アスピリン‐登録販売者

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 アスピリンは、「精神神経に作用する薬」の「解熱鎮痛薬」の「解熱鎮痛成分」として配合されています。最低限の試験ポイントをまとめたり、頻出事項と出題の傾向を「○×」形式の過去問と絡めて説述したり。通勤・通学時のおさらい用にどうぞ。

傾向と優先順位

 ご存じのように、「アスピリン」は、「解熱鎮痛薬」の「解熱鎮痛成分」として登場します。

 たとえば、「バイエルアスピリン」や「バファリン」などが、アスピリンを含んだ医薬品です。

 なお、「アスピリン」の別名は、「アセチルサリチル酸」です。試験には出ませんが、「アスピリン」は、独製薬メーカー:バイエル社の商標名です。が、日本では、当該「アスピリン」が正式名称となっています。しかし、薬の表記には、先の「バファリン」のように、「アセチルサリチル酸」が使われることがあります。ライバル社の商標を使う義理はないからでしょう。

 ところで、「解熱鎮痛薬」は、薬局やドラッグストア等での主力商品であるため、登録販売者と「縁の深い医薬品」です。当該実務事情を反映して、本試験でも、突出した出題率があり、ほぼ毎年、選択肢に顔を出しています。

 「適正使用」の「使用(服用)しない」の論点があります。

 優先順位は「とても高い」です。

 他のマイナー成分を押える前に、アスピリンと他の「解熱鎮痛成分」ご一行を勉強してください。

 なお、アスピリンは、「風邪薬」の成分でもあります。

 とはいえ、試験的には、区別する必要はあまりなく、論点の大半は、被っています。復習がてらに勉強するといった進め方で結構です。

過去問○×問題

 アスピリンは…、

 ①アスピリンは、体内でのプロスタグランジンの産生を促進する成分である。

 ②アスピリンは、15歳未満の小児には、いかなる場合にも、一般用医薬品として使用してはならない。

 ③アスピリンは、ピリン系の解熱鎮痛成分で、他の解熱鎮痛成分に比べ胃腸障害を起こしやすく、ライ症候群の発生も示唆されている。

 …といった感じで出題されます。

 細かいところまで問われるので、テキストを満遍なく読んでおかないと、取れない問題となっています。

 ①の正誤はこちらです。

 ②の正誤はこちらです。

 ③の正誤はこちらです。

例題解説

 先の○×問題の解説です。

 ①ですが、基本中の基本問題で、よくある形式のひっかけ問題でもあります。

 選択肢は「逆」です。アスピリン等の解熱鎮痛成分は、「プロスタグランジンの産生を抑制する」ことで、発熱や痛み、腫れを鎮めます。

 「促進」ではありません。

 よって、①は、「×」となります。

②は頻出!

 次に、②の「アスピリンは、15歳未満の小児には、いかなる場合にも、一般用医薬品として使用してはならない」ですが、キーワードは、「一般用医薬品」のところです。

 アスピリンは、テキストのとおり、一般用医薬品として、15歳未満の小児に使用してはいけないことになっています。

 ライ症候群(急性脳症)の発症との関連性が示唆されているからです。

 「いかなる場合」という断定があるので、少し迷うかもしれませんが、「一般用医薬品として」という限定があるので、選択肢の通りとなります。

 よって、②は、「○」となります。

 ところで、アスピリンは、「医療用医薬品」として、血栓予防薬の成分としても用いられます。

 んなもんで、15歳未満の小児には、「医療用医薬品」として、使用される場合はある、といった塩梅です。

③は応用+ひっかけ

 最後の③「アスピリンは、ピリン系の解熱鎮痛成分で、他の解熱鎮痛成分に比べ胃腸障害を起こしやすく、ライ症候群の発生も示唆されている」ですが、応用問題とひっかけが混在した問題です。

 最初に答えをいうと、「アスピリンは、非ピリン系の解熱鎮痛成分」です。よって、「×」です。

 この種の問題は、ついウッカリ間違えやすいので、本当に注意してください。

 問題文の前半に間違ったところがあるため、見落としやすいのです。

 たとえば、下のように出されたら、間違えないはずです。

 「アスピリンは、他の解熱鎮痛成分に比べ胃腸障害を起こしやすく、ライ症候群の発生も示唆されている、ピリン系の解熱鎮痛成分である」

 このような問題なら、「ピリン系の解熱鎮痛成分」のところに目が行くので、間違えないのです。

 先述したように、問題文の前半にあるため、見落とすといった次第です。この種の問題は、登録販売者でよく出るので、慣れておきましょう。

試験の頻出ポイント

 アスピリンの頻出事項を、ざっくり見ていきます。

 先の○×問題でも出たように、アスピリンは、「15歳未満の小児には、いかなる場合にも、一般用医薬品として使用してはならない」です。

 「ライ症候群」と繋げて憶えましょう。

 他の解熱鎮痛成分に比べて、「胃腸障害が起こしやすい」です。

 「血液を凝固しにくくさせる作用」があります。

 医療用医薬品で、「血栓予防薬」として用いられています。

 母体への影響(出血増加等)を考慮して、「出産予定日12週以内」の使用を避けます。

 当該「使用しない(服用しない)」の注意喚起ですが、もう1つあります。

 なお、アス“ピリン”と言いながら、「非ピリン系」です。

 「ピリン系」なのは、“アンチ”ながら「イソプロピル“アンチ”ピリン」です。字面だけ見ると、ボケたおしの漫才みたいです。

 最後に、「アスピリン喘息」は、アスピリン特有の副作用ではありません。他の解熱鎮痛成分でも生じる可能性があります。

 このあたりを押さえておけば、試験では、だいたいの選択肢を選別できるはずです。

混乱ポイント‐要整理

 解熱鎮痛成分の小児の論点は、混乱しやすいので、きっちり整理して憶えてください。

 一般用医薬品として、15歳未満の小児に使用してはいけないのは、「アスピリン(アスピリンナトリウムを含む)」と「サザピリン」です。

 対して、「水疱(水疱瘡)または、インフルエンザ」にかかっている15歳未満の小児に使用する際は、事前に医師などに相談するのが、「サリチルアミド」と「エテンザミド」です。

 注意の内容が微妙に異なっているので、しっかり整理して憶えましょう。

注記からも出題が

 解熱鎮痛成分ですが、キツイ成分のため、実によく出る成分となっています。

 よって、あらゆる論点はチェックしておくべきなのですが、「注記」からの出題が、「香川県 R3 第65問」にありました。

 注記の…、

 「肝機能障害を生じることがある主な成分:アスピリン、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフェン、イブプロフェン、葛根湯、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、小青竜湯、麦門冬湯」

 …のところが正面から問われており、先の問題では、「アセトアミノフェン ― 肝機能障害」の正誤が問われました。「〇」です。

 さて、漢方処方製剤では、「肝機能障害」が主たる論点なので解けるにしても、カタカナ成分の「肝機能障害」は、盲点となりがちです。

 今後の出題に備えて、「アスピリンには、肝機能障害の副作用もある」と、押えておきましょう。

 先の注記部分の「アスピリン、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフェン、イブプロフェン」のところは、頭文字を取って、「アアアイ…肝機能障害」くらいに頭にねじ込みましょう。

「適正使用」対策

 先のポイントと被るものもありますが、「適正使用」用のまとめです。

 「アスピリン」ですが、「使用(服用)しない」の論点が3つあります。

ぜんそく

 まず、「本剤又は他のかぜ薬、解熱鎮痛薬を使用(服用)してぜんそくを起こしたことがある人」は、「使用しない」です。

 「理由」は、「アスピリン喘息を誘発するおそれがあるため。」です。

 頻出論点なので、押えておきましょう。

 参考:適正使用対策‐アレルギーの既往歴

15歳未満の小児

 次に、「15歳未満の小児」には、「使用しない」です。

 「理由」は、「外国において、ライ症候群の発症との関連性が示唆されているため。」です。

 これも、実によく出ます。 参考:適正使用対策‐小児

【出題実績あり】出産予定日12週以内の妊婦

 次に、「出産予定日12週以内の妊婦」には、「使用しない」です。

 「12週」という数字の限定がされている論点です。

 出題者側からすると、実に、出しやすいので、これも、ゼッタイに押さえておくべきです。

 参考:適正使用対策‐女性系

 なお、「適正使用」の問題で、同じ解熱鎮痛薬の「イブプロフェン」の出題なのですが、当該禁忌の「出産時の母体への影響(妊娠期間の延長、子宮収縮の抑制、分娩時出血の増加)」が「福岡県 R4 第58問」で、正面から問われています。

 「イブプロフェン」で出たなら、「アスピリン」で問われても、まったく支障ありません。

 過去問に出たことは、甘く見てはいけないので、チェックしておきましょう。

相談すること

 「アスピリン」ですが、メジャー成分なので、「相談すること」まで問われる可能性が「大」です。

 数が結構あるので、できるところ・憶えられるところだけを押えておきましょう。

 挙げていくと…、

 「妊婦又は妊娠していると思われる人・・・妊娠末期のラットに投与した実験において、胎児に弱い動脈管の収縮がみられたとの報告があるため。なお、アスピリンについては、動物実験(ラット)で催奇形性が現れたとの報告があるため。

 「授乳中の人・・・乳汁中に移行する可能性がある

 「胃・十二指腸潰瘍・・・胃・十二指腸潰瘍を悪化させるおそれがあるため

 「肝臓病・・・肝機能障害を悪化させるおそれがあるため

 「心臓病・・・むくみ(浮腫)、循環体液量の増加が起こり、心臓の仕事量が増加し、心臓病を悪化させるおそれがあるため

 「腎臓病・・・むくみ(浮腫)、循環体液量の増加が起こり、腎臓病を悪化させるおそれがあるため。

 …となっています。

 このあたりは、「医薬品」でも出るところなので、ここぐらいは、押えておきましょう。

 参考:相談すること‐妊婦等

 参考:相談すること‐基礎疾患1

 参考:相談すること‐基礎疾患2

コツ的なこと

 登録販売者の勉強方法等は、「登録販売者の独学」に述べています。独学の概要・注意事項などはこちらで。

 次いで、医薬品の成分の暗記が苦手な人へのアドバイスです。

 実地が一番頭に入ります。成分・効能が頭に入らない方は、机の前の勉強を止めて、ドラッグストア等で、実際の医薬品を手にしてみてください。

 先に挙げた、「バイエルアスピリン」や「バファリン」などを見て、(あー、○○成分、入ってる入ってる)などと思うだけでも、記憶に残ります。

 テキストの字面だけでは、記憶の残りは悪いので、実物を目で見て触って確かめて、憶えていきましょう。


他のページ

 「解熱鎮痛薬」の他の「解熱鎮痛成分」へのリンクです。

 アスピリン

 サザピリン

 サリチルアミド

 エテンザミド

 アセトアミノフェン

 イブプロフェン

 イソプロピルアンチピリン

独学向け教材

 使用教材の詳細は「教材レビュー」に述べていますが、読むのが面倒な人は…、

 テキストは、初心者向けでオマケ付きの「 らくらく完全攻略!登録販売者試験合格テキスト&問題集 第4版 」で…、

 過去問は、掲載問題数が一番多い「 超重要!登録販売者過去問題集 '23年版 (2023年版) 」を使えば支障ありません。

こまごましたもの

 登録販売者のこまごましたことは、ブログに投稿しています。

 興味のある方は、「登録販売者の投稿記事 」の「登録販売者:語呂合わせ」や「登録販売者:まとめ」、「登録販売者:憶え方」などをお目汚しください。

 そのほか、「登録販売者:医薬品」や「登録販売者:生薬」、「登録販売者:漢方処方製剤」で、ヒマな時間を潰してください。

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