11問‐R1の過去問と解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 第11問は、「借地借家法 借地権」の問題です。一般定期借地権,公正証書,書面,事業用定期借地権といった定番の論点です。民法の賃貸借と混乱しやすいので、落ち着いて、整理しながら、解答してください。

11問‐借地借家法:借地権

 

 (クリックして拡大。)

難易度・優先順位ひとこと

 本問のレベルは「ふつう」です。

 大半の受験生は、「点」にする問題です。

 本問の答えは、「こちら(記号のみ)」です。

解説

 「ケース①」が「50年」です。

 「ケース②」が「15年」です。

 ここを読み落としてはいけません。

 借地借家法の借地権が適用されるのか、されるとしたら、どの借地権なのか、そして、民法の賃貸借が適用されないかを考えつつ、解答してください。

 なお、本問には、類似問題があるので、後述する「参考リンク」を活用ください。

選択肢1

 選択肢1の「賃貸借契約が建物を所有する目的ではなく、資材置場とする目的である場合、ケース①は期間の定めのない契約になり、ケース②では期間は15年となる。」ですが、誤った記述です。

 選択肢には、「建物を所有する目的ではなく、資材置場とする」とあるので、借地借家法の適用は、ありません。

 よって、「民法」の「賃貸借」が適用されます。

 「民法」の「賃貸借」の期限は、最大で「20年」です。

 参考:(賃貸借の存続期間) 第六百四条 『賃貸借の存続期間は、二十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、二十年とする。

 これで、解答の準備が整いました。

 ケース①の「50年」は、民法の最長期限の「20年」となります。

 ケース②の「15年」は、民法の期限に抵触しないので、そのまんま、「15年」となります。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

選択肢2

 選択肢2の「賃貸借契約が建物の所有を目的とする場合、公正証書で契約を締結しなければ、ケース①の期間は30年となり、ケース②の期間は15年となる。」ですが、誤った記述です。

 選択肢には、「賃貸借契約が建物の所有を目的とする」とあるので、借地借家法の適用があります。

 論点を整理しましょう。

 選択肢のいう「公正証書で契約を締結」が求めらるのは、「事業用借地権」のみです。

 選択肢には、事業うんぬんの文言がないので、この点で、誤りとなります。

 次に、期間の問題です。

 ケース①の「50年」ですが、「50年」の期間だと、「一般定期借地権」とすることができます。

 「一般定期借地権」は、50年以上の借地契約だからです。

 この場合、公正証書等の書面で契約することになります。

 適法に契約すれば、ケース①は、「50年」です。

 ケース②の「15年」ですが、借地権の存続期間は、最低でも、「30年」です。

 よって、ケース②は、「30年」となります。

 こうした次第で、選択肢は、「誤」となります。

選択肢3

 選択肢3の「賃貸借契約が居住の用に供する建物の所有を目的とする場合、ケース①では契約の更新がないことを書面で定めればその特約は有効であるが、ケース②では契約の更新がないことを書面で定めても無効であり、期間は30年となる。」ですが、正しい記述です。

 選択肢には、「居住の用に供する建物の所有を目的とする」とあるので、借地借家法の適用があります。

 ケース①の「50年」ですが、「50年」の期間だと、「一般定期借地権」とすることができます。

 んなもんで、書面で定める特約で、契約の更新がないことを定めることもできます。

 ケース②の「15年」ですが、「一般定期借地権」とするには、存続期間が50年以上必要です。

 よって、通常の借地権となるわけですが、先に見たように、通常の借地権の存続期間は、最低でも、「30年」です。

 よって、ケース②は、「30年」となります。

 んで、通常の借地権では、借主に不利な特約は無効なので、「契約の更新がないことを書面で定めても無効」と、相なります。

 よって、選択肢は、「正」となります。

 なお、借地権ですが、「居住の用に供さない」建物でも、借地権は成立するので、注意してください。結構、思い違いをしている事があります。

選択肢4

 選択肢4の「賃貸借契約が専ら工場の用に供する建物の所有を目的とする場合、ケース①では契約の更新がないことを公正証書で定めた場合に限りその特約は有効であるが、ケース②では契約の更新がないことを公正証書で定めても無効である。」ですが、誤った記述です。

 「事業用借地権」は、存続期間が、「10年以上50年未満」となっています。

 ケース①は、「50年」ですが、「50年」だと「事業用借地権」とすることができません。

 んなもんで、「一般定期借地権」となるわけですが、この場合、おなじみ「公正証書等の書面で契約」します。

 選択肢では、公正証書に限る旨となっているので、この点で、誤りとなります。

 んで、ケース②の「15年」ですが、「15年」ですから、「事業用借地権」とすることができます。

 んなもんで、公正証書で契約すれば、「契約の更新がない」特約は有効です。

 存続期間は、そのまんま、「15年」です。

 こうした次第で、選択肢は、「誤」となります。

答え

 「1」は「誤」です。

 「2」は「誤」です。

 「3」は「正」です。

 「4」は「誤」です。

 本問は、「正しいものはどれか?」ですので…

 正解:3

 …と相なります。

 >>> 次の問題へ。


参考リンク

 当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。

 当該年度の「権利関係」だけ、問題演習をしたい人は、「R1 権利関係一覧リスト」を、ご利用ください。

 当該論点の勉強には、「宅建「借地借家法」の過去問リスト」を、活用ください。

独学向け教材

 宅建の独学向け教材には、「2系統」あります。

 はじめて法律を学ぶ方は「宅建(初学者向け)」を、参考にしてください。

 んで、法学部卒等で、ある程度の素養のある人は、「宅建(経験者向け)」を、参考にしてください。

PDF過去問に一言

 

 PDFの閲覧は、スマホだと画面が小さくて見難く、PCだとキーボードやマウス、配線等が邪魔で、かなりイライラします。

 PDF過去問の演習には、「タブレット」が最も勝手がよくて、ストレスも少ないです。

 手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。

 他のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安く、もちろん、PDF過去問の閲覧も可能で、費用対効果が秀逸です。

 受験が終わっても、他の試験で使え、サブ機としても使えます。受験を機に「Fire HD」を検討するのは、損はないです。

宅建のこまごましたもの

 試験勉強については、「宅地建物取引士(宅建)の独学」を、参考にしてください。

 「宅建」という資格を、より知りたい方は、「資格ガイド Sランク資格:宅地建物取引士」を、一読願います。

 ブログに試験勉強に関する記事を投稿しています。興味のある方は、「宅建タグの投稿記事」を、お目汚しください。

みんなとシェアする