4問‐R2-12月の過去問と解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 第4問は、「債務不履行」を問う問題です。どの選択肢も基礎・基本的なものばかりです。今後も、まず出題される論点なので、テキストを精読しておきましょう。テキストと過去問を繰り返しておけば、まず、取れます。取れる問題です。

4問‐債務不履行

 

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難易度・優先順位ひとこと

 本問のレベルは「ふつう」です。

 本問の答えは、「こちら(記号のみ)」です。

選択肢1

 「債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限が到来したことを知らなくても、期限到来後に履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。」ですが、正しい記述です。

 「第四百十二条」の「履行期と履行遅滞」の「第二項」には…、

 『2 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う』

 …とあります。

 条文では、「履行請求」か「知ったとき」かのいずれか早い時となっています。

 よって、選択肢は、「正」となります。

選択肢2

 選択肢2の「債務の目的が特定物の引渡しである場合、債権者が目的物の引渡しを受けることを理由なく拒否したため、その後の履行の費用が増加したときは、その増加額について、債権者と債務者はそれぞれ半額ずつ負担しなければならない。」ですが、誤った記述です。

 「第四百十三条」の「受領遅滞」の「第二項」には…、

 『2 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないことによって、その履行の費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担とする。

 …とあります。

 設問の場合、債権者に非があるので、増加分の費用は、折半ではなく、債権者の負担となります。

 まあ、常識的に判断できるかと思います。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

選択肢3

 選択肢3の「債務者がその債務について遅滞の責任を負っている間に、当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行不能は債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなされる。」ですが、正しい記述です。

 「第四百十三条の二」の「履行遅滞中又は受領遅滞中の履行不能と帰責事由」には…、

 『債務者がその債務について遅滞の責任を負っている間に』

 『当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなす

 …とあります。

 発生した「履行不能」は、いうなれば、債務者の履行遅滞がなければ、被らなかったものなので、債務者の責任となります。

 よって、選択肢は、「正」となります。

選択肢4

 選択肢4の「契約に基づく債務の履行が契約の成立時に不能であったとしても、その不能が債務者の責めに帰することができない事由によるものでない限り、債権者は、履行不能によって生じた損害について、債務不履行による損害の賠償を請求することができる。」ですが、正しい記述です。

 いわゆる、「原始的不能」の問題です。

 「第四百十二条の二」の「履行不能」には…、

 『債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない。』

 『2 契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは、“第四百十五条の規定”によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない。』

 …とあります。

 次に、“第四百十五条の規定”ですが、これは…、

 『債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。』

 『ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない

 …とあります。

 よって、「原始的不能」な契約であっても、債務者に帰責事由が「ある」なら、損害賠償ができると相なります。

 よって、選択肢は、「正」となります。

答え

 「1」は「正」です。

 「2」は「誤」です。

 「3」は「正」です。

 「4」は「正」です。

 本問は、「誤ったものはどれか?」ですので…

 正解:2

 …と相なります。

 >>> 次の問題へ。


参考リンク

 当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。

 当該年度の「権利関係」だけ、問題演習をしたい人は、「R2-12月 権利関係一覧リスト」を、ご利用ください。

 過年度の「判例」の問題は、「民法「判例」の過去問リスト」に、まとめています。

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