第5問は、「委任」が問われています。小難しい選択肢がありますが、まあ、基本知識と常識とで、判断できるかと思います。
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本問のレベルは「ふつう」です。
本問の答えは、「こちら(記号のみ)」です。
「委任」の問題です。
本問では、報酬を支払う特約があるので、読み落とさないでください。
選択肢1の「Aの責めに帰すべき事由によって履行の途中で委任が終了した場合、Bは報酬全額をAに対して請求することができるが、自己の債務を免れたことによって得た利益をAに償還しなければならない。」ですが、正しい記述です。
「第六百四十八条」の「受任者の報酬」の第3項には…、
『3 受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。』
『一 委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。』
…とあります。
「委任者の責めに帰することができない事由」の場合は、「履行割合に応じた報酬」しか請求できないです。
設問では、委任者Aに帰責事由が“ある”ので、受託者Bは、一部ではなく、全額を請求できます。
次に、後半の「自己の債務を免れた」ウンヌンですが、これは、「危険負担」の問題です。
「第五百三十六条」の「債務者の危険負担等」には…、
『当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。』
『2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。』
『この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない』
…とあります。
設問では、委託者(債権者)に帰責事由があるので、債務者の「自己の債務を免れたことによって利益」を償還する義務が生じます。
よって、選択肢は、「正」となります。
まあ、「債務者の危険負担等」は、難しいですが、常識的に判断できるかと思います。
選択肢2の「Bは、契約の本旨に従い、自己の財産に対するのと同一の注意をもって委任事務を処理しなければならない。」ですが、誤った記述です。
受任者には、「善管注意義務」が課せられています。
よって、選択肢は、「誤」となります。
なお、当該「善管注意義務」は、無償の委任契約でもそうなので、注意してください。
選択肢3の「Bの責めに帰すべき事由によって履行の途中で委任が終了した場合、BはAに対して報酬を請求することができない。」ですが、誤った記述です。
「第六百四十八条の二」の「成果等に対する報酬」の第二項には…、
『2 第六百三十四条の規定は、委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合について準用する』
…とあります。
ですから、特約が「委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した」ものだと、その進捗や、委任者が受けた利益に応じて、報酬を請求できる余地があります。
よって、選択肢は、「誤」となります。
なお、「第六百三十四条」ですが…、
『次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。』
『この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。』
『一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。』
『二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。』
…です。
選択肢4の「Bが死亡した場合、Bの相続人は、急迫の事情の有無にかかわらず、受任者の地位を承継して委任事務を処理しなければならない。」ですが、誤った記述です。
「第六百五十四条」の「委任の終了後の処分」には…、
『委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない』
…とあります。
「急迫の事情」があるときに、相続人等は、委任事務の処理をする必要があります。
よって、選択肢は、「誤」となります。
「1」は「正」です。
「2」は「誤」です。
「3」は「誤」です。
「4」は「誤」です。
本問は、「正しいものはどれか?」ですので…
正解:1
…と相なります。
当該年度のぜんぶの問題(1~50)のリンクは、「こちら」です。
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