6問‐H29の過去問と解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 第6問は、「相続」の問題です。相続分の計算、代襲相続、限定承認など、オーソドックスな出題ですが、選択肢の1つに、判例問題があります。選択肢のすべてを確答できないかもですが、最終解答は、消去法から導けるはずです。1点としたい問題です

6問‐相続

 

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難易度・優先順位ひとこと

 本問のレベルは「ふつう」です。

 小難しい選択肢が1つありますが、最終解答は出せます。

 実力のある受験生なら、「点」にする問題です。

 こういう問題が取れるようになれば、合格圏です。

 本問の答えは、「こちら(記号のみ)」です。

解説

 本問は、「正しいもの」を選ぶ出題形式です。

 相続の問題では、登場人物の関係図を書くのが必須です。

 問題文をよく読んで、関係図をノートの余白に書き出してから、解答に当たってください。

 なお、本問には、類似問題があるので、後述する「参考リンク」を活用ください。

選択肢1

 選択肢1の「①BがAの配偶者でCがAの子である場合と、②BとCがいずれもAの子である場合とでは、Bの法定相続分は①の方が大きい。」ですが、誤った記述です。

 相続人が、子と配偶者のときは、相続分は、各2分の1です。

 相続人が、子だけのときは、それぞれの相続分は等しくなっています。

 ①のケースでは、子1人なので、Bは各2分の1で、Cも各2分の1です。

 ②のケースでは、子2人なので、1÷2で、BもCも「2分の1」ずつとなります。

 ①と②とも、同じ相続分です。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

選択肢2

 選択肢2の「Aの死亡後、いずれもAの子であるBとCとの間の遣産分割協議が成立しないうちにBが死亡したときは、Bに配偶者Dと子Eがいる場合であっても、Aの遺産分割についてはEが代襲相続人として分割協議を行う。」ですが、誤った記述です。

 代襲相続のところが間違っています。

 Aの死亡時に、Bは生存していますから、代襲相続の対象外です。

 参考:民法 第八百八十七条の第2項・・・『被相続人の子が、“相続の開始以前に死亡したとき”、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない

 んなもんで、「Aの遺産分割についてはEが代襲相続人として分割協議を行う。」のところが誤りとなります。

 当該Aの遺産分割は、BとDとEとで、行なうことになります。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

選択肢3

 選択肢3の「遺産分割協議が成立するまでの間に遺産である不動産から賃料債権が生じていて、BとCがその相続分に応じて当該賃科債権を分割単独債権として確定的に取得している場合、遺産分割協議で当該不動産をBが取得することになっても、Cが既に取得した賃料債権につき清算する必要はない。」ですが、正しい記述です。

 当該選択肢は、判例問題です。

 選択肢のいうように、分割単独債権として確定的に取得している場合、後の遺産分割の影響を受けません。

 判例なので、“このようなものとして”憶えるしかありません。チェックしておきましょう。

 よって、選択肢は、「正」となります。

選択肢4

 選択肢4の「Bが自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に対して、相続によって得た財産の限度においてのみAの債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して相続を承認する限定承認をする旨を申述すれば、Cも限定承認をする旨を申述したとみなされる。」ですが、誤った記述です。

 限定承認は、共同相続人の全員が共同して行ないます。

 特定の1人が限定承認したからといって、他の者が限定承認したとはみなされません。

 参考:民法 九百二十三条・・・『相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

答え

 「1」は「誤」です。

 「2」は「誤」です。

 「3」は「正」です。

 「4」は「誤」です。

 本問は、「正しいものはどれか?」ですので…

 正解:3

 …と相なります。

 >>> 次の問題へ。


参考リンク

 当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。

 当該年度の「権利関係」だけ、問題演習をしたい人は、「H29 権利関係一覧リスト」を、ご利用ください。

 当該論点の勉強には、「民法「相続」の過去問リスト」を、活用ください。

管理業務主任者の民法

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 まだまだ問題が解き足らない方は…、

 「管理業務主任者 民法一覧」の方も、活用ください。

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宅建のこまごましたもの

 試験勉強については、「宅地建物取引士(宅建)の独学」を、参考にしてください。

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