宅地建物取引士(宅建・宅建士)と管理業務主任者(管業)の試験科目「民法」で、改正された「旧法534条:債権者の危険負担の削除」について解説したページ。最低限度のポイントと、チェック用の条文本文を説述する。法改正対策のページ。独学者向け。
「旧法534条:債権者の危険負担の削除」ですが、かなり大きな「変更」の改正です。
ゼッタイに押さえておくべき改正事項です。
主な改正内容は…、
・旧法の「債権者の危険負担」が削除された。
・新法の第536条の制定により、債権者は、当事者双方の責めに帰することのできない事由で、債務が履行不能になった場合、反対給付の履行を拒めるようになった。
…となっています。
旧法では、「危険負担」について、「債権者主義」を採っていました。
一応、条文を挙げておくと…。
『旧法第五百三十四条(債権者の危険負担)』
『特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。』
…と、定められていたのです。
しかし、かねてから、この規定については、批判が多かったため、改正によって、旧法第五百三十四条が削除されました。
よって、改正後の現在では、「債権者主義」ではありません。債権者が負担しなくてよくなりました。
さて、「危険負担」ですが、この規定があるのは、改正後は、「第536条」になります。
条文を挙げると…、
『(債務者の危険負担等)第五百三十六条』
『当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。』
…と、明記されています。
そのまんまですが、債権者は、反対給付の履行を拒むことができるようになりました。
よって、たとえば、「家」を買った場合に、引渡し前に、天変地異で全壊したとしても、債権者は、代金の支払を拒めます。
よって、「家」の損は、債務者(施工業者)が被ることになります。
このように、「危険負担」の取り扱いが正反対になったので、ゼッタイに押えておきましょう。
さて、第二項には、債権者に責があった場合について、定められています。
債権者の責めに帰すべき事由によって、履行不能になった場合、当たり前ですが、債権者は反対給付の履行を拒めません。
当たり前だからこそ、問われる可能性があるので、チェックだけはしておきましょう。
『特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する』
『当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。』
『債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。』
試験勉強については、「宅地建物取引士(宅建)の独学」を、参考にしてください。
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