第5問は、「事務管理」の問題です。出題実績のほとんどない論点のため、確答できた受験生は、ごく少数なはずです。本試験では、こういう“ぶっ飛んだ出題もある”と、傾向把握の一環としてください。解けなくても、復習だけしておけばよいでしょう。
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本問のレベルは「難」です。
大方の受験生は解けないので、本試験で遭遇したら、「捨て問」です。
まあ、復習だけはしておきましょう。
本問の答えは、「こちら(記号のみ)」です。
本問は、「誤っているもの」を選ぶ出題形式です。
問題文には、「B宅に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあったため、Bからの依頼なくB宅の屋根を修理した。」との指示があるので、チェックを入れておきましょう。
選択肢1の「Aは、Bに対して、特段の事情がない限り、B宅の屋根を修理したことについて報酬を請求することができない。」ですが、正しい記述です。
原則として、事務管理では、報酬は請求できないと解されています。
よって、選択肢は、「正」となります。
一見すると、その人のためにやってるのに、なぜ、報酬が貰えないんだと思ってしまいますが、これを許すと、「親切の押し売り」が可能に、たとえば、あなたの車を勝手に洗ってワックスをかけて、さあ、お駄賃をください、ってなことができてしまいます。
よって、原則として、無報酬になっているように思われます。
選択肢2の「Aは、Bからの請求があったときには、いつでも、本件事務処理の状況をBに報告しなければならない。」ですが、正しい記述です。
事務管理は、「委任」の規定が準用されます。
民法 第六百四十五条には、『受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。』とあります。
んなもんで、事務管理でも、請求があれば、報告する義務があります。
よって、選択肢は、「正」となります。
選択肢3の「Aは、B宅の屋根を善良な管理者の注意をもって修理しなければならない。」ですが、誤った記述です。
善管注意義務の問題です。
問題文には、「B宅に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあった」とあります。
このことから、条文で言う「緊急事務管理」に該当し、悪意または重過失がなければ、賠償責任を負わなくなります。
参考:民法 第六百九十八条・・・『管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない』
「緊急事務管理」の場合は、善管注意義務より、軽い義務となっています。
よって、選択肢は、「誤」となります。
選択肢4の「AによるB宅の屋根の修理が、Bの意思に反することなく行われた場合、AはBに対し、Aが支出した有益な費用全額の償還を請求することができる。」ですが、正しい記述です。
条文知識を問うています。
条文を見てみましょう。
民法 第七百二条第1項・・・『管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。』
民法 第七百二条第3項・・・『管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前二項の規定を適用する』
3項より、「意思に反した事務管理」のときは、一部しか償還請求できません。
しかし、選択肢では、「意思に反することなく」とあるので、費用全額の償還を請求することができます。
よって、選択肢は、「正」となります。
「1」は「正」です。
「2」は「正」です。
「3」は「誤」です。
「4」は「正」です。
本問は、「誤っているものはどれか?」ですので…
正解:3
…と相なります。
当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。
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