登録販売者 試験問題作成に関する手引き 令和5年度の改正について

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

登録販売者試験の「試験問題作成に関する手引き」が、令和5年4月に改正。このページでは、改正の全体的な概要と、各科目の改正の解説ページのリンクをまとめている。当該年度の改正箇所は、主として「2個」。既存のテキストへの加筆修正で間に合う。

令和5年度 改正 インデックス

  1. 令和5年度 改正 解説
  2. 【重要】試験に出るのか?出ないのか?
  3. 登録販売者 店舗管理者・区域管理者
  4. 研修中の登録販売者‐名札
  5. 濫用等のおそれのあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品

令和5年度 改正 解説

 登録販売者試験の「試験問題作成に関する手引き」が、令和5年4月に改正されました。

 改正事項のうち、試験に影響が出そうなものは、「3つ」です。

 「法規」の「店舗管理者・区域管理者」と「研修中の登録販売者」と、「濫用等のおそれのあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品」です。

 「第二類医薬品又は第三類医薬品」を扱うところの「店舗管理者・区域管理者」が、今回の改正の目玉です。

 とはいえ、「250文字」くらいの加筆なので、大きな負担はありません。

 んで、次の、「研修中の登録販売者」は、実質的に「問題なし」です。

 最後の「濫用等」は、「文言削除」の改正で、受験生の負担が減るラッキー改正です。

 こんな次第で、令和5年度の改正ですが、負担は少ないので、そう神経質になる必要はありません!

【重要】試験に出るのか?出ないのか?

 結論から言うと、登録販売者の改正事項は、即、その年の試験に出るようになったので、ガチで押えなくてはいけません。

 以前の試験では、改正事項は、すぐには試験に出なかったのですが、令和4年度(2022年度)の改正より、“ふつう”に、その年の試験問題に登場しています。

 令和5年度も、当然に出そうなので、ガチで押えておきましょう。

登録販売者 店舗管理者・区域管理者

 登録販売者が「第二類医薬品又は第三類医薬品」を扱う店舗・区域の管理者になる実務経験に、改正がありました。

 以前は、「(登録販売者が第二類医薬品又は第三類医薬品を扱う店舗管理者・区域管理者になるには、)過去5年間のうち通算して2年以上(従事期間が月単位で計算して、1か月に80時間 以上従事した月が24月以上、又は、従事期間が通算して2年以上あり、かつ、過去5年間に おいて合計1,920時間以上)ある」ことが要件でした。

 しかし、改正によって、以下の…、

 「① 一般従事者(その薬局、店舗又は区域において実務に従事する薬剤師又は登録販売者以外の者をいう。)として薬剤師又は登録販売者の管理及び指導の下に実務に従事した期間」

 「② 登録販売者として業務(店舗管理者又は区域管理者としての業務を含む。)に従事した期間が、」

 「過去5年間のうち通算して1年以上(従事期間が月単位で計算して、1か月に160時間以上従事した月が12月以上、又は、従事期間が通算して1年以上あり、かつ、過去5年間において合計1,920時間以上)あり、

 「(略)毎年度受講する必要がある研修に加えて、」

 「店舗又は区域の管理及び法令遵守に関する追加的な研修を修了している

 「ことが必要である。」

 「ただし、これらの従事期間が通算して1年以上であり、かつ、過去に店舗管理者等として業 務に従事した経験がある場合も店舗管理者となれることとされている。」

 …が、追加されました。

最短1年

 要は、以前は、「通算2年以上」とあったので、最低でも「2年」は従事(在籍)してないとダメでしたが、改正によって、「最短1年+講習2個」で、管理者になれるようになった、ってな次第です。

 今回の改正は、ドラッグストア等で、フルタイムで働く人や転職者等の救済措置かと思われます。

 以前は、フルタイムの人(1日8時間勤務で、月20日以上勤務)なら、「8*20*12」で、最初の1年間で「1,920時間」に達せていたわけです。

 しかし、「2年以上の従事」の規定しかなかったため、管理者になれなかったわけです。

 また、転職者等の場合、過去5年間で通算して1,920時間を達成していても、最低「2年」は、従事(在籍)が求められていたわけです。

 しかし、今回の改正で、1,920時間を満たしておれば、「1年」の従事で、講習を2個受けて、管理者になれるようになった、ってな次第です。

講習2個に注意

 講習ですが、「2個」あるので、注意してください。

 求められる研修は、「毎年度受講する必要がある研修」と、「店舗又は区域の管理及び法令遵守に関する追加的な研修」です。

 出題者は、どちらかを、意図的に「抜いてくる」可能性があります。

 たとえば、「過去5年間のうち通算して1年以上(略)ある登録販売者は、“   ”、店舗又は区域の管理及び法令遵守に関する追加的な研修を修了していれば、店舗管理者となれる」ってな感じです。

 「×」です。例題では、「毎年度受講する必要がある研修」が抜けています。

 1年ケースの場合、講習は「2個」なので、意識して見ておきましょう。

 んで、2年ケースの場合、講習は無用なので、整理しておきましょう。

 たとえば、「過去5年間のうち通算して2年以上(略)ある登録販売者は、店舗又は区域の管理及び法令遵守に関する追加的な研修を受ければ、店舗管理者となれる」などの問題です。

 「×」です。そんな規定は、ありません。「追加的な研修」は、1年ケースのみです。

 本試験では、ここまで凝った出題はないと思いますが、念のため、見ておきましょう。

改正は、「第二類医薬品又は第三類医薬品」なので注意!

 今回の改正は、「第二類医薬品又は第三類医薬品」を扱う店舗・区域が対象です。

 第一類医薬品を扱うところの改正ではないので、注意してください。

 第一類医薬品の管理者規定は、これまで通り、3年以上の従事経験+薬剤師の補佐が必要です。

 整理して憶えてください。

但し書きにも注意!

 先の改正のうち、「但し書き」のところにも、注意してください。

 しばしば出るところだからです。

 該当箇所を挙げると…、

 「ただし、これらの従事期間が通算して1年以上であり、かつ、過去に店舗管理者等として業 務に従事した経験がある場合も店舗管理者となれることとされている。」

 …となっています。

 昔は、「従事期間が通算して2年以上であり」だったのですが、最短1年の改正により、「従事期間が通算して1年以上であり」と変更されています。

 ここは、なぜだか、よく出る規定なので、押えておきましょう。

 数字については、「法規の数字」も、参考にしてください。

研修中の登録販売者‐名札

 「名札」の論点に、「研修中の登録販売者」が登場します。

 先の管理者規定の改正に伴い、当該論点も改正されたって次第です。

 つまりは、以前は、「過去5年間のうち通算して2年以上の実務経験」がない登録販売者は、名札には、「研修中」などと明記しなくてはならなかったのが、条件さえ満たせば、「通算1年」の実務経験で、「登録販売者」という名札を使うことができるようになった、ってな次第です。

 実質的に、先の管理者の改正を押さえておけば、まったく問題ありません。

 念のため、改正後の手引きを抜粋すると…、

 「なお、この名札については、登録販売者であって、」

 「① 一般従事者(その薬局、店舗又は区域において実務に従事する薬剤師又は登録販売者以外の者をいう。)として薬剤師又は登録販売者の管理及び指導の下に実務に従事した期間」

 「② 登録販売者として業務(店舗管理者又は区域管理者としての業務を含む。)に従事した期間が、」

 「過去5年間のうち通算して2年以上(従事期間が月単位で計算して、1か月に80時間以上従事した月が24月以上、又は、従事期間が通算して2年以上あり、かつ、過去5年間において合計1,920時間以上)ある又は、」

 「① 一般従事者(その薬局、店舗又は区域において実務に従事する薬剤師又は登録販売者以外の者をいう。)として薬剤師又は登録販売者の管理及び指導の下に実務に従事した期間

 「② 登録販売者として業務(店舗管理者又は区域管理者としての業務を含む。)に従事した期間が、過去5年間のうち通算して1年以上(従事期間が月単位で計算して、1か月に160時間以上従事した月が12月以上、又は、従事期間が通算して1年以上あり、かつ、過去5年間において合計1,920時間以上)あり、

 「(略)毎年度受講する必要がある研修に加えて、」

 「店舗又は区域の管理及び法令遵守に関する追加的な研修を修了している登録販売者以外の登録販売者(以下「研修中の登録販売者」という。)は、「登録販売者(研修中)」などの容易に判別できるような表記をすることが必要である。」

 「また、薬局開設者、店舗販売業者又は配置販売業者は、研修中の登録販売者については、薬剤師又は登録販売者(研修中の登録販売者を除く)の管理及び指導の下に実務に従事させなければならない。」

 「ただし、従事期間が通算して1年以上であり、かつ、過去に店舗管理者等として業務に従事した経験がある場合はこれらの規定は適用されない。」

 …となっています。

 太文字部分が、改正によって追加なり修正なりされた記述です。

 ざっくり言えば、「2年の実務経験のない登録販売者」、または、「1年の実務経験+研修2個受けてない登録販売者」は、名札には「研修中」なりの文言を入れろ、ってな次第です。

 先の管理者規定の改正と趣旨は同じなので、概要だけ把握しておけばいいでしょう。

濫用等のおそれのあるもの

 「濫用等のおそれのあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品」に改正があります。

 単純な「削除」の改正です。

 以前は、成分によっては、(鎮咳去痰薬に限る。)や(鎮咳去痰薬のうち、内用液剤に限る。)などの限定があったのですが、当該括弧書きが削除されました。

 よって…、

 i)エフェドリン

 ii)コデイン

 iii)ジヒドロコデイン

 iv)ブロモバレリル尿素

 v)プソイドエフェドリン

 vi)メチルエフェドリン

 …の入っている医薬品のすべてが、今後の「濫用等のおそれのあるもの」と相なります。

 当該論点は、「法規」でド定番の論点なので、ガチで押えておきましょう。

補足‐医薬品リンク

 上記濫用おそれ医薬品の各リンクです。

 どんな成分だったか不安のある人は、チェックしておきましょう。

 「エフェドリン」は…、

 ・排泄部位に作用する薬‐止血成分‐エフェドリン塩酸塩

 ・眼科用薬‐アドレナリン作動成分‐エフェドリン塩酸塩

 …です。

 「メチルエフェドリン」は…、

 ・風邪薬‐アドレナリン作動成分‐メチルエフェドリン塩酸塩

 ・鎮咳去痰薬‐アドレナリン作動成分‐メチルエフェドリン塩酸塩

 ・排泄部位に作用する薬‐止血成分‐メチルエフェドリン塩酸塩

 ・内服アレルギー用薬‐アドレナリン作動成分‐メチルエフェドリン塩酸塩

 …です。

 「プソイドエフェドリン」は…、

 ・風邪薬‐アドレナリン作動成分‐プソイドエフェドリン塩酸塩

 ・内服アレルギー用薬‐アドレナリン作動成分‐プソイドエフェドリン塩酸塩

 …です。

 「ブロモバレリル尿素」が配合されているのは…、

 「風邪薬の鎮静成分

 「解熱鎮痛薬の鎮静成分

 「睡眠鎮静薬の鎮静成分

 「鎮暈薬の鎮静成分

 …です。

 最後に、「コデイン」と「ジヒドロコデイン」ですが、風邪薬:鎮咳成分と、鎮咳去痰薬:麻薬性鎮咳成分に出てくる成分です。

 風邪薬のリンクは…、

 ・コデインリン酸塩

 ・ジヒドロコデインリン酸塩 …です。

 鎮咳去痰薬のリンクは…、

 ・コデインリン酸塩

 ・ジヒドロコデインリン酸塩

 …です。

ざっくりまとめ

 改正事項は、以上の「3つ」です。

 重要なのは、管理者の規定です。

 ただ、これまで通り、そう凝った出題はないので、数字のところを何度も目を通しておきましょう。

 「濫用等のおそれのあるもの」は、実質ラクになった改正です。一目見たら、十分かと思います。

こまごましたもの

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