11問‐H29の過去問と解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 第11問は、「借地借家法:賃貸借契約」の問題です。事例の比較や条文知識が問われるほか、ひっかけ問題もあり、なかなか完答できない問題です。しかし、取れる問題でもあるので、解けるようになっておきましょう。

11問‐借地借家法:賃貸借契約

 

 (クリックして拡大。)

難易度・優先順位ひとこと

 本問のレベルは「やや難」です。

 「ひっかけ」あります。注意してください。

 本問の答えは、「こちら(記号のみ)」です。

解説

 本問は、「正しいもの」を選ぶ出題形式です。

 別段、複雑な指示はないので、ふつうに選択肢の1つ1つを解けばいいです。

 なお、本問には、類似問題があるので、後述する「参考リンク」を活用ください。

選択肢1

 選択肢1の「Aが甲土地につき、本件契約とは別に、平成29年9月1日にCとの間で建物所有を目的として賃貸借契約を締結していた場合、本件契約が資材置場として更地で利用することを目的とするものであるときは、本件契約よりもCとの契約が優先する。」ですが、誤った記述です。

 難しく考えないで、解答して下さい。

 「建物所有を目的」での賃貸借契約は、借地借家法の適用があります。

 んで、「更地目的」での賃貸借契約は、借地借家法の適用がありません。

 しかし、借地借家法の適用があるからといって、他の契約に優位するものではありません。

 第百七十七条には、『不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(略)に従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない』とあります。

 よって、登記の有無で、優先するかしないかが決まります。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

選択肢2

 選択肢2の「賃借権の存続期間を10年と定めた場合、本件契約が居住の用に供する建物を所有することを目的とするものであるときは存続期間が30年となるのに対し本件契約が資材置場として更地で利用することを目的とするものであるときは存続期間は10年である。」ですが、正しい記述です。

 いい問題です。

 借地権の存続期間は、30年です。

 参考:借地借家法 第三条・・・『借地権の存続期間は、三十年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。

 んなもんで、賃借権の存続期間を10年とあっても、「建物所有目的」ならば、「30年」となります。

 んで、後半の「資材置場の更地」の場合は、通常の賃貸借なので、契約どおり、「10年」となります。

 参考:民法 第六百四条・・・『賃貸借の存続期間は、二十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、二十年とする

 よって、選択肢は、「正」となります。

選択肢3

 選択肢3の「本件契約が建物所有を目的として存続期間60年とし、賃料につき3年ごとに1%ずつ増額する旨を公正証書で定めたものである場合、社会情勢の変化により賃料が不相当となったときであっても、AもBも期間満了まで賃料の増減額請求をすることができない。」ですが、誤った記述です。

 借地借家法の第十一条には、『地代又は土地の借賃(略)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。』とあります。

 地代等の増減を、請求する事は可能です。

 誰も将来のことはわからないのですから、一律に、できる・できないを決めるのは、不合理かといえます。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

 なお、「建物所有を目的として存続期間60年」のところですが、先に見たように、借地権は最短30年であり、但し書きの「契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。」とあるので、60年でも契約可能です。

選択肢4

 選択肢4の「本件契約が建物所有を目的としている場合、契約の更新がなく、建物の買取りの請求をしないこととする旨を定めるには、AはあらかじめBに対してその旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。」ですが、誤った記述です。

 ひっかけです。

 「定期建物賃貸借」には、事前の説明義務があります。しかし、「定期借地権」には、そのような規定はありません。

 ひっかかった人は、テキストで確認しておいてください。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

答え

 「1」は「誤」です。

 「2」は「正」です。

 「3」は「誤」です。

 「4」は「誤」です。

 本問は、「正しいものはどれか?」ですので…

 正解:2

 …と相なります。

 >>> 次の問題へ。


参考リンク

 当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。

 当該年度の「権利関係」だけ、問題演習をしたい人は、「H29 権利関係一覧リスト」を、ご利用ください。

 当該論点の勉強には、「宅建「借地借家法」の過去問リスト」を、活用ください。

独学向け教材

 宅建の独学向け教材には、「2系統」あります。

 はじめて法律を学ぶ方は「宅建(初学者向け)」を、参考にしてください。

 んで、法学部卒等で、ある程度の素養のある人は、「宅建(経験者向け)」を、参考にしてください。

PDF過去問に一言

 

 PDFの閲覧は、スマホだと画面が小さくて見難く、PCだとキーボードやマウス、配線等が邪魔で、かなりイライラします。

 PDF過去問の演習には、「タブレット」が最も勝手がよくて、ストレスも少ないです。

 手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。

 他のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安く、もちろん、PDF過去問の閲覧も可能で、費用対効果が秀逸です。

 受験が終わっても、他の試験で使え、サブ機としても使えます。受験を機に「Fire HD」を検討するのは、損はないです。

宅建のこまごましたもの

 試験勉強については、「宅地建物取引士(宅建)の独学」を、参考にしてください。

 「宅建」という資格を、より知りたい方は、「資格ガイド Sランク資格:宅地建物取引士」を、一読願います。

 ブログに試験勉強に関する記事を投稿しています。興味のある方は、「宅建タグの投稿記事」を、お目汚しください。

みんなとシェアする