第7問は、「抵当権」です。抵当権の「配当」について、細かい計算までが問われています。「譲渡」「放棄」で、計算が異なるため、押えていなかった受験生は、100%、落とした問題です。本試験でこの種の“お手上げ問題”に遭遇したら、即、後回しにして、他の問題に時間を割きましょう。
(クリックして拡大。)
本問のレベルは「難」です。
抵当権の配当についての問題です。
出題実績がほとんどないので、確答は無理でしょう。
本試験での「捨て問」筆頭です。
復習だけしておけばいいです。
令和元年度(2019年度)に、当該論点が『再出題』されました。
要領は、ほぼ同じです。
参考:R1-10問:抵当権譲渡
過去問に出たものは、ゼッタイに甘く見ず、解けるようになっておきましょう。
本問の答えは、「こちら(記号のみ)」です。
本問は、「誤っているもの」を問う出題形式です。
問題文に、指示が多数あります。
債権者Bが一番抵当権(債権額2,000万円)、
債権者Cが二番抵当権(債権額2,400万円)、
債権者Dが三番抵当権(債権額4,000万円)、
担保権を有しない債権者E(債権額2,000万円)、
甲土地の競売に基づく売却代金は、5,400万円。
これらの数字を見落とさないようにしましょう。
なお、本問には、類似問題があるので、後述する「参考リンク」を活用ください。
選択肢1の「BがEの利益のため、抵当権を譲渡した場合、Bの受ける配当は0円である。」ですが、正しい記述です。
この場合、まず、EがBの分(一番抵当権(債権額2,000万円)だけ、配当を受けます。
次いで、債権者Cが二番抵当権の分、債権額2,400万円を、受け取ります。
債権者Dは、三番抵当権(債権額4,000万円)ですが、残額は、「5400-4400」で「1,000万円」しかありません。よって、Dの受け取りは、1,000万円です。
Bは、無担保となっているので、「ゼロ」となります。
よって、選択肢は、「正」となります。
選択肢2の「BがDの利益のため、抵当権の順位を譲渡した場合、Bの受ける記当は800万円である。」ですが、誤った記述です。
この場合、BとDの本来の配当額から計算します。
本来の配当額は、Bが「2,000万円」、Cが「2400万円」、Dは「1,000万円」となります。
BとDの合計額は、「2000+1000」の「3,000万円」です。
Dは、まず、当該3,000万円の配当を受けます。
Bですが、Dの債権額は、4,000万円なので、もう、残っていません。
よって、Bは、「ゼロ」となります。
よって、選択肢は、「誤」となります。
選択肢3の「BがEの利益のため、抵当権を放棄した場合、Bの受ける配当は1000万円である。」ですが、正しい記述です。
抵当権を「放棄」した場合の処理です。
BがEの利益のため、抵当権を放棄した場合、Bの配当額を、BとEの債権額に応じて比例分配します。
Bの配当額は、1番抵当なので、「2,000万円」です。
Bの債権額は、2,000万円。Eの債権額も、2,000万円です。
同額なので、1対1となり、B「1,000万円」で、E「1,000万円」となります。
よって、選択肢は、「正」となります。
選択肢4の「BがDの利益のため、抵当権の順位を放棄した場合、Bの受ける配当は1,000万円である。」ですが、正しい記述です。
「抵当権」の『順位』を「放棄」したときの処理です。
この場合、BとDの本来の配当額を、BとDの債権額に応じて、比例分配します。
BとDの本来の配当額は、「2000+1000」の「3,000万円」です。
Bの債権額は、「2,000万円」。
Dの債権額は、「4,000万円」。
よって、1対2の割合となります。
んなもんで、Bは「1,000万円」で、Dは「2,000万円」となります。
よって、選択肢は、「正」となります。
「1」は「正」です。
「2」は「誤」です。
「3」は「正」です。
「4」は「正」です。
本問は、「誤っているものはどれか?」ですので…
正解:2
…と相なります。
当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。
当該年度の「権利関係」だけ、問題演習をしたい人は、「H27 権利関係一覧リスト」を、ご利用ください。
当該論点の勉強には、「民法「抵当権」の過去問リスト」を、活用ください。
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