9問‐H27の過去問と解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 第9問は、「判決文」の問題です。テーマは、転貸借における契約の解除が転借人に及ぶかどうか、です。国語の問題も多いので、点は取れるはずです。落ち着いて、解答して下さい。

9問‐判決文

 

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難易度・優先順位ひとこと

 本問のレベルは「ふつう」です。

 大半の受験生は、「点」にする問題ですが、他の問題とは、毛並みが違うので、一番最後に解くのも一手です。

 本問の答えは、「こちら(記号のみ)」です。

解説

 本問は、「誤っているもの」を選ぶ出題形式です。

 別段、複雑な指示はないので、ふつうに選択肢の1つ1つを解けばいいです。

 なお、本問には、類似問題があるので、後述する「参考リンク」を活用ください。

判決文

 土地の賃借人が賃貸人の承諾を得ることなく右土地を他に転貸しても、転貸について賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるため賃貸人が民法第612条第2項により賃貸借を解除することができない場合において、賃貸人が賃借人(転貸人)と賃貸借を合意解除しても、これが賃借人の賃料不払等の債務不履行があるため賃貸人において法定解除権の行使ができるときにされたものである等の事情のない限り、賃貸人は、転借人に対して右合意解除の効果を対抗することができず、したがって、転借人に対して賃貸土地の明渡を請求することはできないものと解するのが相当である。

選択肢1

 選択肢1の「土地の賃借人が無断転貸した場合において賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるため賃貸人が無断転貸を理由に賃貸借契約を解除できないときであっても、賃貸借契約を合意解除したときは、賃貸人は転借人に対して賃貸土地の明渡しを請求することができる。」ですが、誤った記述です。

 国語の問題です。

 判決文には、「賃貸人が賃借人(転貸人)と賃貸借を合意解除しても、(略)賃貸人は、転借人に対して右合意解除の効果を対抗することができず、したがって、転借人に対して賃貸土地の明渡を請求することはできない」とあります。

 合意解除しても、賃貸人は転借人に対して賃貸土地の明渡しを請求することができないです。

 まったく「逆」ですね。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

選択肢2

 選択肢2の「土地の賃貸人が転貸借について承諾を与えた場合には、賃貸人は、無断転貸を理由としては賃貸借契約を解除することはできないが、賃借人と賃貸借契約を合意解除することは可能である。」ですが、正しい記述です。

 「承諾」を与えた場合、無断転貸を理由としては賃貸借契約を解除することはできませんが、契約なのですから、合意解除は可能です。

 よって、選択肢は、「正」となります。

 小難しく考えず、選択肢だけを考えてください。選択肢には、転貸云々は聞いてません。

選択肢3

 選択肢3の「土地の賃借人が無断転貸した場合、賃貸人は、賃貸借契約を民法第612条第2項により解除できる場合とできない場合があり、土地の賃借人が賃料を支払わない場合にも、賃貸人において法定解除権を行使できる場合とできない場合がある。」ですが、正しい記述です。

 判例によると、「信頼関係不破壊の法理」により、信頼関係がぶち壊れるような事情がない限り、解除できないことになっています。

 よって、選択肢は、「正」となります。

選択肢4

 選択肢4の「土地の賃借人が無断転貸した場合、転借人は、賃貸人と賃借人との間で賃貸借契約が合意解除されたとしても、賃貸人からの賃貸土地の明渡し請求を拒絶することができる場合がある。」ですが、正しい記述です。

 判決文には、「賃貸人は、転借人に対して右合意解除の効果を対抗することができず、したがって、転借人に対して賃貸土地の明渡を請求することはできないものと解するのが相当である。」とあります。

 んなもんで、転借人に対抗する余地があります。

 よって、選択肢は、「正」となります。

答え

 「1」は「誤」です。

 「2」は「正」です。

 「3」は「正」です。

 「4」は「正」です。

 本問は、「誤っているものはどれか?」ですので…

 正解:1

 …と相なります。

 >>> 次の問題へ。


参考リンク

 当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。

 当該年度の「権利関係」だけ、問題演習をしたい人は、「H27 権利関係一覧リスト」を、ご利用ください。

 論点の勉強には、「民法「判決文」の過去問リスト」を、参考をば。

独学向け教材

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