宅地建物取引士(宅建・宅建士)と管理業務主任者(管業)の試験科目「民法」で、改正された「第613条:転貸の効果」について解説したページ。最低限度のポイントと、チェック用の条文本文を説述する。法改正対策のページ。独学者向け。
「第613条:転貸の効果」ですが、「明文化」の改正です。
定番の判例なので、改正を機に問われる可能性が高いです。確実に、押えておきましょう。
主な改正内容は…、
・適法な転貸借契約がされた場合、原賃貸借契約の合意解除は、転借人に対抗できない。
…となっています。
「判例」が明文化されたのは、第三項です。
条文まんまですが…、
『賃借人が“適法に”賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。』
…と、なっています。
「適法な転貸借」の場合、現賃貸借契約の合意解除は、転借人に主張できません。
「適法な転貸借」とは、賃貸人の「承諾」等があるもので、賃貸人は転貸借に合意している以上、それを遵守する必要があるってな次第です。
んなもんで、元の賃貸借契約(賃貸人と賃借人間の契約)を、勝手に解除しても、転借人に出て行けとはいえない、ってな寸法です。
よって、転借人は、そのまま、住み続けることができます。
当該「適法な転貸借と、元契約の合意解除」は、メジャー判例の1つでした。
今後は、「条文」問題として出そうなので、キッチリ押えておきましょう。
次に見るのは、「債務不履行」に基づく規定です。
本条の但し書きには…、
『ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。』
…と、明記されています。
元の賃貸借契約の解除が、「債務不履行」など、たとえば、賃借人の賃料未払いなどにより、行われたときは、その解除を、転借人に主張できます。
繰り返しになりますが、先の「適法な転貸借と、元契約の合意解除」の場合は、「主張不可」でした。
しかし、「債務不履行による元契約の解除」だと、その解除を、「主張可能」です。
このあたり、受験生が混乱することから、実によく出題されています。
シッカリと整理して、憶えてください。両方とも、ド定番の判例でした。
なお、「債務不履行」によって、原賃貸借契約が解除された場合、賃借人(転貸人)の“履行不能”により、転貸借契約も終了となります。
んで、賃貸人が原賃貸借契約を解除するにあたり、転借人への催告は「不要」です。
このあたりの「履行不能」や「催告不用」も、併せて押えておきましょう。
『賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。』
『前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。』
『賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。』
試験勉強については、「宅地建物取引士(宅建)の独学」を、参考にしてください。
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