43問‐H28の過去問と解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 第43問は、「手付金の保全措置」の問題です。おなじみ「未完成物件・完成物件」の論点が登場しています。本問は、出題形式が「正しいものはいくつあるか?」ですが、選択肢のそれぞれは、どれも、手付金の定番論点なので、正解したいところです。

43問‐手付金の保全措置

 

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難易度・優先順位ひとこと

 本問のレベルは「ふつう」です。

 「正しいものはいくつか?」という出題形式のため、正解し難い問題です。

 しかし、選択肢の1つ1つは、基本事項のため、合格圏にある受験生なら、「点」にしてくる問題です。

 落としたくない問題です。

 本問の答えは、「こちら(数字のみ)」です。

解説

 本問は、「正しいもの」を選ぶ出題形式です。

 別段、複雑な指示はないので、ふつうに選択肢の1つ1つを解けばいいです。

 なお、本問には、類似問題があるので、後述する「参考リンク」を活用ください。

選択肢ア

 選択肢アの「Aが、Bから手付金600万円を受領する場合において、その手付金の保全措置を講じていないときは、Bは、この手付金の支払を拒否することができる。」ですが、正しい記述です。

 宅建業者は、物件が未完成の場合において、代金の5%を超えるとき、または、1,000万円を超える手付を受け取る際は、保全措置を執らなくてはなりません。

 設問の代金は「3,000万円」で、この5%は、「150万円」です。

 よって、「600万円」の手付を請求する場合、受け取る前に、保全措置を執らなくてはなりません。

 んで、この場合、Bは、請求があっても、保全措置がないことをもって、支払いを拒否することができます。

 よって、選択肢は、「正」となります。

 まあ、Aが法律上に定められた保全措置をしていないのに、Bに支払い義務がある(支払わなくてはならない)と、ザル法になってしまいますね。

選択肢イ

 選択肢イの「Aが、保全措置を講じて、Bから手付金300万円を受領した場合、Bから媒介を依頼されていた宅地建物取引業者Cは、Bから媒介報酬を受領するに当たり、Aと同様、あらかじめ保全措置を講じなければ媒介報酬を受領することができない。」ですが、誤った記述です。

 少し、頭が混乱しそうですが、カンタンな問題です。

 「手付金の保全措置」は、自ら売主であるAの義務です。

 媒介業者のBは、手付金うんぬんと関係ありません。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

選択肢ウ

 選択肢ウの「Aは、Bから手付金150万円を保全措置を講じないで受領し、その後引渡し前に、中間金350万円を受領する場合は、すでに受領した手付金と中間金の合計額500万円について保全措置を講じなければならない」ですが、正しい記述です。

 1つ1つを、順を追って、見ていきましょう。

 まず、「Aは、Bから手付金150万円を保全措置を講じないで受領し」です。

 繰り返しになりますが、宅建業者は、物件が未完成の場合において、代金の5%を超えるとき、または、1,000万円を超える手付を受け取る際は、保全措置を執らなくてはなりません。

 設問の代金は「3,000万円」で、この5%は、「150万円」です。

 よって、選択肢の言う「150万円」の手付は、「150万円」を超えていないので、保全措置をすることなく、受け取ることができます。

 よって、この部分は、正しいとなります。

 次に、「中間金350万円を受領する場合」ですが、これを受け取ると、「150万円」を超えるため、保全措置が必要となります。

 んで、最後の「すでに受領した手付金と中間金の合計額500万円について保全措置を講じなければならない」ですが、まさに、そのとおりです。

 保全措置は、中間金350万円のみならず、最初に受け取った150万円についても、講じる必要があります。

 よって、選択肢は、「正」となります。

選択肢エ

 選択肢エの「Aは、保全措置を講じないで、Bから手付金150万円を受領した場合、その後、建築工事が完了しBに引き渡す前に中間金150万円を受領するときは、建物についてBへの所有権移転の登記がなされるまで、保全措置を講じる必要がない。」ですが、誤った記述です。

 本問のポイントは、「最初の手付金の受け取りは、未完成物件だったが、次の中間金の受け取りの場合には、完成物件になっていた」というところです。

 未完成物件か完成物件かの判断は、契約締結時を基準に考えます。

 選択肢の「Bから手付金150万円を受領した場合、その後、建築工事が完了し」のところから、契約締結時は、「未完成物件」だったことが読み取れます。

 よって、「150万円」を超える場合に、保全措置が必要となり、中間金150万円を受領するときには、受け取る前に、保全措置を講じる必要があります。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

 先のポイント「完成か未完成かは、契約締結時」は、実によく出るので、ガチンコで暗記しておきましょう。

答え

 「ア」は「正」です。

 「イ」は「誤」です。

 「ウ」は「正」です。

 「エ」は「誤」です。

 本問は、「正しいものはいくつあるか?」ですので…

 正解:2

 …と相なります。

 >>> 次の問題へ。


参考リンク

 当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。

 当該年度の「宅建業法」だけ、問題演習をしたい人は、「H28 宅建業法一覧リスト」を、ご利用ください。

 類似問題あります。テーマ別の問題演習は…、

 「宅建業法「手付金」の過去問リスト」や…、

 「宅建業法「報酬」の過去問リスト」を…、

 …活用ください。

独学向け教材

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