令和4年度改正 医薬品 漢方処方製剤

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

本ページでは、「医薬品」の「漢方処方製剤」の改正事項をまとめています。大きな改正はなく、字句の修正等がほとんどなので、優先順位は高くありません。時間のあるときに、旧版のテキストを直していってください。

医薬品 漢方処方製剤改正

解説

 登録販売者試験の手引きが令和4年4月に改正されました。

 「医薬品」の「漢方処方製剤」の改正は、本ページにまとめています。

 太文字部分が「加筆」のあったところで、訂正線が「削除」されたところです。

 試験的に重要な改正は、少しです。

 見ておくべき改正は…、

 大きく加筆された「桂枝加朮附湯、桂枝加苓朮附湯」、

 体力規定に変更のあった「当帰飲子」や「麻杏甘石湯、神秘湯」、

 キーワードが追加された「安中散」、

 「まれ重篤副作用」に追加のあった「防風通聖散」と「清上防風湯」くらいです。

 上記以外の改正は、字句の修正やちょっとした加筆修正です。時間に余裕のあるときに、ぼちぼち見ていけばいいでしょう。

 このページを「お気に入り」に入れておいて、少しずつチェックしていってください。

 なお、試験的に意味のない改正、たとえば、ルビ系統(鬱血→うっ血、寝汗→ねあせ)や、漢字表記の変更(乙字湯:大便が固い→大便が“かたい”)などは、メンドウなので割愛しています。

I 精神神経に作用する薬 漢方処方製剤 改正

 「I 精神神経に作用する薬」の漢方処方製剤で改正のあったのは以下の通りです。

 ちなみに、「かぜ」の漢方処方製剤には、改正がなかったです。

芍薬甘草湯

 「鎮痛」の「芍薬甘草湯」に改正があります。

 テキストの体力規定の記述を…、

 「体力に関わらず使用でき、」

 …と、修正してください。

【重要】桂枝加朮附湯、桂枝加苓朮附湯

 「鎮痛」の「桂枝加朮附湯」と「桂枝加苓朮附湯」に改正があります。

 テキストの記述を…、

 「いずれも体力虚弱で、汗が出、手足が冷えてこわばり、ときに尿量が少ないものの桂枝加朮附湯は体力虚弱で、汗が出、手足が冷えてこわばり、ときに尿量が少ないものの関節痛、神経痛に、」

 「桂枝加苓朮附湯は体力虚弱で、手足が冷えてこわばり、尿量が少なく、ときに動悸、めまい、筋肉のぴくつきがあるものの関節痛、神経痛に適すとされるが、」

 「どちらも動悸、のぼせ、ほてり等の副作用が現れやすい等の理由で、のぼせが強く赤ら顔で体力が充実している人には不向きとされる。」

 …と、修正してください。

 かつては、桂枝加朮附湯と桂枝加苓朮附湯が“いっしょくた”に説明されていましたが、改正によって、個々に異なる説明となりました。

薏苡仁湯、麻杏薏甘湯

 「鎮痛」の「薏苡仁湯」と「麻杏薏甘湯」に改正があります。

 テキストの記述を…、

 「薏苡仁湯は体力中等度なものの関節や筋肉のはれや痛みがあるものの関節痛、筋肉痛、神経痛に適すとされ、」

 「麻杏薏甘湯は体力中等度なものの、関節痛、神経痛、筋肉痛、いぼ、手足のあれ(手足の湿疹・皮膚炎)に適すとされる」

 …と、修正してください。

 試験的には、ほとんど影響ないかと思います。

抑肝散、抑肝散加陳皮半夏

 「鎮静」の「抑肝散」と「抑肝散加陳皮半夏」に、改正があります。

 体力規定から、「幅広く用いることができる。」が削除されました。

 そして、「小児疳症」に、「神経過敏」が括弧書きで追加されています。

 テキストの記述を…、

 「抑肝散は体力中等度をめやすとして、幅広く用いることができる。神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症(神経過敏)、歯ぎしり、更年期障害、血の道症に適すとされる。」

 「抑肝散加陳皮半夏は体力中等度をめやすとして、やや消化器が弱く、いものに幅広く用いることができる。神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症(神経過敏)、更年期障害、血の道症、歯ぎしりに適すとされる」

 …と、修正してください。

 試験的には、「幅広く用いることができる」を憶えなくてよくなったので、少し楽になりました。

 「神経過敏」の方は、試験には、あまり影響ないかと思います。

桂枝加竜骨牡蛎湯

 「鎮静」の「桂枝加竜骨牡蛎湯」に、改正があります。

 「神経過敏で」という文言の追加です。

 テキストの記述を…、

 「体力中等度以下で疲れやすく、神経過敏で、興奮しやすいものの神経質、不眠症、小児夜なき、夜尿症、眼精疲労、神経症に適すとされる。」

 …と、修正してください。

 試験的には、あまり影響ないかと思います。

II 呼吸器官に作用する薬 漢方処方製剤 改正

 「II 呼吸器官に作用する薬」の漢方処方製剤で改正のあったのは以下の通りです。

甘草湯

 「鎮咳去痰」の「甘草湯」に、改正があります。

 以前の「広く応用でき」が「使用でき」となった次第です。

 また、「咽喉痛」の効能も追加されています。

 テキストの記述を…、

 「甘草湯は、構成生薬がカンゾウのみからなる漢方処方製剤で、体力に関わらず使用広く応用でき、激しい咳、咽喉痛、口内炎、しわがれ声に、外用では痔・脱肛の痛みに用いられる。」

 …と、修正してください。

 「甘草湯」が要注意論点なので、改正も、チェックしておきましょう。

半夏厚朴湯

 「鎮咳去痰」の「半夏厚朴湯」に、改正があります。

 「幅広く応用できる。」の文言が削除された次第です。

 テキストの記述を…、

 「体力中等度をめやすとして、幅広く応用できる。気分がふさいで、(略)。」

 …と、消すだけです。

柴朴湯

 「鎮咳去痰」の「柴朴湯」に、改正があります。

 効能に加筆があり、「虚弱体質」にも効くようになりました。

 そして、「虚弱体質改善」ウンヌンの記述が削除されました。

 テキストの記述を…、

 「別名を小柴胡合半夏厚朴湯ともいう。体力中等度で、気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、かぜをひきやすく、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴うものの小児喘息、気管支喘息、気管支炎、咳、不安神経症、虚弱体質に適すとされるが、むくみの症状のある人等には不向きとされる。」

 「また、上記症状における虚弱体質改善にも用いられる

 …と、修正してください。

 試験的には、あまり大きな影響はないと思います。

麻杏甘石湯、神秘湯

 「鎮咳去痰」の「麻杏甘石湯」と「神秘湯」に、改正があります。

 これまでは、両方の漢方処方製剤とも、体力規定が「体力中等度またはそれ以上」だったのですが、「またはそれ」が削除され、「体力中等度以上」となりました。

 テキストの記述を…、

 「麻杏甘石湯は体力中等度あるいはそれ以上で、」

 「神秘湯は体力中等度あるいはそれ以上で、」

 …と、修正してください。

 チェックしておきましょう。

桔梗湯

 「喉の痛み」の「桔梗湯」に、改正があります。

 体力規定から「広く応用」が削除され、「体力に関わらず使用でき」となった次第です。

 テキストの記述を…、

 「桔梗湯は、体力に関わらず使用広く応用でき、る。

 …と、修正してください。

 チェックしておきましょう。

駆風解毒散、駆風解毒湯

 「喉の痛み」の「駆風解毒散」と「駆風解毒湯」に、改正があります。

 言うなれば、「使用でき」が追加された次第です。

 テキストの記述を…、

 「駆風解毒散及び駆風解毒湯は体力に関わらず使用でき、」

 …と、修正してください。

 まあ、チェックしておきましょう。

響声破笛丸

 「喉の痛み」の「響声破笛丸」に、改正があります。

 言うなれば、体力規定から「広く応用」が削除され、「使用」が追加された次第です。

 テキストの記述を…、

 「体力に関わらず使用広く応用できる。」

 …と、修正してください。

 まあ、チェックしておきましょう。

III 胃腸に作用する薬 漢方処方製剤 改正

 「III 胃腸に作用する薬」の漢方処方製剤で改正のあったのは以下の通りです。

安中散

 「胃の不調」の「安中散」に、改正があります。

 「筋肉が弛緩する傾向にあり」が削除され、「腹部は力がなくて」と「嘔吐」と「嘔吐」が追加された次第です。

 テキストの記述を…、

 「体力中等度以下で、腹部は力がなくて筋肉が弛緩する傾向にあり、胃痛又は腹痛があって、ときに胸やけや、げっぷ、胃もたれ、食欲不振、吐きけ、嘔吐などを伴うものの神経性胃炎、慢性胃炎、胃腸虚弱に適するとされる。」

 …と、修正してください。

 「腹部は力がなくて」は、選択肢判別のキーワードとなるので、チェックしておきましょう。

平胃散

 「胃の不調」の「平胃散」に、改正があります。

 「人における」を「ものの」に修正するだけです。

 よって、記述は、「下痢の傾向のあるものの食べすぎ」云々となります。

 ぶっちゃけ、試験的には、意味がないので、無視してもいでしょう。直さなくても、意味は通じますし…。

桂枝加芍薬湯

 「腸の不調」の「桂枝加芍薬湯」に、改正があります。

 当該改正も、先と同じようなものです。

 「人」を「もの」に修正するだけです。

 んなもんで、記述は、「腹部膨満感のあるもののしぶり腹」云々となります。

 気になる人だけ、直しましょう。

大黄甘草湯

 「腸の不調」の「大黄甘草湯」に、改正があります。

 体力規定が「体力に関わらず使用できる」となり、「広く応用され」が削除された次第です。

 テキストの記述を…、

 「体力に関わらず使用できる。広く応用され、

 …と、修正してください。

 チェックしておきましょう。

Ⅳ 心臓・血液に作用する薬 漢方処方製剤 改正

 「Ⅳ 心臓・血液に作用する薬」の漢方処方製剤で改正のあったのは、「強心薬」の「苓桂朮甘湯」です。

 「尿量増加作用」を、「利尿作用」に修正してください。

 当該「尿量増加→利尿」の改正は、漢方処方製剤のみならず、生薬等でも、そこそこ見るので、チェックしておきましょう。

Ⅴ 排泄系の薬 漢方処方製剤 改正

 「Ⅴ 排泄系の薬」の漢方処方製剤で改正のあったのは、以下の通りです。

芎帰膠艾湯

 「痔の薬」の「芎帰膠艾湯」に改正があります。

 効能に、「月経過多」が加わっています。

 テキストの記述を…、

 「体力中等度以下で冷え症で、出血傾向があり胃腸障害のないものの痔出血、貧血、月経異常・月経過多・不正出血、皮下出血に適すとされ…(略)」

 …と、修正してください。

 効能を全部覚えるのは酷ですが、念のため、チェックしておきましょう。

八味地黄丸

 「泌尿器用薬」の「八味地黄丸」に改正があります。

 テキストの記述を…、

 「体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿でときに口渇があるものの」

 「下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、痒み、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れに適すとされ…(略)」

 …と、修正してください。

 要は、「残尿感」が追加され、「尿漏れ」が「軽い尿漏れ」になったという塩梅です。

 ぜんぶを憶えることは厳しいですが、チェックしておきましょう。

猪苓湯

 「泌尿器用薬」の「猪苓湯」に改正があります。

 体力規定を、「体力に関わらず」から、「体力に関わらず使用でき」に、修正してください。

 まあ、チェックしておきましょう。

VI 婦人薬 漢方処方製剤 改正

 「VI 婦人薬」の漢方処方製剤で改正のあったのは、以下の通りです。

温経湯

 「温経湯」に改正があります。

 「手あれ」の表記のところに、括弧掛けをして、「手あれ(手の湿疹・皮膚炎)」といった感じに、修正してください。

 厳密に押える必要はありませんが、チェックしておきましょう。

当帰芍薬散

 「当帰芍薬散」に改正があります。

 効能の「低血圧」が削除されています。

 「…しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴り、低血圧に適すとされる…」

 …といった感じに、修正してください。

 チェックだけはしておきましょう。

VII 内服アレルギー用薬 漢方処方製剤 改正

 「VII 内服アレルギー用薬」の漢方処方製剤で改正のあったのは、以下の通りです。

茵蔯蒿湯

 「皮膚」の「茵蔯蒿湯」に改正があります。

 効能に、「湿疹・皮膚炎」が追加されています。

 テキストの記述を…、

 「蕁麻疹、口内炎、湿疹・皮膚炎、皮膚の痒みに適すとされる」

 …といった感じに、修正してください。

 チェックだけはしておきましょう。

【重要】当帰飲子

 「皮膚」の「当帰飲子」に改正があります。

 体力規定が「体力中等度」から、「体力中等度以下」に修正されています。

 体力規定は、選択肢判別のキーとなるので、押えておきましょう。

葛根湯加川芎辛夷、荊芥連翹湯、辛夷清肺湯

 「鼻」の「葛根湯加川芎辛夷」と「荊芥連翹湯」と「辛夷清肺湯」に改正があります。

 効能の「蓄膿症」に括弧書きが加わり、「蓄膿症(副鼻腔炎)」となっています。

 それぞれの説明文の中から、「蓄膿症」を探してきて、「副鼻腔炎」と加筆しましょう。

 (試験に出るかもだなー)という感じです。チェックしておきましょう。

XIV 漢方処方製剤・生薬製剤 漢方処方製剤 改正

 「XIV 漢方処方製剤・生薬製剤」の漢方処方製剤で改正のあったのは、以下の通りです。

防已黄耆湯

 「防已黄耆湯」に改正があります。

 効能に、加筆修正があります。

 テキストの記述を…、

 「肥満に伴う関節の腫れや痛み、むくみ、多汗症、肥満(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)に適すとされる。」

 …といった感じに、修正してください。

 チェックだけはしておきましょう。

【重要】防風通聖散

 「防風通聖散」に改正があります。

 効能に、括弧書きの加筆があります。

 効能のうち、「蓄膿症」を「蓄膿症(副鼻腔炎)」、「ふきでもの」を「ふきでもの(にきび)」と修正してください。

 そして、「まれ重篤副作用」に、「腸間膜静脈硬化症」追加があります。

 この改正で、「防風通聖散」は、まれ重篤副作用が、「肝機能障害、偽アルドステロン症、間質性肺炎、腸間膜静脈硬化症」とてんこ盛りになったので、出題される可能性がかなり高くなっています。

 以前から、当該防風通聖散は、頻出だったので、シッカリと押えておきましょう。

 参考:まれ重篤 腸間膜静脈硬化症

【重要】清上防風湯

 「清上防風湯」に改正があります。

 「まれ重篤副作用」に、「腸間膜静脈硬化症」が追加されています。

 この改正で、「清上防風湯」は、まれ重篤副作用が、「肝機能障害、偽アルドステロン症、腸間膜静脈硬化症」となりました。

 今回の改正を機に出題される可能性が高くなったので、優先して押えておきましょう。

 参考:まれ重篤 腸間膜静脈硬化症

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