宅地建物取引士(宅建)の独学

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 宅地建物取引士は難化傾向が続く。事例問題、個数問題・組合せ問題等、新傾向の出題が続く。初心者・経験者に応じた独学向けの教材をそろえること。過去問だけではギリギリ。従来のテキストの精読と過去問演習に、予想問題集を加えるのがベター。合格点「35点」には、とりあえず、すぐに点が取れる宅建業法から着手し、民法をコツコツ消化。条文の暗記についても。

独学ひとくち

 宅建の独学合格に必要なことは、「テキストと過去問を、3回、繰り返した後、模試問題集や予想問題集で問題演習の量を増やす」です。

 宅建試験は難化が続いており、かつての「過去問だけやっときゃ受かる」のは、完全に過去の話です。

 本試験では、判例問題や事例問題など、手ごわい問題が増えており、「問題演習の“数”の確保」が、合格のキモとなっています。

 ところで、宅建に受かるには、「理解する勉強」とか「読解力が必要」などと言われていますが、要は、模試問題集や予想問題集で問題演習の“量”を増やしておきゃいい、です。

 市販の模試問題集や予想問題集は、各出版社の「メンツ」と「名誉」と「看板」が係っており、(あ、こういう風に問われると答えられないなー)という良問に、多々遭遇するはずです。

 こういう別角度からの指摘を元に、復習を重ねることで、理解力も読解力も、そして、基礎や基本も鍛えられていく、といった次第です。

 極論ですが、「数は嘘つかない」です。もっといえば、「数をこなせば、受かる」です。

 テキストを精読した「回数」と、過去問を繰り返した「回数」と、問題集の「問題演習数」で、合否は決まります。

 難しく考えないで、「やりゃ受かる」、「やってるうちにわかってくる」で臨んでみてください。

独学向け教材

 結論から言うと、「初心者はLECで、経験者は住宅新報社」です。

 詳しくは「宅建教材レビュー」で述べていますが、読むのが面倒な人は…、

 初心者(法律の未学習者・法律が苦手な人)は、LECの教材「出る順宅建士テキスト&ウォーク問セット」でそろえます。

 本シリーズは、『図や絵』が多く、市販教材中、随一の初心者向け仕様なので、初めての人やゼロからの人に、唯一推薦できる教材です。

 なお、民法がとりわけイヤな人は、「弁護士が教える分かりやすい「民法」の授業」や、「民法はおもしろい」から、頭を慣らせていくとよいでしょう。

 次いで、民法を学習済みの人や法学部卒、再受験組の方は…、

 住宅新報社の「パーフェクト宅建-基本書」と「パーフェクト宅建過去問10年間」を、使います。

 簡潔かつシンプルで余計なものがないので短時間で合格レベルまで達せられます。必要十分です。

 予想問題集・模試問題集は、価格は安いが質も確保の「平成29年版パーフェクト宅建直前予想模試」、コスパ上々「2017年版出る順宅建士 直前大予想模試」、試験情報多し「2017本試験をあてる TAC直前予想 宅建士」のどれかを選べばよいでしょう。

傾向と対策

 さる、2015年(平成27年)に、「宅地建物取引主任者」は、現状の「宅地建物取引士」に、変更されました。

 実は、この変更の年の前後から、宅建試験は、目に見えて難化し始めまたのですが、直近の2016年度(平成28年度)試験は、難化が一服しました。

 おそらく、累積した不合格者を救済する意図があったのでしょう。昨年の本試験は、難問は影を潜め、基礎・基本的な出題が多く出題され、「きちんと勉強した受験生」なら、合格できる試験となっていました。

 (おととしの合格点は31点だったのに、昨年は35点と、1割以上、増えました。点の取れる問題が増えた証左です。)

 こうした傾向を鑑みると、「毎年、緩やかだが難しくなっていく」という「感」が強いです。

 試験というのものは、いったん難しくなると、以後、「カンタン」になることはなく、宅建試験も、そうなる公算が大です。言うなれば、「良くて例年並み」です。

 さて、「カンタン」にならないとはいえ、この数年のように、急激に難しくなるのも、そう考えられません。大量の合格者が出た(前年比2~3割増)などの、よほどの事情がない限りは、難易度がガクッと上がることも、ないと思われます。

 先述したように、「テキスト+過去問」の従来の勉強に、「予想問題集・模試問題集で問題演習を追加」が、今後も続くでしょう。

合格率と合格ボーダー

 結論から言うと、合格率は例年「15%前後」で、合格基準点は「難しいとき30点前後、やさしいとき35点前後」です。

 ちなみに、直近3年の合格率と合格基準点は…、

 平成28年度は「15.4%」で、合格基準点は「35/50」でした。

 平成27年度は「15.4%」で、合格基準点は「31/50」でした。

 平成26年度は「17.5%」で、合格基準点は「32/50」でした。

 んなもんで、「理想は7割、現実は6割得点」を目指して、日々、勉強していくことになります。

 さて、合格ボーダーですが、宅建試験は、厳密な合格基準点が定まっておらず、おおむね「このくらいの合格者を出しておこう」的な感じで、合否が線引きされています。

 個人的な憶測ですが、合格ボーダーは、過去5年平均で「合格者は3万人」くらいになるような『意図』を感じます。ですから、ある年度に合格者が出過ぎると、翌年以降は減りますし、ある年で激減すると、翌年以降は増やすといった『上がり下がりの波』があります。

 前年の合格者が異常に多いなら気を引き締めて臨みましょう。反対に少ないなら、「基礎・基本」を忠実に、失点を抑える勉強をしておきましょう。

挫折率

 宅建の挫折率は、ほぼ毎年「20%前後」です。例年50,000人近い人が、試験を放棄しています。

 なお、挫折率とは、申し込んだはいいが、本試験を受けずじまいだった人の割合です。

 高い挫折率の背景は、やはり、「民法」の存在があります。

 試験科目の大半は、たとえば、宅建業法などは、ほとんど「暗記と記憶」の問題なので無理が効きます。ぶっちゃけ言えば、初学者でも「力押しで、1ヶ月で終わらせる」ことも可能なのです。

 対して、「権利関係」の「民法」は、点が取れるようになるまで、かなりの時間が必要となります。法律の初学者なら最低限「3ヶ月」は見ておかないと厳しいです。

 宅建は毎年「2割:5万人」が挫折しているので、後述していますが、はやめはやめに「民法」に手を付けてください。

試験戦略

 宅建の試験勉強とは、合格点「35点」を目指す“作業”です。

 得点の内訳は、宅建業法で16~18点前後を、法令上の制限で5~6点税その他で5~6点の得点をすることになります。

 つまり、当該3科目で合格点の7~8割「26~30点」を確保します。

 で、合格点までの残り「5~10点」を、「権利関係」で取るということになりますが、借地借家法で1~2問くらい取れる可能性があるので、「4~6点」が民法の出番です。

 簡単に言えば、宅建業法でガッツリと点を稼ぎ、法令上の制限と税その他で1点1点を積み上げていって、最後に難所の権利関係で合格ラインに滑り込むというのが、宅建の試験戦略です。

進め方‐宅建業法から、同時に民法コツコツ

 結論から言うと、まずは宅建業法から着手して、同時に、時間のかかる民法を並行しながら進めていくのがベター、という次第です。

 後述しますが、宅建の試験科目は、「民法」と「非民法科目」に分かれます。「民法」が別個のものになるのは、得点が取れるようになるまでは、非常に時間がかかるためです。

 反対に言うと、宅建業法等の非民法科目は、基本は暗記なので、ド素人でも憶えさえすれば、“すぐさま”“今日にでも”点が取れるという塩梅です。

 対して、民法は、点が取れるようになるまでは、時間がかかり、安定して、また、自信をもって答えられるようになるのは、中盤以降です。

 「民法」はすぐさま何とかなる科目ではないので、初学者の方は、「1日1~5ページずつ」テキストを読んで、1単元・1項目が終わったら、当然、解けませんが、過去問に当たって問題を解き、少しずつ、民法という科目に慣れ親しんでください。

 民法を後回しにすると必ず詰むので、『毎日、嫌にならない程度の分量をコツコツ消化』です。

 非民法科目は、「教材レビュー」で紹介するテキストを読んで、過去問題集で問題演習をしていけば、大丈夫でしょう。

 民法を勉強する上での細々としたことは、「宅地建物取引士(宅建)の勉強方法:民法」にも述べています。

宅建合格のキーは「暗記」-泣いても笑っても憶えたもの勝ち

 難化傾向にあるとはいえ、宅建の試験勉強を一口で言えば、「憶える」です。「憶える」が、今後の数ヶ月の試験勉強でやることです。それ以外の作業は、あまりありません。

 宅建は、知っていたら・憶えていたら点数になる問題が多数出題されます。こういう問題で点数を稼いで、合格点を積み上げていく作業が、宅建の試験勉強の根幹となっています。

 反対にいうと、「憶えていたら点数になる問題」を落とさないことが、宅建合格の最大ポイントです。

 理解型問題の出題も増えています。しかし、「理解」も大事ですが、「理解」しようにも、基本的なことや基礎的なことが頭に入っていないと、「理解」のしようがありません。

 また、試験問題のすべてが、演繹・帰納やら推測・類推やら前提把握・趣旨理解やらが必要な問題でもありません。

 新傾向+難化にあるとはいえ、「憶えていたら点数になる問題」や「憶えていたら判別できる選択肢」の方が、まだまだ多いです。

 判例理解や行政規則等の読み込みも大事ですが、テキストの基礎・基本事項を「憶える」作業こそ、合格に直結する“作業”です。

 通勤・通学などの細切れ時間や空き時間を、暗記と記憶に充てて下さい。

条文の丸暗記は?

 結論から言うと、必要な条文は、丸暗記レベルに、頭に入っていなくてはいけません。

 試験の頻出条文と著名条文は、どう問われるかわからないので、何度も何度も目を通して、丸暗記レベルにまで、達しておきます。

 反対に言うと、マイナーな条文や試験に出たことのない条文は、別段、丸暗記しなくてもよい、といった次第です。

 全ての条文を、バカみたいに暗記暗記する必要は、“全く”ありませんが、必要な条文は、丸暗記した方が「点が取れます」。

 なお、注意事項が1つあります。

 最初から、条文を丸暗記する必要はありません。

 頻出有名条文は、テキストを読み、問題を解いて、復習を重ねて、何度も接していくうちに、“結果的に”憶えてしまうのです。

 不安な条文や、勉強の足りない条文は、意図的に憶え込まなくてはいけませんが、丸暗記する・ド暗記することは、限られてくるので安心してください。

 なお、法令や条文が苦手な人は、「法律用語のコツ」で、基本的な法律用語を押えてください。

 「及びと並びに」の違いなど、初学者が混乱の元となる用語を解説してます。

宅建合格のキーは「過去問」-昔も今も

 宅建に合格するために“絶対に必要な教材”は、『過去問』です。

 宅建合格に必要な一言は、「過去問3回」です。最も必要なことは、5文字で終わります。

 過・去・問・3・回

 とりあえずは、過去問を「3回」やらないと、基礎的なことや基本的なことも、習得できません。

 とりあえず、過去問を「3回」やってから、試験の帰趨を考えましょう。「考えるよりも解いたほうが早いのが宅建」です。

科目別勉強方法・ヒント集

 個々を当該ページに述べると長くなるので、別ページとしました。

 一人で昼飯を食べているときや、一人でくつろいでいたら配偶者が帰ってきたときにでも、お目汚しください。

民法

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民法以外の権利関係

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宅地建物取引主任者(宅建)の試験勉強のうち、最も点が取りやすくてとっつき易いのが宅建業法(宅地建物取引業法 )です。規制や制限、禁止を憶えるだけです。本ページでは、宅建業法の独学ポイントを挙げていきます。

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本ページでは、宅建の試験科目「税その他」の独学ポイントを述べています。「捨て問」にしてもよいところが多いのが、本試験科目の特徴です。「税」は、FP技能士にて頻出事項なので、FPに興味のある人は、宅建の今、先取りで勉強しておくといいでしょう。

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