第657条の2:寄託物受取り前の寄託者による寄託の解除等

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

宅地建物取引士(宅建・宅建士)と管理業務主任者(管業)の試験科目「民法」で、改正された「第657条の2:寄託物受取り前の寄託者による寄託の解除等」について解説したページ。最低限度のポイントと、チェック用の条文本文を説述する。法改正対策のページ。独学者向け。

最低限のポイント

 「第657条の2:寄託物受取り前の寄託者による寄託の解除等」ですが、「新設規定」です。

 チェックしておくべき改正です。

 主な改正内容は…、

 ・寄託者による契約の解除が新設された。

 ・受奇者による契約の解除が新設された。

 …となっています。

 なお、条文本文は、本ページの下方にあります。

解説・コメント1・・・寄託者の契約解除

 改正によって、寄託者による寄託契約の解除が追加されました。

 条文ですが…、

 『寄託者は、受寄者が寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。

 …と、明文化されました。

 よって、そのまんまですが、寄託者は、「受寄者が寄託物を受け取るまで」は、契約を解除できます。

 文面だけ読むと、寄託者は、かなり自由に解除できてしまいます。単に、目的物を引き渡さなければいいわけですから。

 よって、受“寄”者保護も、定められています。

 条文まんまですが…、

 『この場合において、受寄者は、その契約の解除によって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。』

 …と、明記されています。

 よって、契約解除によって、“受寄者”が損害を受けたときは、即、賠償請求が可能となりました。

解説・コメント2・・・受寄者の契約解除

 次に、第二項に、「受寄者による契約の解除」が新設されました。

 条文ですが…、

 『無報酬の受寄者は、寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による寄託については、この限りでない。

 …と、明記されています。

 次に、期間経過後の解除権が、第三項に明記され…、

 『受寄者(無報酬で寄託を受けた場合にあっては、書面による寄託の受寄者に限る。)は、寄託物を受け取るべき時期を経過したにもかかわらず、寄託者が寄託物を引き渡さない場合において、相当の期間を定めてその引渡しの催告をし、その期間内に引渡しがないときは、契約の解除をすることができる。』

 …と、定められました。

 ややこしいので、条文の知識問題で出そうです。

 以下のように、「場合別」に整理して、押さえておきましょう。

無償寄託‐無書面寄託

 まず、「無償寄託」で、「書面によらない寄託」の場合、受寄者は、「寄託物を受け取るまで」は、解除できます。

無償寄託‐書面寄託

 次に、「無償寄託」で、「書面による寄託」の場合、第三項のケースとなり、「寄託物を受け取るべき時期を経過したにもかかわらず、寄託者が寄託物を引き渡さない場合において、相当の期間を定めてその引渡しの催告をし、その期間内に引渡しがないとき」に、解除できます。

有償寄託

 最後に、「有償寄託」の場合の解除は、第三項のケースとなり、「書面による寄託」の場合、第三項のケースとなり、「寄託物を受け取るべき時期を経過したにもかかわらず、寄託者が寄託物を引き渡さない場合において、相当の期間を定めてその引渡しの催告をし、その期間内に引渡しがないとき」に、解除できます。

条文:寄託物受取り前の寄託者による寄託の解除等 第657条の2

 『寄託者は、受寄者が寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合において、受寄者は、その契約の解除によって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。』

第二項

 『無報酬の受寄者は、寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による寄託については、この限りでない。』

第三項

 『受寄者(無報酬で寄託を受けた場合にあっては、書面による寄託の受寄者に限る。)は、寄託物を受け取るべき時期を経過したにもかかわらず、寄託者が寄託物を引き渡さない場合において、相当の期間を定めてその引渡しの催告をし、その期間内に引渡しがないときは、契約の解除をすることができる。』

宅建のこまごましたもの

 試験勉強については、「宅地建物取引士(宅建)の独学」を、参考にしてください。

 「宅建」という資格を、より知りたい方は、「資格ガイド Sランク資格:宅地建物取引士」を、一読願います。

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