12問‐H28の過去問と解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 第12問は、「借地借家法:借家権」の問題です。基本的な条文知識や、いわゆる「立ち退き料」、造作買取請求権、通知といった選択肢で構成されています。どれも、基礎・基本的なものばかりなので、大丈夫かと思います。解ける問題です。

12問‐借地借家法:借家権

 

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難易度・優先順位ひとこと

 本問のレベルは「ふつう」です。

 大半の受験生は、「点」にする問題です。

 本問の答えは、「こちら(記号のみ)」です。

解説

 本問は、「誤っているもの」を選ぶ出題形式です。

 問題文には、「居住を目的として」、「期間3年」、「賃料月額20万円」といった指示があります。

 この指示をもとに、解答して下さい。

 なお、本問には、類似問題があるので、後述する「参考リンク」を活用ください。

選択肢1

 選択肢1の「AもBも相手方に対し、本件契約の期間満了前に何らの通知もしなかった場合、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされるが、その期間は定めがないものとなる。」ですが、正しい記述です。

 基本的な条文知識を問うています。

 定期借家権の場合、当事者が、期間満了の1年前から6月前までに、相手方に更新しない旨の通知等をしなかった場合は、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます。

 この場合、選択肢のように、期間は「」となります。

 参考:借地借家法 第26条・・・『建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。

 よって、選択肢は、「正」となります。

選択肢2

 選択肢2の「BがAに対し、本件契約の解約を申し入れる場合、甲建物の明渡しの条件として、一定額以上の財産上の給付を申し出たときは、Bの解約の申入れに正当事由があるとみなされる。」ですが、誤った記述です。

 判例問題です。有名なので、テキストで確認しておきましょう。

 さて、選択肢の「財産上の給付」が指すのは「立ち退き料」なわけですが、当該立ち退き料を支払ったことが、正当事由にはなりません。

 よって、貸し手の経済状況等の相応な理由が必要となります。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

選択肢3

 選択肢3の「甲建物の適法な転借人であるCが、Bの同意を得て甲建物に造作を付加した場合、期間満了により本件契約が終了するときは、CはBに対してその造作を時価で買い取るよう請求することができる。」ですが、正しい記述です。

 いわゆる「造作買取請求権」です。

 借地借家法の第33条の2項には、『前項の規定は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間について準用する』という準用規定が定められています。

 設問の転貸借は適法に行なわれているので、当然、造作買取請求権も発生します。

 よって、選択肢は、「正」となります。

選択肢4

 選択肢4の「本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借で、契約の更新がない旨を定めた場合でも、BはAに対し、同条所定の通知期間内に、期間満了により本件契約が終了する旨の通知をしなければ、期間3年での終了をAに対抗することができない。」ですが、正しい記述です。

 そのとおりの記述です。

 いくら定期借家権でも、法の定める手続きを経る必要があります。

 借地借家法第38条第4項には、『第一項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。

 よって、「通知」が必要となります。

 選択肢は、「正」となります。

答え

 「1」は「正」です。

 「2」は「誤」です。

 「3」は「正」です。

 「4」は「正」です。

 本問は、「誤っているものはどれか?」ですので…

 正解:2

 …と相なります。

 >>> 次の問題へ。


参考リンク

 当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。

 当該年度の「権利関係」だけ、問題演習をしたい人は、「H28 権利関係一覧リスト」を、ご利用ください。

 当該論点の勉強には、「宅建「借地借家法」の過去問リスト」を、活用ください。

独学向け教材

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