第10問は、「不動産質権・抵当権」の比較問題です。条文知識を問う問題であり、テキストと過去問を繰り返しておけば、まず、取れるレベルです。確実に1点としたい問題です。
(クリックして拡大。)
本問のレベルは「ふつう」です。
大半の受験生は、「点」にする問題です。
本問の答えは、「こちら(記号のみ)」です。
本問は、「誤っているもの」を選ぶ出題形式です。
別段、複雑な指示はないので、ふつうに選択肢の1つ1つを解けばいいです。
なお、本問には、類似問題があるので、後述する「参考リンク」を活用ください。
選択肢1の「①では、被担保債権の利息のうち、満期となった最後の2年分についてのみ担保されるが、②では、設定行為に別段の定めがない限り、被担保債権の利息は担保されない。」ですが、誤った記述です。
基本的な条文知識を問うています。
①の不動産質権では、その債権の利息を請求できません。実質「質」だからです。
参考:民法 第三百五十八条・・・『不動産質権者は、その債権の利息を請求することができない』
対して、②の抵当権では、満期となった最後の2年分について、抵当権を行使できます。
参考:民法 第三百七十五条・・・『抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。』
選択肢は、①と②が「逆」になっています。
よって、選択肢は、「誤」となります。
選択肢2の「①は、10年を超える存続期間を定めたときであっても、その期間は10年となるのに対し②は、存続期間に関する制限はない。」ですが、正しい記述です。
民法 第三百六十条には、『不動産質権の存続期間は、十年を超えることができない。設定行為でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、十年とする。』とあります。
よって、前半部分の①は、正しいです。
次に後半部分の②ですが、抵当権には、存続期間の決まりがありません。
抵当権の代表的なものは、住宅ローンなわけですが、20年から40年、物件によっては、50年のローンが組めますので、こういう点からも、「存続期間の決まりがない」ことが、推測できるかと思います。
よって、選択肢は、「正」となります。
選択肢3の「①は、目的物の引渡しが効力の発生要件であるのに対し、②は、目的物の引渡しは効力の発生要件ではない。」ですが、正しい記述です。
「不動産質権」も「質権」なので、物件の引渡しが必要です。
参考:第三百四十四条・・・『質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる』
対して、抵当権は、引渡しは無用です。当事者の合意のみで、効力が生じます。
抵当権の代表的なものは、住宅ローンなわけですが、買った家を銀行に引き渡していたら、住めなくなります。
これでは、何のためにローンを組んだのか、全く意味不明です。こういう点からも、推測できるかと思います。
よって、選択肢は、「正」となります。
選択肢4の「①も②も不動産に関する物権であり、登記を備えなければ第三者に対抗することができない。」ですが、正しい記述です。
そのとおりの記述です。
不動産質権も抵当権も、物権なので、登記が対抗要件となります。
参考 第百七十七条・・・『不動産に関する物権の得喪及び変更は、(略)登記をしなければ、第三者に対抗することができない』
よって、選択肢は、「正」となります。
「1」は「誤」です。
「2」は「正」です。
「3」は「正」です。
「4」は「正」です。
本問は、「誤っているものはどれか?」ですので…
正解:1
…と相なります。
当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。
当該年度の「権利関係」だけ、問題演習をしたい人は、「H29 権利関係一覧リスト」を、ご利用ください。
当該論点の勉強には、「民法「抵当権」の過去問リスト」を、活用ください。
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