宅地建物取引士(宅建・宅建士)と管理業務主任者(管業)の試験科目「民法」で、改正された「第501条:弁済による代位の効果」について解説したページ。最低限度のポイントと、チェック用の条文本文を説述する。法改正対策のページ。独学者向け。
「第501条:弁済による代位の効果」ですが、「新設規定」と「変更」の改正です。
法改正によって、制度の整備がなされました。
変化の大きな改正のため、出題される可能性が高いです。キッチリ見ておきましょう。
主な改正内容は…、
・債権者に代位した者は、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができるが、一定の限度がある。
・保証人の一人が他の保証人に対して債権者に代位する場合には、自己の権利に基づいて当該他の保証人に対して求償をすることができる。
・旧法の保証人規定(旧第501条1号)が削除された。
・「第三取得者と保証人・物上保証人」の関係が規定された。
・「第三取得者どうし、物上保証人どうし」の関係が規定された。
・「保証人と物上保証人」の関係が規定された。
・「第三取得者から財産を譲り受けた者など」の関係が規定された。
…となっています。
第一項により、債権者に代位した者は、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができます。
しかし、これにも、限度があって、第二項に…、
『前項の規定による権利の行使は、債権者に代位した者が自己の権利に基づいて債務者に対して求償をすることができる範囲内に限り、することができる。』
…と、規定されました。
当たり前といえば当たり前ですが、チェックをしておきましょう。
旧法では、複数の保証人のうち、1人が弁済した場合の保証人間の代位規定がありませんでした。
よって、改正にて、保証人の1人が弁済したときの規定を、第二項の括弧書きに、明記しました。
条文では…、
『(保証人の一人が他の保証人に対して債権者に代位する場合には、自己の権利に基づいて当該他の保証人に対して求償をすることができる範囲内)』
…と、明文化されました。
旧第501条の1号には…、
『保証人は、あらかじめ先取特権、不動産質権又は抵当権の登記にその代位を付記しなければ、その先取特権、不動産質権又は抵当権の目的である不動産の第三取得者に対して債権者に代位することができない。』
…と、規定されていました。
しかし、当該規定は、合理性に欠けるとの批判があったので、改正によって、削除されました。
んなもんで、今後は、保証人は、「登記に付記なし」で、債権者に代位できます。
改正によって、「第三取得者と(物上)保証人」の関係が規定されました。
第三取得者とは、債務者から、担保目的物を譲り受けたものをいいます。
当該第三取得者は、担保権が実行されると、それを失うことになるので、弁済について、正当な利益を有するものと解されています。
んで、当該当該第三取得者が弁済した場合、条文にあるように…、
『保証人及び物上保証人に対して債権者に代位しない。』
…と、明記されました。
つまり、第三取得者が弁済した場合、債権者には当然代位できますが、保証人と物上保証人に対しては、代位が否定されます。
改正により、「第三取得者どうし、物上保証人どうし」の関係が規定された。
旧法とは、語句が変更されただけで、内容の変化はありません。
条文まんまですが…、
『二 第三取得者の一人は、各財産の価格に応じて、他の第三取得者に対して債権者に代位する。』
『三 前号の規定は、物上保証人の一人が他の物上保証人に対して債権者に代位する場合について準用する。』
…と、明記されています。
改正によって、「保証人と物上保証人」の関係が規定されました。
条文まんまですが…、
『四 保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。』
…と、規定されています。
具体的に言うと、保証人が1人で、物上保証人も1人いた場合で、保証人が弁済した場合、弁済による代位によって、物上保証人に50万円の履行を請求できます。
しかし、これには、但し書きがあって…、
『ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。』
…と、規定されています。
「第三取得者から財産を譲り受けた者など」の関係が規定されました。
第5号には…、
『五 第三取得者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者は、第三取得者とみなして第一号及び第二号の規定を適用し、物上保証人から担保の目的となっている財産を譲り受けた者は、物上保証人とみなして第一号、第三号及び前号の規定を適用する。』
…と、規定されています。
要は…、
「第三取得者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者→第三取得者扱い」で、
「物上保証人から担保の目的となっている財産を譲り受けた者→物上保証人扱い
…となるってな次第です。
量も多く、小難しいものが多いですが、それだけに、「狙い目」といえます。
テキストと条文とを、キッチリ読み込んでおきましょう。
『前二条の規定により債権者に代位した者は、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。』
『前項の規定による権利の行使は、債権者に代位した者が自己の権利に基づいて債務者に対して求償をすることができる範囲内(保証人の一人が他の保証人に対して債権者に代位する場合には、自己の権利に基づいて当該他の保証人に対して求償をすることができる範囲内)に限り、することができる。』
『第一項の場合には、前項の規定によるほか、次に掲げるところによる。』
『一 第三取得者(債務者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者をいう。以下この項において同じ。)は、保証人及び物上保証人に対して債権者に代位しない。』
『二 第三取得者の一人は、各財産の価格に応じて、他の第三取得者に対して債権者に代位する。』
『三 前号の規定は、物上保証人の一人が他の物上保証人に対して債権者に代位する場合について準用する。』
『四 保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。』
『五 第三取得者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者は、第三取得者とみなして第一号及び第二号の規定を適用し、物上保証人から担保の目的となっている財産を譲り受けた者は、物上保証人とみなして第一号、第三号及び前号の規定を適用する。』
試験勉強については、「宅地建物取引士(宅建)の独学」を、参考にしてください。
「宅建」という資格を、より知りたい方は、「資格ガイド Sランク資格:宅地建物取引士」を、一読願います。
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