第1038条:配偶者による使用(配偶者短期居住権)

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

宅地建物取引士(宅建・宅建士)と管理業務主任者(管業)の試験科目「民法」で、改正された「第1038条:配偶者による使用(配偶者短期居住権)」について解説したページ。最低限度のポイントと、チェック用の条文本文を説述する。法改正対策のページ。独学者向け。

最低限のポイント

 「第1038条:配偶者による使用(配偶者短期居住権)」ですが、「新設規定」の改正です。

 知識問題や比較問題で出題されそうな感がプンプンするので、押えておきましょう。

 主な改正内容は…、

 ・配偶者短期居住権も、「善管注意義務」。

 ・配偶者短期居住権でも、第三者に使用させられる(使用貸借)が、「承諾」が必要。

 ・建物所有者は、「意思表示」で、配偶者短期居住権を消滅できる。

 …となっています。

 なお、条文本文は、本ページの下方にあります。

解説・コメント1‐善管注意義務

 配偶者短期居住権に基づいて、建物を使用する場合、「善管注意義務」が課せられます。

 この点は、「配偶者居住権」と同じです。

解説・コメント2‐第三者使用

 配偶者短期居住権でも、第三者へ「使用」させることができます。

 しかし、この場合、「所有者の承諾」が必要です。

 当該使用の点は、「配偶者居住権」と同じです。

 しかし、配偶者短期居住権では、「収益」ができないので、収益の発生する「賃貸借」は、できないです。

 よって、この場合の「使用」は、原則無償の「使用貸借」となります。

 このあたりは、比較問題として最適なので、キッチリ憶えておきましょう。

 なお、「所有者の承諾」も、「ひっかけ」で出そうです。

 たとえば、「配偶者“短期”居住権を持つ配偶者は、“所有者の承諾を得れば”、建物の増改築ができる」などと、出題されそうです。

 「×」です。

 「承諾」で「増改築」が可能なのは、「配偶者居住権」の方です。

解説・コメント3‐譲渡

 「配偶者居住権」は、譲渡ができません。

 よって、条文上、明記はありませんが、「配偶者短期居住権」も、譲渡ができないと解されます。

解説・コメント4‐消滅

 第三項に、所有者保護が規定されています。

 条文まんまですが…、

 『配偶者が前二項の規定に違反したときは、居住建物取得者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者短期居住権を消滅させることができる。』

 …と、明記されています。

 ポイントは、太文字の「意思表示」のところです。

 「配偶者居住権」では、「期間を定めてその是正の催告をし、その期間内に是正がされないとき」に、限定されています。

 「配偶者短期居住権」は、違反時の「意思表示」だけで、即、消滅します。

 「ひっかけ」臭がプンプンします。

 たとえば、「配偶者短期居住権を持つ配偶者が、その建物を賃貸に出した場合、所有者は、“相当の期間を定めてその是正の催告”をした後でなければ、その権利の消滅ができない。」などと、出そうです。

 いうまでもなく、「×」です。

 違反があったら、「意思表示」だけでよく、「催告」は無用です。

条文:配偶者による使用(配偶者短期居住権) 第1038条

 『配偶者(配偶者短期居住権を有する配偶者に限る。以下この節において同じ。)は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用をしなければならない。』

第二項

 『配偶者は、居住建物取得者の承諾を得なければ、第三者に居住建物の使用をさせることができない。』

第三項

 『配偶者が前二項の規定に違反したときは、居住建物取得者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者短期居住権を消滅させることができる。』

宅建のこまごましたもの

 試験勉強については、「宅地建物取引士(宅建)の独学」を、参考にしてください。

 「宅建」という資格を、より知りたい方は、「資格ガイド Sランク資格:宅地建物取引士」を、一読願います。

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