5問‐H27の過去問と解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 第5問は、「判例問題(占有)」の問題です。「占有」について問われていますが、選択肢の大半が「判例」によって構成されています。よほどシッカリ勉強した人でないと取れない問題です。判断できる物も少なく、厳しいです。本試験で遭遇したら、後回しか捨て問となる問題です。

5問‐判例問題(占有)

 

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難易度・優先順位ひとこと

 本問のレベルは「難」です。

 細を穿った判例問題があるため、確答は厳しいです。

 条文知識で取れる選択肢だけは、きっちり取りましょう。

 本問の答えは、「こちら(記号のみ)」です。

解説

 本問は、「正しいもの」を選ぶ出題形式です。

 別段、複雑な指示はないので、ふつうに選択肢の1つ1つを解けばいいです。

 なお、本問には、類似問題があるので、後述する「参考リンク」を活用ください。

選択肢1

 1の「甲建物の所有者Aが、甲建物の隣家に居住し、甲建物の裏口を常に監視して第三者の侵入を制止していたとしても、甲建物に錠をかけてその鍵を所持しない限り、Aが甲建物を占有しているとはいえない。」ですが、誤った記述です。

 判例問題です。

 判例では、「錠をかけて」、「その鍵を所持しなくても」、占有しているとしています。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

選択肢2

 選択肢2の「乙土地の所有者の相続人Bが、乙土地上の建物に居住しているCに対して乙土地の明渡しを求めた場合、Cは、占有者が占有物について行使する権利は適法であるとの推定規定を根拠として、明渡しを拒否することができる。」ですが、誤った記述です。

 判例によると、Cは、自らその正当性を立証しなくてはならない、とされています。

 選択肢のいう推定規定は、根拠とならない、と解されています。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

選択肢3

 選択肢3の「丙土地の占有を代理しているDは、丙土地の占有が第三者に妨害された場合には、第三者に対して占有保持の訴えを提起することができる。」ですが、正しい記述です。

 占有権は、代理人によっても可能で、代理人は、占有保持の訴えも可能です。

 参考:第百八十一条 『占有権は、代理人によって取得することができる。

 参考:第百九十七条 『占有者は、次条から第二百二条までの規定に従い、占有の訴えを提起することができる。他人のために占有をする者も、同様とする。

 よって、選択肢は、「正」となります。

選択肢4

 選択肢4の「占有回収の訴えは、占有を侵奪した者及びその特定承継人に対して当然に提起することができる。」ですが、誤った記述です。

 条文では、特定承継人には、当然には提起できません。但し書きの場合に、訴えを提起できます。

 参考:第二百条 1『占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。

 参考:第二百条 2『占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。』

 よって、選択肢は、「誤」となります。

答え

 「1」は「誤」です。

 「2」は「誤」です。

 「3」は「正」です。

 「4」は「誤」です。

 本問は、「正しいものはどれか?」ですので…

 正解:3

 …と相なります。

 >>> 次の問題へ。


参考リンク

 当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。

 当該年度の「権利関係」だけ、問題演習をしたい人は、「H27 権利関係一覧リスト」を、ご利用ください。

 当該論点の勉強には、「民法「判例」の過去問リスト」を、活用ください。

独学向け教材

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