宅地建物取引士(宅建・宅建士)と管理業務主任者(管業)の試験科目「民法」で、改正された「第415条:債務不履行による損害賠償」について解説したページ。最低限度のポイントと、チェック用の条文本文を説述する。法改正対策のページ。独学者向け。
「第415条:債務不履行による損害賠償」ですが、第一項は「帰責事由」の「明文化」で、第二項は「債務の履行に代わる損害賠償の請求」の「新設」です。
大きな変更はないですが、チェックはしておきましょう。
主な改正内容は…、
・「履行遅滞」と「不完全履行」において、債務不履行に基づく損害賠償請求権の成立には、債務者の「帰責事由」を要する。
・「債務の履行に代わる損害賠償の請求」が新設された。
…となっています。
旧法では、「履行不能」にのみ、債務者の「帰責事由」が明記されていました。
逆を言えば、旧法では、「履行遅滞」と「不完全履行」には、債務者の「帰責事由」が明記されていなかったのです。
しかし、通説では、「履行遅滞」と「不完全履行」においても、債務者の「帰責事由」が必要と、解されていました。
んなもんで、今回の改正にて、「履行遅滞」と「不完全履行」において、債務不履行に基づく損害賠償請求権の成立には、債務者の「帰責事由」を要すると、条文に明記した、ってな寸法です。
まあ、従来の意味と同じなので、条文をチェックだけしておけばよいかと思われます。
先に見たように、「履行遅滞」と「不完全履行」には、債務者の帰責事由が“必要”です。
対して、「契約の解除」については、債務者の帰責事由が“無用”に、改正されています。
このあたり、ごっちゃになりやすいので、意識して憶えてください。
詳しくは、「第541条:催告による解除」を、一読ください。
第二項に、「債務の履行に代わる損害賠償の請求」が新設されました。
債務不履行があった場合、債権者には、債務の履行に代わる損害賠償の請求が可能と解されていました。
しかし、旧法では、条文に明記されていませんでした。
今回の改正では、「債務の履行に代わる損害賠償の請求」を、明文化した次第です。
以下に…
『一 債務の履行が不能であるとき。』
『二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。』
『三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。』
…該当する場合は、「債務の履行」に代えて、「損害賠償請求」が可能となりました。
『債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。』
『ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。』
『前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。』
『一 債務の履行が不能であるとき。』
『二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。』
『三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。』
試験勉強については、「宅地建物取引士(宅建)の独学」を、参考にしてください。
「宅建」という資格を、より知りたい方は、「資格ガイド Sランク資格:宅地建物取引士」を、一読願います。
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