宅地建物取引士(宅建・宅建士)と管理業務主任者(管業)の試験科目「民法」で、改正された「第1032条:配偶者による使用及び収益」について解説したページ。最低限度のポイントと、チェック用の条文本文を説述する。法改正対策のページ。独学者向け。
「第1032条:配偶者による使用及び収益」ですが、「新設規定」の改正です。
内容が不動産に関するため、1問丸ごとで出る可能性もあります。キッチリ押さえておくべきです。
主な改正内容は…、
・配偶者居住権には、「善管注意義務」が課せられる。
・配偶者居住権は、譲渡できない。
・配偶者居住権に基づく「増改築」や、使用収益を「第三者」にさせるには、「所有者」の「承諾」が必要。
・所有者は、一定の場合、配偶者居住権を消滅させることができる。
・配偶者は、居住建物の修繕ができる。
・通常の必要費は、配偶者が負担する。
・有益費は、価格の増加が現存する場合、所有者が負担する。
…となっています。
配偶者居住権に基づく建物の使用・収益ですが、配偶者には、「善管注意義務」が課せられています。
条文には…、
『配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしなければならない。』
…と、明文化されています。
選択肢の1つとして出そうな内容なので、押えておきましょう。
また、第一項の但し書きには…、
『ただし、従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することを妨げない。』
…とあり、これまで住んでなかった部屋で住むことも、可能にしています。
この例外規定も出そうです。
たとえば、「配偶者は、従前の用法に従って使用収益をしなければならないため、これまでの居住部分にしか住めない」などと出そうです。
もちろん、「×」です。
但し書きにて、未居住部分に住める事が銘記されています。
念のため、押えておきましょう。
配偶者居住権は、譲渡することができません。
この点、「賃貸借契約」だと、賃貸人の承諾があれば、譲渡できるのです。
「ひっかけ」で、「配偶者居住権は、所有者の承諾があれば、“譲渡できる”」などと出題されそうなので、整理して憶えておきましょう。
配偶者居住権があれば、配偶者は使用・収益権がありますが、一定の規制が課せられています。
条文には…、
『配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない。』
…と、明文化されています。
そのまんまですが、配偶者居住権があっても、「増改築」や「第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせる」には、「所有者」の「承諾」が必要となっています。
なお、「第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせる」ですが、言うなれば、第三者に「居住建物」を貸すこと(貸借契約を結ぶこと)です。
配偶者には収益権があるわけで、当然、配偶者居住権の建物を、第三者に貸して、賃料を貰うことだってできます。
ただし、貸す場合には、所有者の「承諾」が必要、ってな次第です。
なお、「ひっかけ」に注意してください。
先の規定は、「建物」を貸すものであって、「配偶者居住権」を貸すものではありません。
配偶者居住権の限界が、第四項に明記されています。
条文まんまですが…、
『配偶者が第一項又は前項の規定に違反した場合において、居住建物の所有者が相当の期間を定めてその是正の催告をし、その期間内に是正がされないときは、居住建物の所有者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者居住権を消滅させることができる。』
…と、明記されており、所有者の保護を図っています。
配偶者居住権の期間は、「終身」ですが、チンピラ配偶者の場合には、所有者はそれを消滅させられるわけです。
「催告→是正なし→意思表示にて消滅」という流れは、押えておきましょう。
ありそうな出題としては、「配偶者居住権は、居住建物の所有者が催告し、相当の期間内に是正されないときは、消滅する」などと、出そうです。
配偶者居住権の消滅には、「意思表示」が必要なので、チェックです。
『配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしなければならない。ただし、従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することを妨げない。』
『配偶者居住権は、譲渡することができない。』
『配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない。』
『配偶者が第一項又は前項の規定に違反した場合において、居住建物の所有者が相当の期間を定めてその是正の催告をし、その期間内に是正がされないときは、居住建物の所有者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者居住権を消滅させることができる。』
試験勉強については、「宅地建物取引士(宅建)の独学」を、参考にしてください。
「宅建」という資格を、より知りたい方は、「資格ガイド Sランク資格:宅地建物取引士」を、一読願います。
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