」と、かなりの『幅』のあるので、受験予定の都道府県の出題状況を把握することが重要です。

 各都道府県の公式ページから、PDFの過去問をダウンロードしてきて、当該「皮膚に用いる薬」の出題数を確かめてください。

 出題数が「多い」のなら、本腰を入れます。

 出題数が「少ない」のなら、出るところやメイン成分のみやって、枝葉末節の成分は捨ててしまいます。

 あまり出ないのに一生懸命にやる必要はありません。反対に、よく出るのなら、しっかり勉強しておくほうが点が稼げます。

 当方の受験地は、あまり出ない大阪府だったので、当該「皮膚に用いる薬」は、あまり勉強しませんでした。試験前日になって、(アレレ、こんなんあった?)的な状態でしたが、それでも受かっております。

皮膚に用いる薬リンク

 では、「医薬品」の第10節「皮膚に用いる薬」の各成分へのリンクです。

皮膚の薬

 総論とかのまとめ

殺菌消毒成分

 アクリノール

 オキシドール

 ポビドンヨード

 ヨードチンキ

 ベンザルコニウム塩化物

 ベンゼトニウム塩化物

 セチルピリジニウム塩化物

 セトリミド

 クロルヘキシジングルコン酸塩

 クロルヘキシジン塩酸塩

 マーキュロクロム

 エタノール(消毒用エタノール)

 イソプロピルメチルフェノール

 チモール

 フェノール(液状フェノール)

 レゾルシン

ステロイド性抗炎症成分

 デキサメタゾン

 プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル

 プレドニゾロン酢酸エステル

 ヒドロコルチゾン

 ヒドロコルチゾン酪酸エステル

 ヒドロコルチゾン酢酸エステル

ほてり・痒み等緩和成分‐非ステ成分

 ブフェキサマク

 ウフェナマート

鎮痛目的成分‐非ステ成分

 インドメタシン

 ケトプロフェン

 フェルビナク

 ピロキシカム

 ジクロフェナクナトリウム

その他‐非ステ成分

 サリチル酸メチル

 サリチル酸グリコール

 イブプロフェンピコノール

その他の抗炎症成分

 グリチルレチン酸

 グリチルリチン酸二カリウム

 グリチルリチン酸モノアンモニウム

局所麻酔成分

 ジブカイン塩酸塩

 リドカイン

 アミノ安息香酸エチル

 テシットデシチン

 アンモニア

抗ヒスタミン成分

 ジフェンヒドラミン

 ジフェンヒドラミン塩酸塩

 クロルフェニラミンマレイン酸塩

 ジフェニルイミダゾール

 イソチペンジル塩酸塩

局所刺激成分

 メントール

 カンフル

 ハッカ油

 ユーカリ油

 カプサイシン

 ノニル酸ワニリルアミド

 ニコチン酸ベンジルエステル

 トウガラシ

 クロタミトン

収斂・皮膚保護成分

 酸化亜鉛

 ピロキシリン(ニトロセルロース)

組織修復成分

 アラントイン

 ビタミンA油

血管収縮成分

 ナファゾリン塩酸塩

血行促進成分

 ヘパリン類似物質

 ポリエチレンスルホン酸ナトリウム

 ニコチン酸ベンジルエステル

 ビタミンE(トコフェノール類)

角質軟化等

 サリチル酸

 イオウ

 グリセリン

 尿素

 ワセリン

 オリブ油

 ヘパリン類似物質

抗菌成分

 スルファジアジン(サルファ剤)

 ホモスルファミン(サルファ剤)

 スルフイソキザゾール(サルファ剤)

 バシトラシン

 硫酸フラジオマイシン

 クロラムフェニコール

抗真菌成分

 オキシコナゾール硝酸塩

 ネチコナゾール塩酸塩

 ビホナゾール

 スルコナゾール硝酸塩

 エコナゾール硝酸塩

 クロトリマゾール

 ミコナゾール硝酸塩

 チオコナゾール

 アモロルフィン塩酸塩

 ブテナフィン塩酸塩

 テルビナフィン塩酸塩

 シクロピロクスオラミン

 ウンデシレン酸

 ウンデシレン酸亜鉛

 ピロールニトリン

 トルナフタート

 エキサラミド

頭皮・毛根用薬

 カルプロニウム塩化物

 エストラジオール安息香酸エステル

時間のない人‐捨てる・捨てない

 結論から言うと、時間のない人は、「使用上の注意」と「受診勧奨・常識問題」に尽力します。

 当該2論点は、最も費用対効果が高いからです。

 逆を言えば、「個々の成分」は、割が合わない、といった寸法です。

 先の2つ「使用上の注意」と「受診勧奨・常識問題」は、憶えることが少ないので、ここだけやっておくだけで、「皮膚に用いる薬」のうち、最低「1点」を取ることができます。

 対して、個々の成分は、そこそこに分量が多いので、時間と手間を食います。

 試験まで時間がないなら、最悪は捨ててしまって、風邪薬などの頻出成分を消化するほうが、最終的な点は高くなるでしょう。

捨てるのは、もったいないところ

 時間がないときは、「捨て問」といいましたが、できるだけやっておきたいのが、頻出成分の「殺菌消毒成分」「ステロイド性抗炎症成分」「非ステロイド性抗炎症成分」「毛髪・毛根薬」です。

 これらをやっておけば、少なくとも「1~2点」は上乗せできるはずです。

 特に、狙い目なのは、「毛髪・毛根薬」です。

 おおむね「3回に1回」試験に出題される成分なのですが、手引きでの記述は、1~2ページくらいしかないです。

 んなもんで、少ない手間ながら、「33%」の期待率で「1点」が狙えます。

捨ててもよい

 正直、捨ててもよいのは、「抗菌成分」「抗真菌成分」「局所刺激成分」「角質軟化剤」などです。

 「バシトラシン」とか「硫酸フラジオマイシン」などです。

 マイナー成分のため、試験に出ることは出るのですが、そう毎回出るわけではないので、費用対効果は、良くないです。

 時間に余裕がないなら、「捨て問」でも、仕方がないと言えます。

 捨てた成分は、リビングで配偶者と2人きりになったときや、「メンドクサイ成分は、行きの電車の中でやる‐登録販売者」でも述べていますが、試験会場に行く電車の中などで消化するとよいでしょう。

時間のある人

 時間に余裕のある人は、全部やりましょう。

 本試験問題は、テキストを精読していれば取れるものばかりです。

 合格の「保険」は、いくらあっても不足するものではありません。

よく出るところ1‐使用上の注意

 当該「皮膚に用いる薬」は、「使用上の注意」が実によく出ます。

 「患部を清浄にして使用する」と「入浴後に用いる」などがド頻出です。

 患部が汚れていると、有効成分が浸透しません。また、入浴後だと、角質がやわらかくなって、有効成分が入りやすくなります。

 試験では、「外皮用薬を適用する皮膚表面に皮脂が多く付着していると、有効成分の浸透性は高くなる」などと出ます。いうまでもなく、「×」です、

 次いで、「剤形」別の注意がよく出ます。

 塗り薬(軟膏剤、クリーム)は、直接手に取ると雑菌が入りやすいので、手の甲などに必要量を取ってから使用します。

 試験には、先の文言が、そのまんまで出ています。

 貼付剤(テープ剤、パップ剤)は、同じところに連続して貼ると、かぶれなどを生じやすくなります。

 なお、パップ剤とは、パテックスとかサロンパスといった、湿布的なものです。

 試験では、「貼付剤を同じ部位に連続して貼付すると、かぶれ等が生じやすくなる」などと出題されています。「○」ですね。

 スプレー剤・エアゾール剤は、その強い刺激から、目の周辺や粘膜(口唇など)へは使用を避けます。凍傷を起こす可能性があるので、患部から十分に離して使用し、連続して噴きつけるのは3秒以内にするのが望ましくなっています。

 試験では、「エアゾール剤は、至近距離から同じ部位に連続して噴霧することが望ましい」とか、「スプレー剤は、5秒以上、連続して噴霧することが望ましい」といった感じで出ています。両方とも、「×」です。

 「使用上の注意」を目にする度に、チェックしておきましょう。

よく出るところ2‐水虫薬の注意

 一度でも、水虫のお世話になった人はすぐわかりますが、そう出ない人は、以下のことをきっちり押さえておく必要があります。

 じゅくじゅくと湿潤(しつじゅん)している水虫には、軟膏・クリームが適しています。

 皮膚が厚くて角質化しているところは、液剤が適しています。

 上記の薬剤の違いは、1問丸々で出題されたことがあるので、憶えておくべきです。選択肢の1つとしても、頻出です。

 んで、次の頻出論点は、「湿疹と水虫の初期症状は似ていることが多く、湿疹か皮膚糸状菌による皮膚感染がはっきりしない場合は、症状の悪化を招くことがあるので、水虫薬の使用は不適切」です。

 本試験では、「湿疹か皮膚糸状菌による皮膚感染かはっきりしない場合には、抗真菌成分が配合された医薬品が第一選択薬として使用される」などと出題されます。

 はっきりしない場合は、抗真菌成分の入った水虫薬の使用は不適切です。よって、「×」です。

よく出るところ3‐受診勧奨‐○○日間使って

 まず、よくある「○○日間使って症状の改善が見られないとき」から見ていきます。

 水虫の薬は、「2週間」使っても改善しないときは、他の病気か真菌類が耐性を持ったと考えられます。

 んで、水虫以外の外皮用薬(殺菌消毒薬や筋肉痛の薬、にきびの薬など)は、「5~6日」使用しても改善ないときは、医療機関を受診する、となっています。

 「水虫薬(2週間)」と「水虫薬以外(5~6日)」で憶えるのが一番楽かと思います。

 なお、頭皮・毛根用薬には、上記のような「○○日間使っても」は、ありませんでした。

よく出るところ4‐受診勧奨‐殺菌消毒薬

 殺菌消毒薬の使用は、出血が止まらないとき・出血が著しいとき・患部が広範囲のとき・ひどいやけどの場合は、事態を悪化させるおそれがあります。

 よって、上記の状態の場合は、「受診勧奨」です。

 次に、「低温火傷」は、表面上は軽そうでも、組織の深部が痛んでいるときがあるので、「受診勧奨」です。

 殺菌消毒薬を連続使用すると、皮膚常在菌が少なくなって、かえって治癒しにくくなったり、状態を悪化させたりします。

 出題例は、「殺菌消毒薬を連用すると、皮膚常在菌が活発になり、傷の治りがよくなる」とか、「患部が広範囲のときやひどいやけどには、速やかに殺菌消毒薬を使用する」などです。

 当然、両方とも「×」です。

 このあたりは、実によく出ます。テキストを精読しておきましょう。

よく出るところ5‐受診勧奨‐抗炎症・鎮痒・鎮痛成分

 抗炎症・鎮痒・鎮痛成分ですが、「慢性」がキーワードです。

 慢性の湿疹や皮膚炎、症状が広範囲のときは、他の病気や疾患の可能性があるので、「受診勧奨」です。

 試験では、「ヒドロコルチゾンは、慢性的な炎症の抑制や、痒みや発赤などの皮膚症状を抑える」といった感じで出題されています。当然「×」です。

 アトピー性皮膚炎は、医師による専門の診断が必要であり、一般用医薬品では対処できません。

 原因がはっきりしない痒みや痛みを、一般用医薬品で安易に緩和することは、不適切です。「受診勧奨」です。

 著しい痛みや長引く痛み、脱臼や骨折が疑われる場合は、「受診勧奨」です。

よく出るところ6‐受診勧奨‐角質軟化剤

 「いぼ」については、「医薬品」のみが認められています。

 「たこ」や「うおのめ」には、配合成分や濃度が一定の範囲のものは、「医薬部外品」として扱われます。

 「いぼ」が広範囲に生じている場合や、外陰部や肛門周辺に生じた場合は、「受診勧奨」です。

 上述の論点は、「福岡県 R3 第93問」や「広島県 R4 午後第31問」で、出題実績があります。

 過去問に出たことは、甘く見てはいけないので、テキストを精読しておきましょう。

よく出るところ7‐受診勧奨‐にきび薬など

 患部が広範囲なときや患部の温潤やただれがひどいときは、「受診勧奨」です。

 問題文を読んで、一般用医薬品では対処できそうにないときは、ほぼ「受診勧奨」です。

よく出るところ8‐受診勧奨‐水虫薬

 水虫薬を使ったことのある人なら、大丈夫ですが、そうでない人に述べ置きます。

 水虫薬は刺激が強いので、目や目の周辺、粘膜(口唇)、陰のうや外陰部などに使用は避けます。

 陰のうや外陰部は、角質層が薄いので、水虫の原因である白癬菌は、寄生しにくくなっています。それらの湿疹等は他の病気の可能性があります。

 刺激成分により、強い痛みや刺激が現れるため、湿潤、ただれ、亀裂や外傷のひどい患部には使用を避けます。

 化膿しているときは、抗菌成分を含んだ外用剤を使用するなどして、化膿が治まってから使用するのが望ましい、となっています。

 患部が広範囲なときは、「受診勧奨」です。

 水虫で苦しんだ人には、自明の理ですが、そうでない人は、実感がわかないと思います。テキストを精読しておきましょう。

よく出るところ9‐症状

 「皮膚に用いる薬」が対象とする「症状」ですが、ときたま試験に出るので、注意が必要です。

 テキストには…、

 「うおのめ(鶏眼)は、角質の芯が真皮に食い込んでいるので、圧迫されると痛みを感じる。」

 「たこ(胼胝‐べんち)は、芯がなく、通常痛みはない。」

 「いぼ(疣贅‐ゆうぜい)は、小形の良性腫瘍で、ウイルス性と老人性に大別される。ウイルス性のものは1~2年で自然寛解することが多い。」

 「にきび・吹き出物は、皮膚常在菌のにきび桿菌(アクネ菌)が毛穴で増殖することにより生じる。」

 「面疔(めんちょう)は、黄色ブドウ球菌などの化膿菌が毛穴から侵入し、皮脂腺・汗腺のなかで増殖して生じた吹き出物が顔面に生じたもの。」

 「とびひ(伝染性膿痂疹)は、虫刺されやあせも、掻き傷から化膿菌が侵入し、爛れや水泡が生じたもの。水泡が破れて分泌液が付着すると、他の部位や他の人の皮膚に広がることがある。小児に発症しやすい。」

 「みずむしは、皮膚糸状菌(白癬菌)という真菌が皮膚に寄生することに起きる疾患である。」

 「水虫は部位によって呼び名が変る。」

 「みずむし…指の間、足底」

 「ぜにたむし…胴、四肢」

 「いんきんたむし…内股」

 「爪白癬…爪。難治性。全身的な治療が必要。」

 「しらくも…頭部。小児に多い。」

 …などが記載されています。

 たまに、選択肢の1つとして、顔を見せるくらいですが、基本論点ではあるし、知っておいて損もないので、押えておきましょう。

独学向け教材

 使用教材の詳細は「教材レビュー」に述べていますが、読むのが面倒な人は…、

 テキストは、初心者向けでオマケ付きの「 らくらく完全攻略!登録販売者試験合格テキスト&問題集 第4版 」で…、

 過去問は、掲載問題数が一番多い「 超重要!登録販売者過去問題集 '24年版 (2024年版) 」を使えば支障ありません。

こまごましたもの

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