3問‐H29の過去問と解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 第3問は、「判決文」の問題です。「共有」についての出題です。「共有」についての基本的な知識を問う一方で、「国語」の出題もあります。落ち着いて判決文を読んでいけば、穏当に解ける問題です。

3問‐判決文

 

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難易度・優先順位ひとこと

 本問のレベルは「ふつう」です。

 「判決文」の問題ですが、「基本知識」が問われることが多いです。

 また、単に「国語」の問題、つまり、判決文をきちんと読み取っていれば、即解できる問題が出るときもあります。

 大半の受験生は、「点」にする問題です。

 落ち着いて、解くようにしてください。

 個人的には、「判決文問題」は、一番最後に解くのがよいと思っています。

 本問の答えは、「こちら(記号のみ)」です。

解説

 本問は、「誤っているもの」を選ぶ出題形式です。

 別段、複雑な指示はないので、ふつうに選択肢の1つ1つを解けばいいです。

 なお、本問には、類似問題があるので、後述する「参考リンク」を活用ください。

判決文

 判決文は…、

 「共有者の一部の者から共有者の協議に基づかないで共有物を占有使用することを承認された第三者は、その者の占有使用を承認しなかった共有者に対して共有物を排他的に占有する権原を主張することはできないが、現にする占有がこれを承認した共有者の持分に基づくものと認められる限度で共有物を占有使用する権原を有するので、第三者の占有使用を承認しなかった共有者は右第三者に対して当然には共有物の明渡しを請求することはできないと解するのが相当である。共有者は、他の共有者との協議に基づかないで当然に共有物を排他的に占有する権原を有するものではない。

 …となっています。

選択肢1

 選択肢1の「共有者は、他の共有者との協議に基づかないで当然に共有物を排他的に占有する権原を有するものではない。」ですが、正しい記述です。

 「国語」の問題です。

 判決文には、「共有者は、他の共有者との協議に基づかないで当然に共有物を排他的に占有する権原を有するものではない」とあります。

 ここが読み取れていれば、「共有」の条文知識がなくても、判別できたはずです。

 基本的に、「共有」は、その持分に応じた使用しかできないです。

 参考:第二百四十九条・・・『各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

 選択肢のいうように、当然に共有物を排他的に占有する権原を有するものではありません。

 よって、選択肢は、「正」となります。

選択肢2

 選択肢2の「AとBが共有する建物につき、AB間で協議することなくAがCと使用貸借契約を締結した場合、Bは当然にはCに対して当該建物の明渡しを請求することはできない。」ですが、正しい記述です。

 これまた、「国語」の問題です。

 判決文には、「第三者の占有使用を承認しなかった共有者は右第三者に対して当然には共有物の明渡しを請求することはできない」とあります。

 よって、選択肢は、「正」となります。

選択肢3

 選択肢3の「DとEが共有する建物につき、DE間で協議することなくDがFと使用貸借契約を締結した場合、Fは、使用貸借契約を承認しなかったEに対して当該建物全体を排他的に占有する権原を主張することができる。」ですが、誤った記述です。

 またも、「国語」の問題です。

 先の判決文には、「現にする占有がこれを承認した共有者の持分に基づくものと認められる限度で共有物を占有使用する権原を有する」とあります。

 んで、当該共有者の持分は、「当然に共有物を排他的に占有する権原を有するものではない」ので、当然、Fも、排他的占有ができなくなります。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

選択肢4

 選択肢4の「GとHが共有する建物につき、Gがその持分を放棄した場合は、その持分はHに帰属する。」ですが、正しい記述です。

 条文知識を問うています。

 第二百五十五条には、『共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。』とあります。

 よって、選択肢は、「正」となります。

答え

 「1」は「正」です。

 「2」は「正」です。

 「3」は「誤」です。

 「4」は「正」です。

 本問は、「誤っているものはどれか?」ですので…

 正解:3

 …と相なります。

 >>> 次の問題へ。


参考リンク

 当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。

 当該年度の「権利関係」だけ、問題演習をしたい人は、「H29 権利関係一覧リスト」を、ご利用ください。

 当該論点の勉強には、「民法「判決文」の過去問リスト」を、活用ください。

管理業務主任者の民法

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 まだまだ問題が解き足らない方は…、

 「管理業務主任者 民法一覧」の方も、活用ください。

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