宅地建物取引士(宅建・宅建士)と管理業務主任者(管業)の試験科目「民法」で、改正された「第541条:催告による解除」について解説したページ。最低限度のポイントと、チェック用の条文本文を説述する。法改正対策のページ。独学者向け。
「第541条:催告による解除」ですが、かなり大きな「変更」の改正です。
ゼッタイに押さえておくべき改正事項です。
主な改正内容は…、
・債務不履行に基づく契約の「解除」に、「債務者の帰責事由」が不要となった。
…となっています。
旧法(履行不能による解除権)では、契約の解除について…、
『全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。ただし、その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。』
…と、定められていました。
よって、契約を解除するには、債務者の過失等が必要でした。
しかし、今回の改正によって、先の下線の但し書き部分が削除されました。
条文では…、
『当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。』
…と、改められています。
文言から、債務者の責めうんぬんがなくなっており、債務者の帰責事由が無用なことがわかります。
よって、条文にいう『当事者の一方がその債務を履行しない』のであれば、契約を解除することができるようになりました。
たとえば、通販で物を買ったとします。
災害によって、買った店の倉庫が半壊してしまい、物を送ることができません。
旧法なら、債務者に過失がない(=債務の不履行が債務者の責めに帰することができない)ので、発送という債務が履行できなくても、我々は、契約を解除できませんでした。
しかし、改正によって、債務者が「発送をしない」という事実によって、契約を解除できるようになりました。
このように、取り扱いが大きく変わったので、シッカリ押えておきましょう。
先に見たように、本条の「契約の解除」には、「債務者の帰責事由が“無用”」と、改正されました。
対して、第415条の「債務不履行による損害賠償」ですが、これは、改正によって、「債務者の帰責事由が“必要”」と、明文化されました。
このあたり、ごっちゃになりやすいので、意識して憶えこみましょう。
本条は、「催告による解除」です。
条文まんまですが、
『当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。』
…と、契約の解除には、「催告」が必要になっています。
なお、催告無用で、即、解除できる「催告によらない解除」が次条の「 第542条:催告によらない解除」に、定められています。併せて押えてください。
このように、債務者の帰責事由がなくとも、契約の解除ができるようになったわけですが、濫用を防ぐために、但し書きにて、制限が課せられています。
条文には…、
『ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。』
…と、明記されています。
読んで字の如く、「債務の不履行が軽微であるとき」は、解除できません。
これは、「判例」の明文化です。
改正を機に問われることもあるので、チェックしておきましょう。
『当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。』
『ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。』
試験勉強については、「宅地建物取引士(宅建)の独学」を、参考にしてください。
「宅建」という資格を、より知りたい方は、「資格ガイド Sランク資格:宅地建物取引士」を、一読願います。
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