宅地建物取引士(宅建)の独学

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 宅地建物取引士は難化傾向が続く。事例問題、個数問題・組合せ問題等、新傾向の出題が続く。初心者・経験者に応じた独学向けの教材をそろえること。過去問だけではギリギリ。従来のテキストの精読と過去問演習に、予想問題集を加えるのがベター。合格点「35点」には、とりあえず、すぐに点が取れる宅建業法から着手し、民法をコツコツ消化。

宅建の独学事情‐さらなる難化

 結論から言うと、宅建は、「テキストの精読・過去問3回・予想問題集1~3冊」くらいを消化していないと、合格は厳しい、という次第です。

 もっと言うと、過去問だけで合格できた宅建は、これからは、過去問演習のみだともうギリギリ、という次第です。

 昨年の2015年は、宅地建物取引“士”と、名称が変わった節目の年でした。

 本試験の大方の予想は、「例年通り」でした。「名前」は変わっても、「試験」までは大きく変わらないだろう、といった次第で、わたしもその口でした。

 しかし、予想は見事に裏切られ、本試験は、さらに難化しました。

 たとえば、「判例問題」や「事例問題」の多用、全選択肢がわからないと1点が取れない「正解はいくつか?」の個数問題や、「正解はどれとどれ?」の組合せ問題といった、“いやらしい問題”の増加といった次第です。

 宅建は、本当に点が取り難い試験へと変貌しました。

 1回で受かりたい人は、先述したように、テキストを精読し、過去問は最低3回はまわして、予想問題集で仕上げておくくらいの勉強をしないといけません。

 このように、「宅建なんてカンタン」というのは完全な過去のものとなり、『宅建はちゃんと勉強しないと、絶対に受からない試験』に変化したという塩梅です。

 今の宅建は、かつての宅建ではないので、過去の膨大な合格者の言に惑わされずに、対策を練っていく必要があります。

 まあ、宅建は難化したとはいえども、「難化」を殊更に気に病む必要はありません。

 多くの難化した試験に接したわたしの経験からすると、「難化」とは、いたずらに受験生を落とすためというよりも、「てきとーな勉強しかしていない不良受験生」を落とすためのもの、という実感があります。

 最低でも、従来型のテキストをシッカリ読んで、過去問を繰り返しておけば、合格は、ギリギリですが、窺える、といった次第です。

 難化したとはいえ、合格が運否天賦のばくちになったわけではなく、基礎・基本事項を丁寧に押さえるという、ちゃんと勉強した人が報われる試験であることに変わりありません。

 そんな次第で、やることは増えてしまいましたが、独学合格は全然可能な試験ですので、気合を入れて、がんばってください。

独学向け教材

 結論から言うと、「初心者はLECで、経験者は住宅新報社」です。

 詳しくは「宅建教材レビュー」で述べていますが、読むのが面倒な人は…、

 初心者(法律の未学習者・法律が苦手な人)は、LECの教材「出る順宅建士テキスト&ウォーク問セット」でそろえます。

 本シリーズは、『図や絵』が多く、市販教材中、随一の初心者向け仕様なので、初めての人やゼロからの人に、唯一推薦できる教材です。

 なお、民法がとりわけイヤな人は、「弁護士が教える分かりやすい「民法」の授業」や、「民法はおもしろい」から、頭を慣らせていくとよいでしょう。

 次いで、民法を学習済みの人や法学部卒、再受験組の方は…、

 住宅新報社の「パーフェクト宅建-基本書」と「パーフェクト宅建過去問10年間」を、使います。

 簡潔かつシンプルで余計なものがないので短時間で合格レベルまで達せられます。必要十分です。

 試験勉強の中盤からは、後述するように、予想問題集を追加します。

予想問題集は当たらない。

 先だって、合格を確実にしたいのなら、予想問題集を解くべきと述べました。

 実情を言うと、予想問題集は当たりません。

 しかし、それでも、1~2冊は、やっておくべきです。

 予想問題集を追加する理由には、2点あります。

 「基礎・基本事項の理解をさらに深める」のが1点です。

 予想問題集には、“基礎や基本”が予想外の角度から出題されていて“再”勉強になったり、基礎・基本事項の理解不足を補えたりします。何度も、(こーいう風に問われたら解けないな)という、「実力の穴」を見出すでしょう。

 もう1点は、「プロ頼み」するためです。

 昔の人は、「餅は餅屋、味噌は味噌屋」と言いましたが、その通りで、「試験は、試験屋」です。

 「プロ」に「お金を払う価値」はあります。

 個人で予想するより、圧倒的な経験とデータを有する専門学校等の『プロ』の予想を“買う”ほうがよっぽど精度は高く、よほどに合格に貢献します。

 まあ、多くは外れますが、“予想なんていう余計な作業をしなくて済む”だけでも、利用する価値は高いのです。

 個人の予想は、得てして、「そこが出て欲しい」という個人の願望に取って代わってしまうので、やらないほうが賢明です。試験は、試験屋です。

 最後の理由は、「わけのわからない出題に慣れておくため」です。

 予想問題集には、誰がこんなの解けんだよとか、こんな問題でねーよとか、これ作った奴バカじゃないの?的な問題に遭遇するはずです。

 このような難問・奇問系は、あなたの感想どおりに、やはり、本試験には出ません。

 しかし、この種のわけのわからない問題と「格闘」することに、大きな意義があります。

 宅建の難化は、どこまでいくか、先が見えません。

 突拍子のない本試験問題が出ることを否定できません。

 だからこそ、悪戦苦闘の経験を積むことで、本試験のドエライ問題に対する「粘り」と、試験で一番大事な「あきらめない気持ち」を鍛えることができるのです。

 難化が続く昨今、合格の保険を掛けたいのであれば、予想問題種は必須の一手です。

試験戦略

 宅建の試験勉強とは、合格点「35点」を目指す“作業”です。

 得点の内訳は、宅建業法で16~18点前後を、法令上の制限で5~6点税その他で5~6点の得点をすることになります。

 つまり、当該3科目で合格点の7~8割「26~30点」を確保します。

 で、合格点までの残り「5~10点」を、「権利関係」で取るということになりますが、借地借家法で1~2問くらい取れる可能性があるので、「4~6点」が民法の出番です。

 簡単に言えば、宅建業法でガッツリと点を稼ぎ、法令上の制限と税その他で1点1点を積み上げていって、最後に難所の権利関係で合格ラインに滑り込むというのが、宅建の試験戦略です。

進め方‐宅建業法から、同時に民法コツコツ

 結論から言うと、まずは宅建業法から着手して、同時に、時間のかかる民法を並行しながら進めていくのがベター、という次第です。

 後述しますが、宅建の試験科目は、「民法」と「非民法科目」に分かれます。「民法」が別個のものになるのは、得点が取れるようになるまでは、非常に時間がかかるためです。

 反対に言うと、宅建業法等の非民法科目は、基本は暗記なので、ド素人でも憶えさえすれば、“すぐさま”“今日にでも”点が取れるという塩梅です。

 対して、民法は、点が取れるようになるまでは、時間がかかり、安定して、また、自信をもって答えられるようになるのは、中盤以降です。

 「民法」はすぐさま何とかなる科目ではないので、初学者の方は、「1日1~5ページずつ」テキストを読んで、1単元・1項目が終わったら、当然、解けませんが、過去問に当たって問題を解き、少しずつ、民法という科目に慣れ親しんでください。

 民法を後回しにすると必ず詰むので、『毎日、嫌にならない程度の分量をコツコツ消化』です。

 非民法科目は、「教材レビュー」で紹介するテキストを読んで、過去問題集で問題演習をしていけば、大丈夫でしょう。

 民法を勉強する上での細々としたことは、「宅地建物取引士(宅建)の勉強方法:民法」にも述べています。

宅建合格のキーは「暗記」-泣いても笑っても憶えたもの勝ち

 難化傾向にあるとはいえ、宅建の試験勉強を一口で言えば、「憶える」です。「憶える」が、今後の数ヶ月の試験勉強でやることです。それ以外の作業は、あまりありません。

 宅建は、知っていたら・憶えていたら点数になる問題が多数出題されます。こういう問題で点数を稼いで、合格点を積み上げていく作業が、宅建の試験勉強の根幹となっています。

 反対にいうと、「憶えていたら点数になる問題」を落とさないことが、宅建合格の最大ポイントです。

 理解型問題の出題も増えています。しかし、「理解」も大事ですが、「理解」しようにも、基本的なことや基礎的なことが頭に入っていないと、「理解」のしようがありません。

 また、試験問題のすべてが、演繹・帰納やら推測・類推やら前提把握・趣旨理解やらが必要な問題でもありません。

 新傾向+難化にあるとはいえ、「憶えていたら点数になる問題」や「憶えていたら判別できる選択肢」の方が、まだまだ多いです。

 判例理解や行政規則等の読み込みも大事ですが、テキストの基礎・基本事項を「憶える」作業こそ、合格に直結する“作業”です。

条文の丸暗記は?

 結論から言うと、必要な条文は、丸暗記レベルに、頭に入っていなくてはいけません。

 試験の頻出条文と著名条文は、どう問われるかわからないので、何度も何度も目を通して、丸暗記レベルにまで、達しておきます。

 反対に言うと、マイナーな条文や試験に出たことのない条文は、別段、丸暗記しなくてもよい、といった次第です。

 全ての条文を、バカみたいに暗記暗記する必要は、“全く”ありませんが、必要な条文は、丸暗記した方が「点が取れます」。

 なお、注意事項が1つあります。

 最初から、条文を丸暗記する必要はありません。

 頻出有名条文は、テキストを読み、問題を解いて、復習を重ねて、何度も接していくうちに、“結果的に”憶えてしまうのです。

 不安な条文や、勉強の足りない条文は、意図的に憶え込まなくてはいけませんが、丸暗記する・ド暗記することは、限られてくるので安心してください。

 なお、法令や条文が苦手な人は、「法律用語のコツ」で、基本的な法律用語を押えてください。

 「及びと並びに」の違いなど、初学者が混乱の元となる用語を解説してます。

宅建合格のキーは「過去問」-昔も今も

 宅建に合格するために“絶対に必要な教材”は、『過去問』です。

 宅建合格に必要な一言は、「過去問3回」です。最も必要なことは、5文字で終わります。

 過・去・問・3・回

 とりあえずは、過去問を「3回」やらないと、基礎的なことや基本的なことも、習得できません。

 とりあえず、過去問を「3回」やってから、試験の帰趨を考えましょう。「考えるよりも解いたほうが早いのが宅建」です。

科目別勉強方法・ヒント集

 個々を当該ページに述べると長くなるので、別ページとしました。

 一人で昼飯を食べているときや、一人でくつろいでいたら配偶者が帰ってきたときにでも、お目汚しください。

民法

宅地建物取引主任者(通称:宅建)の試験勉強にて、一番の壁になるのが「民法」。出題数は例年10問前後ですが、合格の決め手になるのが民法です。可能な限り、点数が取れるようになっておくために、本ページでは、民法を独学で勉強していく際の重大ポイントを挙げていきます。じっくりやれば独学でも大丈夫です。

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民法以外の権利関係

本ページでは、宅建の試験科目「権利関係」のうち、民法以外の法律である「借地借家法」「不動産登記法」「区分所有法」の試験勉強の進め方について述べていきます。独学の一助に。

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宅建業法

宅地建物取引主任者(宅建)の試験勉強のうち、最も点が取りやすくてとっつき易いのが宅建業法(宅地建物取引業法 )です。規制や制限、禁止を憶えるだけです。本ページでは、宅建業法の独学ポイントを挙げていきます。

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法令上の制限

本ページでは、宅建の試験科目「法令上の制限」の「都市計画法」「建築基準法」「農地法」「国土利用計画法」「土地区画整理法」「宅地造成等規正法」の各法律の独学ポイントを述べています。

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税その他

本ページでは、宅建の試験科目「税その他」の独学ポイントを述べています。「捨て問」にしてもよいところが多いのが、本試験科目の特徴です。「税」は、FP技能士にて頻出事項なので、FPに興味のある人は、宅建の今、先取りで勉強しておくといいでしょう。

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