第469条:債権の譲渡における相殺権

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

宅地建物取引士(宅建・宅建士)と管理業務主任者(管業)の試験科目「民法」で、改正された「第469条:債権の譲渡における相殺権」について解説したページ。最低限度のポイントと、チェック用の条文本文を説述する。法改正対策のページ。独学者向け。

最低限のポイント

 「第469条:債権の譲渡における相殺権」ですが、「明文化」の改正です。

 以前から争いのあった論点なので、見ておくべきです。

 主な改正内容は…、

 ・債権譲渡と相殺権の関係が明文化された。

 …となっています。

 なお、条文本文は、本ページの下方にあります。

解説・コメント1‐「前」の相殺

 旧法では、譲渡人が債権譲渡通知をしたときに、債務者がその通知を受け取るまでに、譲渡人に対して生じた事由を持って、譲受人に対抗できると規定していました。

 しかし、債務者が譲渡の通知を受ける前から、譲渡人に対して反対債権を有していた場合、債務者は「相殺」を主張できるかどうかには、争いがあったのです。

 今回の改正では、債務者は、対抗要件具備時より「」に取得した、譲渡人に対する債権による相殺をもって、譲受人に対抗することができる、と規定されました。

 そのまんまですが、条文には…、

 『債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる。

 …と、明記されました。

 簡単に言うと、「前」なら相殺主張できる、ってな塩梅です。

解説・コメント2‐「後」の相殺

 先は、対抗要件具備時より「前」の話ですが、次に見ていくのは、「後」の話です。

 債務者が対抗要件具備時より“後に”取得した譲渡人に対する債権であっても、相殺できるときがあります。

 第二項の条文まんまですが…、

 『一 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権。』

 『二 前号に掲げるもののほか、譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権。』

 …この場合は、「相殺」可能としています。

 ただ、当該「後」の「相殺」可能には、但し書きがあって…、

 『ただし、債務者が対抗要件具備時より後に他人の債権を取得したときは、この限りでない。

 …と、規定されており、「他人の債権」の取得したときは、「相殺」できないと規定されています。

 先の第一号・第二号は細かいので、あまり出ないと思いますが、当該但し書きは、出そうな感がするので、テキストと条文を読み込んでおきましょう。

条文:債権の譲渡における相殺権 第469条

 『債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる。』

第二項

 『債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、その債権が次に掲げるものであるときは、前項と同様とする。ただし、債務者が対抗要件具備時より後に他人の債権を取得したときは、この限りでない。』

 『一 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権。』

 『二 前号に掲げるもののほか、譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権。』

第三項

 『第四百六十六条第四項の場合における前二項の規定の適用については、これらの規定中「対抗要件具備時」とあるのは、「第四百六十六条第四項の相当の期間を経過した時」とし、第四百六十六条の三の場合におけるこれらの規定の適用については、これらの規定中「対抗要件具備時」とあるのは、「第四百六十六条の三の規定により同条の譲受人から供託の請求を受けた時」とする。』

宅建のこまごましたもの

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