3問‐R2-10月の過去問と解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 第3問は、「判決文」を問う問題です。国語の問題が2つ、条文知識を問う選択肢が2つあります。クセを押えて解答してください。

3問‐判決文

 

 (クリックして拡大。)

難易度・優先順位ひとこと

 本問のレベルは「ふつう」です。

 本問の答えは、「こちら(記号のみ)」です。

判決文

 『法律が債務の不履行による契約の解除を認める趣意は、契約の要素をなす債務の履行がないために、該契約をなした目的を達することができない場合を救済するためであり、』

 『当事者が契約をなした主たる目的の達成に必須的でない附随的義務の履行を怠ったに過ぎないような場合には、特段の事情の存しない限り、相手方は当該契約を解除することができないものと解するのが相当である。』

選択肢1

 選択肢1の「土地の売買契約において、売主が負担した当該土地の税金相当額を買主が償還する付随的義務が定められ、買主が売買代金を支払っただけで税金相当額を償還しなかった場合、特段の事情がない限り、売主は当該売買契約の解除をすることができない。」ですが、正しい記述です。

 選択肢の内容は、まさに、判決文の「附随的義務の履行を怠ったに過ぎないような場合」に当たります。

 よって、契約解除できないです。

 選択肢は、「正」となります。

選択肢2

 選択肢2の「債務者が債務を履行しない場合であっても、債務不履行について債務者の責めに帰すべき事由がないときは付随的義務の不履行となり、特段の事情がない限り、債権者は契約の解除をすることができない。」ですが、誤った記述です。

 先の判決文には…、

 『債務の不履行による契約の解除を認める趣意は、(略)、契約をなした目的を達することができない場合を救済するため

 …とあります。

 よって、債務者の帰責事由があろうがなかろうが、「契約をなした目的を達することができない」なら、債権者は、契約を解除できます。

 選択肢のように、瑕疵が付随的な違反であれば、契約解除できない、といったわけではありません。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

選択肢3

 選択肢3の「債務不履行に対して債権者が相当の期間を定めて履行を催告してその期間内に履行がなされない場合であっても、催告期間が経過した時における債務不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、債権者は契約の解除をすることができない。」ですが、正しい記述です。

 条文知識を問うています。

 「第五百四十一条」の「催告による解除」には…、

 『当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。』

 『ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない

 …とあります。

 まあ、ちょっとしたミスなりが履行されないからといって、契約全部をご破算にするのは、社会的損失が大きいですね。

 よって、選択肢は、「正」となります。

選択肢4

 選択肢4の「債務者が債務を履行しない場合であって、債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、債権者は、相当の期間を定めてその履行を催告することなく、直ちに契約の解除をすることができる。」ですが、正しい記述です。

 いわゆる「履行不能」です。

 「第五百四十二条」の「催告によらない解除」の「二」には…、

 『二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

 …とあります。

 相手方が全くやる気がないのですから、催告する意味もないので、直ちにご破算と相なります。

 よって、選択肢は、「正」となります。

答え

 「1」は「正」です。

 「2」は「誤」です。

 「3」は「正」です。

 「4」は「正」です。

 本問は、「誤ったものはどれか?」ですので…

 正解:2

 …と相なります。

 >>> 次の問題へ。


参考リンク

 当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。

 類問は、「民法「判決文」の過去問リスト」を、チェックしてください。

独学向け教材

 宅建の独学向け教材には、「2系統」あります。

 はじめて法律を学ぶ方は「宅建(初学者向け)」を、参考にしてください。

 んで、法学部卒等で、ある程度の素養のある人は、「宅建(経験者向け)」を、参考にしてください。

PDF過去問に一言

 

 PDFの閲覧は、スマホだと画面が小さくて見難く、PCだとキーボードやマウス、配線等が邪魔で、かなりイライラします。

 PDF過去問の演習には、「タブレット」が最も勝手がよくて、ストレスも少ないです。

 手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。

 他のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安く、もちろん、PDF過去問の閲覧も可能で、費用対効果が秀逸です。

 受験が終わっても、他の試験で使え、サブ機としても使えます。受験を機に「Fire HD」を検討するのは、損はないです。

宅建のこまごましたもの

 試験勉強については、「宅地建物取引士(宅建)の独学」を、参考にしてください。

 「宅建」という資格を、より知りたい方は、「資格ガイド Sランク資格:宅地建物取引士」を、一読願います。

 ブログに試験勉強に関する記事を投稿しています。興味のある方は、「宅建タグの投稿記事」を、お目汚しください。

みんなとシェアする