4問‐R2-10月の過去問と解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 第4問は、「賃貸借契約」を問う問題です。改正事項なので、今後も出題されると思います。キッチリ復習しておきましょう。

4問‐賃貸借契約

 

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難易度・優先順位ひとこと

 本問のレベルは「ふつう」です。

 本問の答えは、「こちら(記号のみ)」です。

選択肢1

 選択肢1の「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合、通常の使用及び収益によって生じた損耗も含めてその損傷を原状に復する義務を負う。」ですが、誤った記述です。

 「第六百二十一条」の「賃借人の原状回復義務」には…、

 『賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を“除く”。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う』

 …とあります。

 条文には、「通常の使用及び収益によって生じた損耗」を「除く」とあるので、賃借人は、これを回復する義務はありません。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

選択肢2

 選択肢2の「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合、賃借人の帰責事由の有無にかかわらず、その損傷を原状に復する義務を負う。」ですが、誤った記述です。

 先の「第六百二十一条」の「賃借人の原状回復義務」の「但し書き」には…、

 『ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

 …とあります。

 んなもんで、賃借人に帰責事由がないなら、回復義務を免れます。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

選択肢3

 選択肢3の「賃借人から敷金の返還請求を受けた賃貸人は、賃貸物の返還を受けるまでは、これを拒むことができる。」ですが、正しい記述です。

 「第六百二十二条の二」には…、

 『賃貸人は、敷金(略)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない』

 『一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき

 …とあります。

 ですから、賃貸人は、賃貸物が返還されるまでは、敷金を返さなくてよいことになります。

 敷金の返還と、賃貸物の返還とは、「同時履行の抗弁権」が成立していないので、チェックしておきましょう。

 よって、選択肢は、「正」となります。

選択肢4

 選択肢4の「賃借人は、未払賃料債務がある場合、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てるよう請求することができる。」ですが、誤った記述です。

 「明文化」の改定問題です。

 「第六百二十二条の二」の「敷金」の第二項には…、

 『2 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。』

 『この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。

 …とあります。

 賃貸人は、未払い賃料に敷金を充てることができますが、賃借人は、それを請求できません。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

 「敷金」は、宅建において実に縁がある論点なので、確実に、押えておきましょう。

答え

 「1」は「誤」です。

 「2」は「誤」です。

 「3」は「正」です。

 「4」は「誤」です。

 本問は、「正しいものはどれか?」ですので…

 正解:3

 …と相なります。

 >>> 次の問題へ。


参考リンク

 当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。

 当該年度の「権利関係」だけ、問題演習をしたい人は、「R2-10月 権利関係一覧リスト」を、ご利用ください。

 過年度の「判例」の問題は、「民法「判例」の過去問リスト」に、まとめています。

独学向け教材

 宅建の独学向け教材には、「2系統」あります。

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