第5問は、「判決文」の問題です。知識を問うのではなく、「判決文」を正確に読み取れば、解答できるものばかりです。落ち着いてから解くのがコツです。
(クリックして拡大。)
本問のレベルは「ふつう」です。
大半の受験生は、「点」にする問題です。
本問の答えは、「こちら(記号のみ)」です。
本問は、「正しいもの」を選ぶ出題形式です。
判決文を、落ち着いて「読み取る」のが問題の眼目です。
他の問題とは、毛並みが違うので、一番最後に解くのも一手です。
なお、本問には、類似問題があるので、後述する「参考リンク」を活用ください。
『民法は、原則として債権の譲渡性を認め(民法第466条第1項)、当事者が反対の意思を表示した場合にはこれを認めない旨定めている(同条第2項本文)ところ、債権の譲渡性を否定する意思を表示した譲渡禁止の特約は、債務者の利益を保護するために付されるものと解される。そうすると、譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者は、同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張する独自の利益を有しないのであって、債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであるなどの特段の事情がない限り、その無効を主張することは許されないと解するのが相当である。』
1の「債権譲渡禁止特約が付されている債権が債権者から第三者に対して譲渡された場合、債権者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであるときに限り、債務者が当該譲渡は無効である旨の主張をすることは許される。」ですが、誤った記述です。
判決文によると、「債権譲渡禁止特約」は、債務者保護にあると述べています。
んなもんで、債務者は、「債権者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らか」でなくても、譲渡の無効を主張できます。
よって、選択肢は、「誤」となります。
選択肢2の「債権譲渡禁止特約が付されている債権が債権者から第三者に対して譲渡された場合、債権者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであれば、譲渡した債権者が当該譲渡は無効である旨の主張をすることは許される。」ですが、誤った記述です。
国語の問題です。
「債権を譲渡した債権者は、同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張する独自の利益を有しないのであって、(略)、その無効を主張することは許されないと解するのが相当である。」と述べられています。
特約を知りつつ譲渡した債権者は、主張できないと解されています。
よって、選択肢は、「誤」となります。
選択肢3の「債権譲渡禁止特約が付されている債権が債権者から第三者に対して譲渡された場合、債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであれば、譲渡した債権者が当該譲渡は無効である旨の主張をすることは許される。」ですが、正しい記述です。
国語の問題です。
「債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らか」なら、この債権者は、無効を主張できます。
よって、選択肢は、「正」となります。
選択肢4の「債権譲渡禁止特約が付されている債権が債権者から第三者に対して譲渡された場合、債権譲渡禁止の特約は債務者の利益を保護するために付されるものであるので、債権者はいかなるときも当該譲渡が無効であることを主張することは許されない。」ですが、誤った記述です。
先の選択肢と同じ趣旨です。
「債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らか」なら、この債権者は、無効を主張できます。
この債権者でも、無効を主張できるときがあります。
よって、選択肢は、「誤」となります。
「1」は「誤」です。
「2」は「誤」です。
「3」は「正」です。
「4」は「誤」です。
本問は、「正しいものはどれか?」ですので…
正解:3
…と相なります。
当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。
当該年度の「権利関係」だけ、問題演習をしたい人は、「H26 権利関係一覧リスト」を、ご利用ください。
当該論点の勉強には、「民法「判決文」の過去問リスト」を、活用ください。
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