宅地建物取引士(宅建・宅建士)と管理業務主任者(管業)の試験科目「民法」で、改正された「第412条の2:履行不能」について解説したページ。最低限度のポイントと、チェック用の条文本文を説述する。法改正対策のページ。独学者向け。
「第412条の2:履行不能」ですが、一項は判例の「明文化」の改正で、二項は「新設規定」です。
改正を機に問われることもあるので、チェックしておきましょう。
主な改正内容は…、
・「履行不能」が明文化された。
・「原始的不能」でも、損害賠償請求ができる。
…となっています。
旧法では、「履行不能」が明文化されておらず、判例や通説によって、当該規定が運用されていました。
そこで、改正によって、条文として明記した、ってな次第です。
条文まんまですが、一項には…、
『債務の履行が、(略)、不能であるときは、』
『債権者は、その債務の履行を請求することができない。』
…と明記されました。
たとえば、被災直後の債務者に、債権者は、たとえば、物の引渡しなどの債務の履行を請求できない、ってな次第です。
まあ、「履行不能」の解釈は、従来と異ならないので、チェックだけしておけばいいです。
「原始的不能」という規定が新設されました。
判例においては、「原始的不能」は、「無効」とされていました。
「無効」ですから、「最初からなかった」わけで、よって、債務不履行に基づく損害賠償はできないとされていました。
しかし、履行が不能になったかどうかは、偶発的なものもあり、「無効」に一本化すると、債権者に不利になると考えられました。
よって、第412条の2の第二項に…、
『契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは、第四百十五条の規定によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない。』
…と規定し、契約成立時に不能であっても、損害賠償が「できる」とされました。
第二項は新設されたものであり、以前とは解釈が異なるので、民法経験者は、チェックしておきましょう。
『債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない。』
『契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは、第四百十五条の規定によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない。』
『債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。』
『前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。』
『一 債務の履行が不能であるとき。』
『二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。』
『三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
試験勉強については、「宅地建物取引士(宅建)の独学」を、参考にしてください。
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