アスピリンは、「精神神経に作用する薬」の「解熱鎮痛薬」の「解熱鎮痛成分」として配合されています。最低限の試験ポイントをまとめたり、頻出事項と出題の傾向を「○×」形式の過去問と絡めて説述したり。通勤・通学時のおさらい用にどうぞ。
復習用に、手引きを抜粋すると…、
「サリチル酸系解熱鎮痛成分」
「アスピリン(別名アセチルサリチル酸)、サザピリン、サリチル酸ナトリウム、エテンザミド、サリチルアミド等を総称してサリチル酸系解熱鎮痛成分という。」
「アスピリンは、他の解熱鎮痛成分に比較して胃腸障害を起こしやすく、アスピリンアルミニウム等として胃粘膜への悪影響の軽減を図っている製品もある。」
「サリチル酸系解熱鎮痛成分において特に留意されるべき点は、ライ症候群(※1)の発生が示唆されていることである。」
「アスピリン(アスピリンアルミニウムを含む。)、サザピリン及びサリチル酸ナトリウムは、15歳未満の小児に対しては、いかなる場合も一般用医薬品として使用してはならない。」
「アスピリン(アスピリンアルミニウムを含む。)には血液を凝固しにくくさせる作用もあるため、」
「胎児や出産時の母体への影響(※2)を考慮して、出産予定日12週間以内の使用を避ける。」
「なお、医療用医薬品のアスピリンは、血栓ができやすい人に対する血栓予防薬の成分としても用いられている。」
「既にアスピリン製剤が処方されている場合は、一般用医薬品の解熱鎮痛薬を自己判断で使用することは避け、処方した医師又は調剤を行った薬剤師に相談するなどの対応が必要である。」
「アスピリン(アスピリンアルミニウムを含む。)は、まれに重篤な副作用として肝機能障害を生じることがある。」
…と、相なります。
※1のところに、「注記」があります。挙げると…、
「主として小児が水痘(水疱瘡)やインフルエンザ等のウイルス性疾患に罹っているときに、激しい嘔吐や意識障害、痙攣等の急性脳症の症状を呈する症候群で、」
「その発生はまれであるが死亡率が高く、生存の場合も脳に重い障害を残す等、予後は不良である。」
…となっています。
ライ症候群について、突っ込んだ出題はないと思いますが、「ライ症候群」の語句は、チェックしておきましょう。
※2のところに、「注記」があります。挙げると…、
「妊娠期間の延長、子宮収縮の抑制、分娩時出血の増加」
…となっています。
「2)代表的な配合成分等、主な副作用」の「(a) 解熱鎮痛成分」のところに、当該アスピリンが登場します。挙げると…、
「化学的に合成された解熱鎮痛成分に共通して、まれに重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)、皮膚粘膜眼症候群や中毒性表皮壊死融解症、喘息を生じることがある。」
「喘息については「アスピリン喘息」としてよく知られているが、これはアスピリン特有の副作用ではなく、他の解熱鎮痛成分でも生じる可能性がある。」
「このほか、胎児への影響(※)を考慮して、妊婦又は妊娠していると思われる女性に関して、使用上の注意「相談すること」の項で注意喚起がなされている。」
…となっています。
「胎児への影響(※)」のところに、「注記」があります。
「アスピリン、サザピリン、サリチルアミド、イブプロフェン、イソプロピルアンチピリン等を、妊娠末期のラットに投与した実験において、胎児に弱い動脈管の収縮が見られたとの報告がある。」
「なお、アスピリンについては、動物実験(ラット)で催奇形性が現れたとの報告がある。」
「また、イソプロピルアンチピリンについては、化学構造が類似した他のピリン系解熱鎮痛成分において、動物実験(マウス)で催奇形性が報告されている。」
…となっています。
禁忌は、どんなものでも出るようになっています。
当該アスピリンの「妊婦又は妊娠していると思われる女性‐相談すること」の「胎児に弱い動脈管の収縮が見られた」と「催奇形性」は、チェックしておきましょう。
「イソプロピルアンチピリン」のところの「注記」に、当該アスピリンが登場します。
手引きの記述を挙げると…、
「④ イソプロピルアンチピリン」
「解熱及び鎮痛の作用は比較的強いが、抗炎症作用は弱いため、他の解熱鎮痛成分と組み合わせて配合される。」
「ピリン系(※)と呼ばれる解熱鎮痛成分である。」
…となっています。
んで、(※)の「注記」が…、
「これに対して他の解熱鎮痛成分を「非ピリン系」と呼ぶことがある。」
「アスピリンやサザピリンは、成分名が「~ピリン」であっても非ピリン系の解熱鎮痛成分であるが、一般の生活者では誤ってピリン系として認識していることも多い。」
…となっています。
「非ピリン系またはピリン系の解熱鎮痛成分」を当てるのは、ド定番問題なので、ガチ暗記してください。で押えておきましょう。
参考:群馬県 R5 第61問
ご存じのように、「アスピリン」は、「解熱鎮痛薬」の「解熱鎮痛成分」として登場します。
たとえば、「バイエルアスピリン」や「バファリン」などが、アスピリンを含んだ医薬品です。
なお、「アスピリン」の別名は、「アセチルサリチル酸」です。
以下は、試験には出ませんが、補足的に。
「アスピリン」は、独製薬メーカー:バイエル社の商標名です。しかし、日本では、当該「アスピリン」が正式名称となっています。
とはいえ、薬の表記には、先の「バファリン」のように、「アセチルサリチル酸」が使われることがあります。ライバル社の商標を使う義理はないからでしょう。
さて、当該アスピリンは、「医薬品」において、有数のド頻出成分です。
「香川県 R3 第67問」や「大阪府 H29 第24問」といった出題例があります。
しばしば、「新潟県 R4 第64問」や「愛知県 R3 第22問」のように、当該アスピリンが単独で問われることもあります。
アスピリンは、禁忌あり、副作用あり、使用上の注意ありと、問われる論点がてんこ盛りです。
そのすべてが出るので、テキストは、何度も精読しておきましょう。同時に、重要なキーワードは、すべて押えておきましょう。
「適正使用」の「使用(服用)しない」の論点があります。
優先順位は、「とてもとても高い」です。
アスピリンは…、
① アスピリンには血液を凝固させる作用もある。
② アスピリンは、15歳未満の小児には、いかなる場合にも、一般用医薬品として使用してはならない。
③ アスピリンは、ピリン系の解熱鎮痛成分で、他の解熱鎮痛成分に比べ胃腸障害を起こしやすく、ライ症候群の発生も示唆されている。
…といった感じで出題されます。
先の○×問題の解説です。
①の「アスピリンには血液を凝固させる作用もある。」ですが、誤った記述です。
登録販売者試験でよくある「ひっかけ」問題です。
間違っているのは、「血液を凝固させる作用」のところです。
正しくは、「血液を凝固しにくくさせる作用」です。
アスピリンですが、血液が固まりにくくなります。
先に挙げた手引きの「注記」の…、
「妊娠期間の延長、子宮収縮の抑制、分娩時出血の増加」
…から、考えてみてください。
血液が固まりにくくなるので、分娩時の出血が増加するわけです。
よって、①は、「×」となります。
次に、②の「アスピリンは、15歳未満の小児には、いかなる場合にも、一般用医薬品として使用してはならない」ですが、正しい記述です。
そのとおりの記述です。
手引きを再掲すると…、
「アスピリン(アスピリンアルミニウムを含む。)、サザピリン及びサリチル酸ナトリウムは、15歳未満の小児に対しては、いかなる場合も一般用医薬品として使用してはならない。」
…となっています。
理由は、ライ症候群(急性脳症)の発症との関連性が示唆されているからです。
よって、②は、「○」となります。
さて、物慣れた受験生となると、文中にある「いかなる場合」という断定が気になるかと思います。
当該「いかなる場合」ですが、「一般用医薬品として」という限定があるので、選択肢の通りとなります。
基本的に、断定的な表現があると誤りになることが多いですが、当該アスピリンには、「いかなる場合でも、15歳未満の小児に、一般用医薬品としては使用しちゃダメ」で正しいので、意識して押えておきましょう。
最後の③「アスピリンは、ピリン系の解熱鎮痛成分で、他の解熱鎮痛成分に比べ胃腸障害を起こしやすく、ライ症候群の発生も示唆されている」ですが、誤った記述です。
間違っているのは、「ピリン系の解熱鎮痛成分」のところです。
当該アスピリンですが、非ピリン系の解熱鎮痛成分です。
超絶定番論点なので、ガチで押えておきましょう。
これ以外のところの「他の解熱鎮痛成分に比べ胃腸障害を起こしやすい」や「ライ症候群の発生も示唆されている」は、正しいです。
これらも、よく問われるので、押えておきましょう。
よって、「×」です。
アスピリンの頻出事項を、ざっくり見ていきます。
先の○×問題でも出たように、アスピリンは、「15歳未満の小児には、いかなる場合にも、一般用医薬品として使用してはならない」です。
キーワードの「ライ症候群」と繋げて憶えましょう。ライ症と言えばアスピリンくらいに、憶えてしまってください。
他の解熱鎮痛成分に比べて、「胃腸障害が起こしやすい」です。
「血液を凝固しにくくさせる作用」があります。
医療用医薬品で、「血栓予防薬」として用いられています。
母体への影響(出血増加等)を考慮して、「出産予定日12週以内」の使用を避けます。
当該「使用しない(服用しない)」の注意喚起ですが、もう1つあります。
なお、アス“ピリン”と言いながら、「非ピリン系」です。
「ピリン系」なのは、“アンチ”ながら「イソプロピル“アンチ”ピリン」です。字面だけ見ると、ボケたおしの漫才みたいです。
最後に、「アスピリン喘息」は、アスピリン特有の副作用ではありません。他の解熱鎮痛成分でも生じる可能性があります。
アスピリン(アスピリンアルミニウムを含む。)は、まれに重篤な副作用として肝機能障害を生じることがあります。
当該肝機能障害は、かぜ薬のところにおいても、問われたことがあります。
参考:香川県 R3 第65問
かぜ薬で問われたのですから、解熱鎮痛薬で問われても、全くおかしくないです。
「アスピリン・・・肝機能障害」は、ガチで押えておきましょう。
「かぜ薬:アスピリン」の方も、参考にしてください。
このあたりを押さえておけば、試験では、だいたいの選択肢を選別できるはずです。
解熱鎮痛成分の小児の論点は、混乱しやすいので、きっちり整理して憶えてください。
一般用医薬品として、「15歳未満の小児」に使用してはいけないのは、「アスピリン(アスピリンナトリウムを含む)」と「サザピリン」です。
対して、「水疱(水疱瘡)または、インフルエンザ」にかかっている「15歳未満の小児」に「使用を避ける」となっているのは、「サリチルアミド」と「エテンザミド」です。
エテンザミド・サリチルアミドも、「15歳未満の小児」に「使用を避ける」のですが、「水疱(水疱瘡)または、インフルエンザに罹っている」という条件が付いてくるので、注意してください。
さて、「適正使用」でも、「15歳未満の小児」に「使用しない」論点があります。
アスピリンは、「医薬品」と同じです。挙げると…。
「使用しない:15歳未満の小児」
「アスピリン、アスピリンアルミニウム、サザピリン、プロメタジンメチレンジサリチル酸塩、サリチル酸ナトリウム」
「外国において、ライ症候群の発症との関連性が示唆されているため。」
…となっています。
しかし、対して、サリチルアミドとエテンザミドは、「医薬品」では、「使用を避ける」という表記になっているのに、「適正使用」だと「相談すること」のところに登場するのです。手引きを挙げると…、
「水痘(水ぼうそう)もしくはインフルエンザにかかっている又はその疑いのある乳・幼・小児(15歳未満)」
「サリチルアミド、エテンザミド」
「構造が類似しているアスピリンにおいて、ライ症候群の発症との関連性が 示唆されており、原則として使用を避ける必要があるため。」
…となっています。
こんな次第で、サリチルアミド・エテンザミドは、なぜだか、「適正使用」では、「相談すること」になっているので、まあ、このページを「お気に入り」に入れておいて、試験直前で、チェックしてください。
先のポイントと被るものもありますが、「適正使用」用のまとめです。
「アスピリン」ですが、「使用(服用)しない」の論点が3つあります。
まず、「本剤又は他のかぜ薬、解熱鎮痛薬を使用(服用)してぜんそくを起こしたことがある人」は、「使用しない」です。
「理由」は、「アスピリン喘息を誘発するおそれがあるため。」です。
頻出論点なので、押えておきましょう。
次に、「15歳未満の小児」には、「使用しない」です。
「理由」は、「外国において、ライ症候群の発症との関連性が示唆されているため。」です。
これも、実によく出ます。 参考:適正使用対策‐小児
次に、「出産予定日12週以内の妊婦」には、「使用しない」です。
「12週」という数字の限定がされている論点です。
出題者側からすると、実に、出しやすいので、これも、ゼッタイに押さえておくべきです。
「東京都 R3 第103問」のように、出題実績、あります!
参考:適正使用対策‐女性系
「アスピリン」ですが、メジャー成分なので、「相談すること」まで問われる可能性が「大」です。
数が結構あるので、できるところ・憶えられるところだけを押えておきましょう。
挙げていくと…、
「妊婦又は妊娠していると思われる人・・・妊娠末期のラットに投与した実験において、胎児に弱い動脈管の収縮がみられたとの報告があるため。なお、アスピリンについては、動物実験(ラット)で催奇形性が現れたとの報告があるため。」
「授乳中の人・・・乳汁中に移行する可能性がある」
「胃・十二指腸潰瘍・・・胃・十二指腸潰瘍を悪化させるおそれがあるため」
「肝臓病・・・肝機能障害を悪化させるおそれがあるため」
「心臓病・・・むくみ(浮腫)、循環体液量の増加が起こり、心臓の仕事量が増加し、心臓病を悪化させるおそれがあるため」
「腎臓病・・・むくみ(浮腫)、循環体液量の増加が起こり、腎臓病を悪化させるおそれがあるため。」
…となっています。
「相談すること」は、費用対効果が悪いので、できる範囲で見ておきましょう。無理しなくていいです。
参考:相談すること‐妊婦等
参考:相談すること‐基礎疾患1
参考:相談すること‐基礎疾患2
登録販売者の勉強方法等は、「登録販売者の独学」に述べています。独学の概要・注意事項などはこちらで。
次いで、医薬品の成分の暗記が苦手な人へのアドバイスです。
実地が一番頭に入ります。成分・効能が頭に入らない方は、机の前の勉強を止めて、ドラッグストア等で、実際の医薬品を手にしてみてください。
先に挙げた、「バイエルアスピリン」や「バファリン」などを見て、(あー、○○成分、入ってる入ってる)などと思うだけでも、記憶に残ります。
テキストの字面だけでは、記憶の残りは悪いので、実物を目で見て触って確かめて、憶えていきましょう。
「解熱鎮痛薬」の他の「解熱鎮痛成分」へのリンクです。
使用教材の詳細は「教材レビュー」に述べていますが、読むのが面倒な人は…、
テキストは、初心者向けでオマケ付きの「 らくらく完全攻略!登録販売者試験合格テキスト&問題集 第4版 」で…、
過去問は、掲載問題数が一番多い「 超重要!登録販売者過去問題集 '24年版 (2024年版) 」を使えば支障ありません。
登録販売者のこまごましたことは、ブログに投稿しています。
興味のある方は、「登録販売者の投稿記事 」の「登録販売者:語呂合わせ」や「登録販売者:まとめ」、「登録販売者:憶え方」などをお目汚しください。
そのほか、「登録販売者:医薬品」や「登録販売者:生薬」、「登録販売者:漢方処方製剤」で、ヒマな時間を潰してください。
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