宅建業法(宅地建物取引業法)の勉強方法

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 独学で宅建合格を目指す人向けに、宅建業法の勉強方法を、説述しています。宅建業法の特徴から傾向と対策を述べることで、どのような勉強方法が最適かがわかります。語呂合わせページや過去問リストへのリンクや、宅建ノートへのリンクも併せて掲載。

インデックス

 「宅建業法」の勉強方法ですが、そこそこ長文なので、「お気に入り」にでも入れて、追々と把握してください。

宅建業法の前提

 「宅建業法」ですが、「宅建業法コメント」でも述べているように、ぜんぶで「20問」が出題されます。

 点数計算上、20問中、7.5~8割の「15~16点」を、最低でも確保する必要があり、理想を言えば、9割の「18点」くらいを、取ることとなります。

結論‐「数」

 最初から結論を言うと、「テキスト精読3回以上、10年分過去問3回以上、予想問題集・模試問題集で問題演習を確保」が宅建業法の「数」と相なります。

 ここまでやっていれば、ほぼ7割以上の得点が狙えるので、致命的な失点を犯さなくなります。

 最後まで、合格戦線に踏みとどまれるはずです。

特徴‐わりと公正妥当

 「宅建業法」の特徴に、「わりと公正妥当」があります。

 試験問題のほとんどは、テキスト記載事項であり、テキストを大きく逸脱する問題や、枝葉末節な問題、実務問題等は、そんなに出題されません。

 クソの建築基準法や都市計画法で出てくる(誰が知ってるの?)的な出題が少なく、「宅建業法」は、“フェア”といっていいくらいなのです。

 よって、「勉強すればするほど、点数が伸びる」のが「宅建業法」となっており、「民法」や「法令上の制限」に比べれば、はるかに点が取りやすい科目となっています。

 「宅建業法」で、如何に点を確保するかが合格のキーとなっています。

 「やる」価値は、じゅうぶんにあります。

敵は「19問」

 さて、先だって、「宅建業法」は、7~9割は取らないといけないと述べましたが、1つだけ、慰めを述べておきましょう。

 「宅建業法」は、実質的に、「19問」出題となっています。

 というのも、「宅建業法」の最後の問題(第45問)は、「住宅瑕疵担保履行法」に、固定されているからです。

 当該論点は、出題内容もほぼ同じところで、しかも、分量は数ページしかなく、宅建有数のコスパとなっています。

 当該瑕疵担保履行法で、ほぼ1点確保できるので、「宅建業法」では、まずもって、「5%(1/20の0.05)」が終わっていると想定してください。気楽になるはずです。

罰則は、完全「後回し」

 「宅建業法」には、「罰則」という論点があります。

 「○○に違反したら、××に処せられる」といった形式の問題です。

 しかし、当該罰則は、完全に「後回し」の論点で、序盤・中盤では、一切憶える必要はありません。

 「宅建業法」の選択肢は、全部で「20*4」の「80」あるわけですが、過去問を見るにつけ、「罰則」が出たとしても、「1~2選択肢」が関の山です。

 「問題」ですらないのが「罰則」です。コスパは極悪といっていいです。

 んなもんで、「罰則」は、基本的に「出ない」ものとして、取り扱いましょう。

 なお、「罰則」対策ですが、ホント、最後らへんに、「宅建業法の「罰則」の傾向と整理のまとめ‐宅建ノート」などを参考に、さらっとやっておけばいいでしょう。

勉強方法

 「宅建業法」の勉強方法ですが、ぶちゃけいうと、「これといったもの」はありません。

 後述するように、ほぼ全ての論点を勉強することになるので、「攻略法」的なものがないのです。

 よって、「ざっくりテキスト読む→該当する論点の過去問・問題集を解く→復習する」という、“ふつう”の勉強サイクルとなります。

とりあえず、過去問

 「宅建業法」ですが、とりあえず、過去問の“完全制覇”を目指してください。

 繰り返しますが、“完全制覇”です。

 テキストの精読も大事ですが、精読の土台を作るのが「過去問演習」です。

 先に「過去問は3回以上」と述べましたが、「宅建業法」だけは、「10回くらい」繰り返してもいいくらいです。

 最初は、過去問の難しさに四苦八苦しますが、皆そうです。

 んで、だいたい、2~3回くらいで、カンタンに感じるようになります。皆そうです。

 「宅建業法」は、下手にアレコレするよりも、ただただ、過去問をやるほうが実力が付きます。

 過去問演習である程度の力を付けたら、テキストを精読して、実力に磨きをかけるというのがベターなやり方だと思います。

 ところで、直近の「宅建業法」の過去問を、論点別・内容別にリストアップした「宅建‐過去問リンク」というページがあります。

 特定の論点だけ演習したいときに、ご活用ください。

頻出論点について

 「宅建業法」の頻出論点について述べる前に、「宅建業法」だと、「頻出論点」というのは、あまり意味がないことを、頭の片隅に置いてください。

 というのも、最低7割・理想9割を取らないといけない「宅建業法」は、全てが勉強対象であり、全てがやるべき論点に該当するからです。(「罰則」を除く。)

 つまり、35条や37条をやるというのは、「当たり前」なのです。

 昨今の試験は、かつてはほとんど出なかった「帳簿」や「従業者証明書」も、周期的に出ており、「宅建業法」の論点は、頻出うんぬんに関係なく、勉強しなくてはいけないものとなっています。

 少なくとも、“捨てられる論点”は、ほとんどありません。

宅建業法の頻出論点

 強いて、頻出論点を述べると…、

 ・免許(区分、申請、基準、欠格事由)

 ・宅建士制度

 ・広告規制

 ・媒介契約・代理契約

 ・35条:重要事項の説明

 ・37条:書面交付

 ・報酬

 ・保証協会・営業保証金

 ・監督処分

 …といったところです。

 これらは、毎年8~9割の確率で出題されている論点です。(過去10年で8~9年も登場。)

 よって、これらは、徹底集中して勉強することになるのですが、過去問でビシバシ出てくるので、“そう意識せずとも”、勉強することになるのでした。

頻出論点の語呂合わせ・考え方・ノート

 特に重要な「35条」と「37条」などについては、勉強ブログがあるので、これらを参考にしつつ、テキストの精読や過去問演習に臨んでください。

 挙げていくと…、

 ・宅建:宅建業法の8種制限の語呂合わせ

 ・35条(重要事項の説明)と37条(37条書面)の重複事項の語呂合わせ

 ・35条「物件に関すること」の考え方

 ・35条「取引に関すること」の考え方

 ・37条(37条書面)の必要的記載事項の考え方

 ・37条(37条書面)の任意的記載事項の考え方

 …となっています。

 また、論点のポイントをまとめたノートもあり…、

 「宅建ノート‐宅建業法

 「宅建ノート‐宅建士

 「宅建ノート‐用語定義

 …なども、参考にしてみてください。

傾向1‐いくつ系問題

 宅建業法の傾向のうち、受験生泣かせなのが、「いくつ系」の問題です。

 「いくつ系」は、読んで字の如く、「選択肢のうち、正しいもの(又は、誤っているもの)は、いくつあるか?」という出題形式です。

 参考1:H26 第32問:媒介契約・専任媒介契約

 参考2:H28 第37問:免許

 ピンと来ない方もおられるでしょう。

 ふつうの「どれが正(誤)?」の問題は、選択肢を絞り込むことができれば、格段に、正解率が上がるのです。

 しかし、当該「いくつ系」は、1つ1つの選択肢を、すべて正確に判別できないと、正解できない難儀な問題なのです。

 解けば、「いくつ系」がいかに点が取り難いか、即解します。ふつうの問題の「5倍」は、取りにくいです。

 初学者の人は、「宅建業法は、いくつ系がヤバイ」と、頭の片隅に置いておきましょう。

 また、ある程度、勉強が進めば、「いくつ系」でどれだけ点が確保できるかを、常に意識しておきましょう。

 当該「いくつ系」で点が取れたら、「合格」は格段に近づきます。

傾向2‐年輪化

 「宅建業法」の傾向として顕著なのは、年々、試験問題が手強くなっていくところです。

 

 これは、「年輪化」とも言われる現象で、本試験には、毎年、少しずつ、これまでにはない問題なり選択肢なりが登場するのです。

 たとえば、「A」という論点が出題されたら、その翌年には、当該「A」について、もっと突っ込んだ出題がなされたり、類似論点の「B」が出題されたりする、といった次第です。

 代表的なのは、「35条」の「国土交通省令で定める事項」です。

 かつては、“ほぼ無視”でよかった論点でしたが、規定の1つ2つがぽつぽつ出題されるようになった途端、いまでは、全規定どころか、「宅地の売買」「宅地の貸借」「建物の売買」「建物の貸借」の別まで、憶えなくてはならなくなっています。

 参考:宅建「35条(重要事項の説明)」の「国土交通省令等で定める事項」の過去問リスト

 大昔の宅建は、機械的に過去問を解いただけで受かっていました。

 しかし、昨今の試験は、過去問をシッカリ解いた上で、テキストをミッチリ読み込んでないと、「年輪化」した問題で、足を取られてしまいます。

 初学者の人は、「過去問だけじゃダメ。テキストも精読」と、肝に銘じておきましょう。

 そして、終盤では、「出ていないところ」も、テキストで丁寧に追っていきましょう。

傾向3‐法改正

 宅建業法ですが、昨今では、「法改正」が実によく出題されるようになっています。

 いわゆる「改正問題」ですが、これは、直近の法改正のみならず、数年前の法改正が問われたりするのです。

 しかも、結構、詳細に、深く問われるため、受験生泣かせとなっています。

 考え違いしている人もおられるのですが、「改正問題」は、直近のものをすれば事が済むのではなく、昔の改正まで、チェックしておく必要があります。

 初学者の人は、序盤から、「法改正がヤバイ。必ずチェック!」と、認識しておいてください。

 テキストにて、「平成○○年度改正」などと、過去の改正があれば、“意識に意識して”押える必要があります。

 そして、中盤にさしかかったら、必ず、テキストや過去問の出版社が提供する「法改正情報(冊子またはPDF)」を入手して、法改正事項を押えていってください。

プロの技を買う

 結論から言うと、先に見た「法改正」や「年輪化問題」などに対しては、プロの技を買って対応すべきです。

 個人でやると、能率が悪いからです。

 また、昨今の試験を見ると、宅建は、テキスト・過去問のみでは、合格が厳しくなっています。

 よって、問題演習の「数」を確保する上でも、中盤以降に、「予想問題集」や「模試問題集」を追加すべきです。

 参考:宅建:予想問題集・模試問題集レビュー

まとめ

 長々と、宅建業法の難儀さを述べてきたので、不安になった人も多いかと思います。

 しかし、そう過度に、気落ちする必要はありません。

 先も言ったように、本試験で問われるものは、テキストに載っていることが大半です。

 また、「頻出論点」のところで見たように、毎年のように問われる論点も、数多くあるので、それらで、一定の点数を確保できます。

 んなもんで、テキストをミッチリと精読し、過去問演習を繰り返しておけば、穏当に、ある程度の点数は確保できます。

 加えて、「予想問題集」や「模試問題集」で、さらなる問題演習をしておけば、安定して点数が取れるようになります。

 “人並み”の対策を取れば、少なくとも、致命的な失点には、至りません。

 宅建は、毎年、「3万人」近くが合格しているわけですが、換言すれば、毎年「3万人」も、宅建業法ができるようになっているわけです。

 「宅建業法」は、「民法」に比べたら、怖くありません。

 やることをやれば、点が取れるからです。

 最初に述べたように、まずは、「テキスト精読3回以上、10年分過去問3回以上、予想問題集・模試問題集で問題演習をプラス」という宅建業法の「数」をこなしてからです。

 中途半端にアレコレ考えるより、「数」で突き抜けましょう。

みんなとシェアする