宅地建物取引士(宅建・宅建士)と管理業務主任者(管業)の試験科目「民法」で、改正された「第563条:買主の代金減額請求権」について解説したページ。最低限度のポイントと、チェック用の条文本文を説述する。法改正対策のページ。独学者向け。
「第563条:買主の代金減額請求権」ですが、、かなり大きな変更です。
確実に押さえておくべき改正事項です。
主な改正内容は…、
・買主の救済手段として、「代金減額請求権」が設けられた。
・買主の救済手段が整備されたことから、「瑕疵担保責任」制度がなくなった。
…となっています。
買主の「代金減額請求権」が新設されました。
引き渡された目的物が、「種類」、「品質」又は「数量」に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、「追完請求権」が行使できます。
参考:第563条:追完請求権
んで、買主が、この追完請求権を行使したのに、売主が対応しないときに、「代金減額請求権」が行使できる、と定められました。
条文には…。
『買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、』
『その期間内に履行の追完がないときは、』
『買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる』
…と、明記されました。
ポイントは「2つ」あります。
まず、「売主の帰責事由がない」ところです。
「追完請求権」と同様に、「代金減額請求権」は、契約の内容に適合しないのなら、“売主の過失なくして”、行使できます。
なお、当たり前ですが、「“買主”に帰責事由がある」ときは、第三項により、「代金減額請求権」の行使ができません。
次に、「代金減額請求権」は、「追完請求権」が前提になっているところです。
買主が「代金減額請求権」を行使するには、先に見たように、履行の追完の「催告」をする必要があります。
つまり、「契約の内容に適合しない」ときでも、即、「代金減額請求権」は行使できない、ってな次第です。
原則として、「追完請求権→代金減額請求権」という流れなので、注意してください。
先に、原則として、「追完請求権→代金減額請求権」という流れと述べましたが、第二項には、即、「代金減額請求権」を行使できるケースが明示されています。
条文まんまですが…、
『一 履行の追完が不能であるとき。』
『二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。』
『三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。』
『四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。』
…と、なっています。
これらに該当するときは、直ちに「代金減額請求権」が可能です。
各号の内容は、当然といえば、当然なので、一読しておけばいいでしょう。
ところで、当該規定は、「ひっかけ」で、「代金減額請求権は、“催告をしない限り”、行使できない」などと出そうです。
「×」ですね。先に見たように、即、行使できるケースがあります。
買主の救済手段は、本条の「代金減額請求権」のほか、「追完請求権」「損害賠償請求権」「解除権」が設けられました。
旧法では、「瑕疵担保責任」の規定がありましたが、当該救済手段の整備で、「瑕疵担保責任」の制度がなくなりました。
旧法では、「隠れた瑕疵」があって、売主に、担保責任の追及ができたわけです。
しかし、今回の改正で、「目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」なら、“隠れた瑕疵かどうかの当否を問うことなく”、買主は各権利を行使できるようになりました。
よって、実質的に、「瑕疵担保責任」がなくなったことになります。
『前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。』
参考:前条第一項本文に規定
買主の追完請求権 第562条
『引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。』
『前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。』
『一 履行の追完が不能であるとき。』
『二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。』
『三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。』
『四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。』
『第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。』
試験勉強については、「宅地建物取引士(宅建)の独学」を、参考にしてください。
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