第5問は、「判決文」の問題です。「無権代理行為」がテーマで、追認,法律効果,遡及,第三者,相続といった論点が問われています。判決文問題は、ある意味、「国語」の問題です。知識がなくても、解ける選択肢があるので、丁寧に、判決文と、選択肢にあたってください。
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注意喚起です。
本ページは、当時の公式過去問に、当時の解説を付与したものです。
「民法改正」には、対応していません。
改正後は、解説・解答が変わる問題もあるので、傾向把握の一環として、ご活用ください。
本問のレベルは「ふつう」です。
本問の答えは、「こちら(記号のみ)」です。
別段、複雑な指示はないので、ふつうに選択肢の1つ1つを解けばいいです。
なお、本問には、類似問題があるので、後述する「参考リンク」を活用ください。
さて、「判決文」問題ですが、他の問題とは、毛並みが違います。
国語的な「読解力」が必要となるので、一番最後に解答するほうが、混乱が少ないと思います。
本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではないと解するのが相当である。けだし、無権代理人がした行為は、本人がその追認をしなければ本人に対してその効力を生せず(民法113条1項)、本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定し、追認拒絶の後は本人であっても追認によって無権代理行為を有効とすることができず、右追認拒絶の後に無権代理人が本人を相続したとしても、右追認拒絶の効果に何ら影響を及ほすものではないからである。
選択肢1の「本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合、その後は本人であっても無権代理行為を追認して有効な行為とすることはできない。」ですが、正しい記述です。
国語の問題です。
判決文には、「本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定」とあるので、ここから、判断できます。
また、「追認拒絶の後は本人であっても追認によって無権代理行為を有効とすることができず」とあるので、ここからも、判断できます。
よって、選択肢は、「正」となります。
選択肢2の「本人が追認拒絶をした後に無権代理人が本人を相続した場合と、本人が追認拒絶をする前に無権代理人が本人を相続した場合とで、法律効果は同じである。」ですが、誤った記述です。
判決文には、「本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではない」とあります。
要は、かつて、本人が追認拒絶をしていると、無権代理行為は有効にならない(すなわち、無効)といった寸法です。
判決文では、「拒絶した場合には、その“後”に無権代理人が本人を相続」とあるので、「後」のケースです。
選択肢のいう「本人が追認拒絶をする“前”に無権代理人が本人を相続」のケースは、判決文には、記載されていません。
記載がない以上、「法律効果は同じ」とは、判断できないです。
よって、選択肢は、「誤」となります。
なお、判例では、「本人が追認拒絶をする“前”に無権代理人が本人を相続した場合」、当該無権代理行為は、「有効」となります。
かつて自分がしたことを、自分が否定するわけにはいかないからです。
選択肢3の「無権代理行為の追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。」ですが、正しい記述です。
条文知識を問う問題です。
そのとおりです。テキストで確認しておきましょう。
参考:民法 第百十六条 (無権代理行為の追認)
『追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。』
よって、選択肢は、「正」となります。
選択肢4の「本人が無権代理人を相続した場合、当該無権代理行為は、その相続により当然には有効とならない。」ですが、正しい記述です。
まず、問題文に注意です。
当該選択肢は、「本人」が「無権代理人」を相続しています。
さて、判決文には、「本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定」とあります。
んなもんで、本人が、以前に追認拒絶をしていれば、無効が確定しているので、たとえ、無権代理人の地位を相続しても、当然には有効となりません。
よって、選択肢は、「正」となります。
「1」は「正」です。
「2」は「誤」です。
「3」は「正」です。
「4」は「正」です。
本問は、「誤っているものはどれか?」ですので…
正解:2
…と相なります。
当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。
当該年度の「権利関係」だけ、問題演習をしたい人は、「R1 権利関係一覧リスト」を、ご利用ください。
当該論点の勉強には、「民法「判決文」の過去問リスト」を、活用ください。
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