4問‐H28の過去問と解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 第4問は、「抵当権」を問う問題です。法定地上権、物上代位性、順位の変更、消滅請求といった基本的な論点が出題されています。判例問題が1つありますが、きちんと内容を消化した受験生なら、穏当に正解できるはずです。

4問‐抵当権

 

 (クリックして拡大。)

難易度・優先順位ひとこと

 本問のレベルは「ふつう」です。

 抵当権の基礎的な論点が多く、ぜひとも正解したい問題です。

 間違えた選択肢は、きちんと復習しておきましょう。特に、選択肢1は、よく出ています。

 本問の答えは、「こちら(記号のみ)」です。

解説

 本問は、「誤っているもの」を選ぶ出題形式です。

 別段、複雑な指示はないので、ふつうに選択肢の1つ1つを解けばいいです。

 なお、本問には、類似問題があるので、後述する「参考リンク」を活用ください。

選択肢1

 選択肢1の「Aが甲土地に抵当権を設定した当時、甲土地上にA所有の建物があり、当該建物をAがCに売却した後、Bの抵当権が実行されてDが甲土地を競落した場合、DはCに対して、甲土地の明渡しを求めることはできない。」ですが、正しい記述です。

 土地に抵当権が設定されたときに、既に、建物があるので、いわゆる「法定地上権」が成立しています。

 参考:第三百八十八条・・・土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。

 そして、「判例」では、当該建物が譲渡されたとしても、法定地上権が成立するものと解されています。

 よって、選択肢は、「正」となります。

選択肢2

 選択肢2の「甲土地上の建物が火災によって焼失してしまったが、当該建物に火災保険が付されていた場合、Bは、甲土地の抵当権に基づき、この火災保険契約に基づく損害保険金を請求することができる。」ですが、誤った記述です。

 抵当権は、土地に掛けられています。

 火災保険は、建物に掛けられています。

 土地と建物は、法律上、別個のものです。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

 選択肢の場合、「建物」の方に抵当権が掛かっていたら、「物上代位性」により、保険金を受け取る事ができました。

 この選択肢も、テキストレベルです。

選択肢3

 選択肢3の「AがEから500万円を借り入れ、これを担保するために甲土地にEを抵当権者とする第2順位の抵当権を設定した場合、BとEが抵当権の順位を変更することに合意すれば、Aの同意がなくても、甲土地の抵当権の順位を変更することができる。」ですが、正しい記述です。

 三百七十四条には、「抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。」とあります。

 よって、抵当権の順位の変更は可能です。

 んで、但し書きですが、債務者は、「利害関係を有する者」には当たらないので、承諾も必要ありません。

 よって、選択肢は、「正」となります。

選択肢4

 選択肢4の「Bの抵当権設定後、Aが第三者であるFに甲土地を売却した場合、FはBに対して、民法第383条所定の書面を送付して抵当権の消滅を請求することができる。」ですが、正しい記述です。

 第三百七十九条には、「抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。」とあります。

 これも、条文知識です。テキストを精読していれば、取れたはずです。

 よって、選択肢は、「正」となります。

答え

 「1」は「正」です。

 「2」は「誤」です。

 「3」は「正」です。

 「4」は「正」です。

 本問は、「誤っているものはどれか?」ですので…

 正解:2

 …と相なります。

 >>> 次の問題へ。


参考リンク

 当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。

 当該年度の「権利関係」だけ、問題演習をしたい人は、「H28 権利関係一覧リスト」を、ご利用ください。

 当該論点の勉強には、「民法「抵当権」の過去問リスト」を、活用ください。

管理業務主任者の民法

 宅建と同じ不動産系資格に「管理業務主任者」があります。

 この試験にも、「民法」が出題されるのですが、どれも、基礎的なものなので、「カンタン」です。

 そのため、宅建の民法の基礎力養成や、問題演習数の確保に便利です。

 まだまだ問題が解き足らない方は…、

 「管理業務主任者 民法一覧」の方も、活用ください。

独学向け教材

 宅建の独学向け教材には、「2系統」あります。

 はじめて法律を学ぶ方は「宅建(初学者向け)」を、参考にしてください。

 んで、法学部卒等で、ある程度の素養のある人は、「宅建(経験者向け)」を、参考にしてください。

PDF過去問に一言

 

 PDFの閲覧は、スマホだと画面が小さくて見難く、PCだとキーボードやマウス、配線等が邪魔で、かなりイライラします。

 PDF過去問の演習には、「タブレット」が最も勝手がよくて、ストレスも少ないです。

 手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。

 他のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安く、もちろん、PDF過去問の閲覧も可能で、費用対効果が秀逸です。

 受験が終わっても、他の試験で使え、サブ機としても使えます。受験を機に「Fire HD」を検討するのは、損はないです。

宅建のこまごましたもの

 試験勉強については、「宅地建物取引士(宅建)の独学」を、参考にしてください。

 「宅建」という資格を、より知りたい方は、「資格ガイド Sランク資格:宅地建物取引士」を、一読願います。

 ブログに試験勉強に関する記事を投稿しています。興味のある方は、「宅建タグの投稿記事」を、お目汚しください。

みんなとシェアする