第9問は、「判決文」の問題です。不法行為についての基礎的な知識が問われています。また、判決文問題は、一種の「国語(現代文)」の問題で、読解力が必要です。他の問題とは、毛並みが違うので、後回しにして、一番最後に解くのが賢明かと思われます。
(クリックして拡大。)
本問のレベルは「ふつう」です。
難しそうに見えますが、他の問題に比べたら、カンタンです。
ガチガチの知識問題ではないので、考えれば、解けます。
落ち着いて臨めば、取れる問題です。
本問の答えは、「こちら(記号のみ)」です。
本問は、「誤っているもの」を選ぶ出題形式です。
別段、複雑な指示はないので、ふつうに選択肢の1つ1つを解けばいいです。
繰り返しますが、問題の毛並みが異なるので、一番最後に解くのがよいかと思われます。
なお、本問には、類似問題があるので、後述する「参考リンク」を活用ください。
判決文は、以下のように…、
契約の一方当事者が、当該契約の締結に先立ち、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ほすべき情報を相手方に提供しなかった場合には、上記一方当事者は、相手方が当該契約を締結したことにより被った損害につき、不法行為による賠慣責任を負うことがあるのは格別、当該契約上の債務の不履行による賠償責任を負うことはないというべきである。(中略)上記のような場合の損害賠償請求権は不法行為により発生したものである(略)。
…なっています。
下線部分に注目して、選択肢を見ていきましょう。
選択肢1の「信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を賃主に提供しなかった売主に対する買主の損害賠償請求権は、買主が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効により消滅する。」ですが、正しい記述です。
判決文の下線部分に注目すれば、「情報を賃主に提供しなかった」ことによる損害賠償は、「不法行為」に基づく損害賠償請求権であることがわかります。
「不法行為」に基づく損害賠償請求権ですから、起算日は「知ったときから3年」です。
よって、選択肢は、「正」となります。
選択肢2の「信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ほすべき情報を買主に提供しなかった売主に対する買主の損害賠償請求権は、損害を被っていることを買主が知らない場合でも、売買契約から10年間行使しないときは、時効により消滅する。」ですが、誤った記述です。
判決文の下線部分に注目すれば、「情報を賃主に提供しなかった」ことによる損害賠償は、「不法行為」に基づく損害賠償請求権であることがわかります。
「不法行為」に基づく損害賠償請求権ですので、消滅時効は、「行為のときより20年」となります。
よって、選択肢は、「誤」となります。
選択肢3の「買主に対して債権を有している売主は、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった売主に対する買主の損害賠償請求権を受働債権とする相殺をもって、買主に対抗することができない。」ですが、正しい記述です。
不法行為に基づく損害(債務)は、一般的な債権と相殺できません。
よって、選択肢は、「正」となります。
選択肢4の「売主が信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった場合、買主は、売主に対して、この説明義務違反を理由に、売買契約上の債務不履行責任を追及することはできない。」ですが、正しい記述です。
判決文の下線部分に注目すれば、「情報を賃主に提供しなかった」ことによる損害賠償は、「不法行為」に基づく損害賠償請求権であることがわかります。
一般的な債務不履行責任ではないわけですから、選択肢の言うとおり、売買契約上の債務不履行責任を追及することはできないです。
よって、選択肢は、「正」となります。
「1」は「正」です。
「2」は「誤」です。
「3」は「正」です。
「4」は「正」です。
本問は、「誤っているものはどれか?」ですので…
正解:2
…と相なります。
当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。
当該年度の「権利関係」だけ、問題演習をしたい人は、「H28 権利関係一覧リスト」を、ご利用ください。
当該論点の勉強には、「民法「判決文」の過去問リスト」を、活用ください。
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この試験にも、「民法」が出題されるのですが、どれも、基礎的なものなので、「カンタン」です。
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まだまだ問題が解き足らない方は…、
「管理業務主任者 民法一覧」の方も、活用ください。
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