宅地建物取引士(宅建・宅建士)と管理業務主任者(管業)の試験科目「民法」で、改正された「第1050条:特別の寄与」について解説したページ。最低限度のポイントと、チェック用の条文本文を説述する。法改正対策のページ。独学者向け。
「第1050条:特別の寄与」ですが、「新設規定」の改正です。
そう出ることはないと思われますが、新しい制度なので、知識問題で出るおそれがあります。
チェックだけはしておきましょう。
主な改正内容は…、
・被相続人の「親族」に対する「特別の寄与」が新たに設けられた。
…となっています。
「特別の寄与」という新しい制度が設けられました。
まず、対象は、条文にあるように…、
『被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族』
…と、なっています。
誰もが対象になるのではなくて、「特別の寄与をした被相続人の親族」に限定されるので、注意してください。
たとえて言えば、「長男の嫁」です。
「長男の嫁」は、長男の両親の介護等をすることが多いわけですが、当該「長男の嫁」は、長男の両親の相続人ではありません。
よって、「長男の嫁」が介護等に尽力しても、法律的には、「長男の嫁」に、何も権利が発生しませんでした。
これでは酷だということで、今回の改正によって、「特別の寄与」という制度を設けて、貢献が評価される人を、「被相続人の親族」にまで拡大し、一定の権利を認めさせるようになった、ってな次第です。
「長男の嫁」は、「被相続人の親族」ですから、この新制度によって、相続に関与できるようになった、ってな次第です。
「特別の寄与」の内容ですが、条文には…、
『相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(特別寄与料)の支払を請求することができる』
…と、明記されています。
よって、先の例の「長男の嫁」は、相続人に対し、「特別寄与料」という「金銭債権」を取得することになります。
「金銭債権」と明記されているので、ダイヤなどの動産や、建物等の不動産は、「特別の寄与」としては、請求できないです。
たとえば、「特別寄与者は、その相続財産の一部を請求できる」などとあれば、「×」です。
「金銭」のみです。
「特別の寄与」の要件ですが、条文には…、
『被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした』
…と、明記されています。
「無償」が要件です。
よって、介護等で報酬なり手間賃なりを受け取っていれば、「特別寄与料」は発生しないことになります。
次に、「労務の提供」が要件です。
「特別の寄与」では、「労務の提供」と、限定されているので注意です。
たとえば、介護費用等を仕送りしていた「次男の嫁」では、特別寄与料は発生しない、ってな寸法です。
対して、似た制度の「寄与分」では、「労務の提供」と、限定されていません。
このあたり、「ひっかけ」で出そうなので、整理して憶える必要があります。
試験に出そうなのは、とりあえず、このあたりです。
残る第二項以降は、軽く一読しておけばいいでしょう。多分、ここまで出ません。
『被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。』
『前項の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から六箇月を経過したとき、又は相続開始の時から一年を経過したときは、この限りでない。』
『前項本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める。』
『特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。』
『相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に第九百条から第九百二条までの規定により算定した当該相続人の相続分を乗じた額を負担する。』
試験勉強については、「宅地建物取引士(宅建)の独学」を、参考にしてください。
「宅建」という資格を、より知りたい方は、「資格ガイド Sランク資格:宅地建物取引士」を、一読願います。
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