独学の簿記3級:商業簿記

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 簿記3級の独学に必要なことのまとめ。「実務重視」路線に切り替わった簿記3級は、「3日で受かるなんて、もう言わせない」試験に変貌。試験問題が全体的にレベルアップし、記帳、集計・転記まで求める問題が増加。合格率は4~5割だが、2~3割に低下するときも。良質の教材でしっかり勉強しない限り受からない。

ひとくち簿記3級

 後述しますが、難化した簿記3級は、「3日で受かるなんて、もう言わせない」試験に変貌しています。きちんと試験勉強をしない限り、簿記3級には受かりません。

 教材事情も大きく変わっています。簿記が始めての人は、質問制度があって初学者向けの『本格版』を使うのがベストです。詳細は「教材レビュー」に述べていますが、読むのが面倒な人は…、

 テキストは「合格テキスト 日商簿記3級」を、問題集は「合格トレーニング 日商簿記3級」を、過去問は「合格するための過去問題集 日商簿記3級」か、「日商簿記3級未来のための過去問題集」を使います。どれも定番出版社の看板教材なので支障はありません。なお、受験経験者やお試し受験の方は「簿記3級の簡易廉価版教材」を参考をば。

 また、難化に伴い、高品質電卓を使うべきです。詳細は「計算機(電卓)選び」や「売れ筋電卓」に述べてますが、面倒なら、わたしが愛用している「DF-120GT」系統の電卓なら支障ありません。

 高品質な計算機:df-120gt

 さて、以下に、簿記3級の独学に必要なことを述べていきますが、試験勉強の細々したことは、「重要仕訳のポイント・考え方」や「為替手形‐簿記3級の難所攻略」を参考にしてください。

 また、過去問も、第1問の仕訳問題なら、通勤・通学時で消化できるので、「簿記3級:仕訳過去問+解説」でアレしてください。

3級のいま-「3日で受かる」なんて、もう言わせない

 直近の簿記3級の傾向は、「きちんと勉強した人しか受からない」です。

 合格率は、おおむね「40%」ですが、「20~30%」台に落ちることがあり、油断が出来ません。ちなみに挫折率は2割弱で、5人に1人が受けずじまいです。

 参考:簿記3級の合格率と挫折率

 受験予定の方は、まず、「簿記3級=カンタン」という認識を改める必要があります。

 かつての3級は、「カンタンに受かってしまう試験」でした。

 本試験の問題はほとんど変わらず、設問もド定番ばかりで、「パターン学習と足し算・掛け算」だけで合格する人が、多々、輩出されたのです。

 しかし、試験勉強は「算数と仕訳暗記」しかやっていませんから、簿記3級があるといっても、転記やら記帳やらが全くわかっていない塩梅で、つまり、実務には使えない“合格者”が濫造されたのが『簿記3級』という資格なのです。

 こうした「資格はあるが、実質パー」な合格者に、実業界から“お叱り”があり、んで、現在の「実務重視」路線に、試験方針が切り替わった、という塩梅です。

 このため、かつては「3日で受かる」なんて揶揄された簿記3級が、「きちんと勉強しないと受からない」試験に変貌したのです。

 かつての3級合格者に、今の過去問を見せると、口をそろえて、「え?!、こんな難しいの?」といいます。そのくらい、今の3級は難化している、ってことです。

 簿記3級は、勉強しないと取れません。甘い考えで受けると、受験料を捨てるだけです。きちんと「決意」してから、受けるようにしてください。

 さて、次に、具体的な試験傾向を見ていきたいのですが、長くなったので、別ページにまとめています。

 「簿記3級の傾向について‐問題文が高度・複雑化・新問題登場‐試験が非定型化・実務重視」をば、移動時間などにお目汚しください。

救済試験と合格率

 簿記3級の全平均の合格率は「40.6%」となっています。

 直近の試験では「51.0%」と、高い合格率となっています。

 合格率の近年の推移は…、

 146回(H29.6.11)は「51.0%」で、145回(H29.2.26)は「47.4%」、144回(H28.11.20)は「45.1%」、143回(H28.6.12)は「34%」、142回(H28.2.28)は「26.6%」、141回(H27.11.15)は「26.1%」でした。

 近年は、高い合格率が続いていますが、それ以前の試験が「20~30%」と、かなり低かったからと思われます。

 ところで、簿記試験では、何回かに1回は、通称『救済試験』と言われる高合格率の試験が実施されます。

 最近で言えば、146回(H29.6.11)の「51.0%」が、該当します。

 当該『救済試験』ですが、一種の「在庫処分」のようなもので、溜まりに溜まった不合格の受験生を、一掃させる意図があるように見受けられます。

 パターン化されていないので、いつ救済試験が行われるかは予想できませんが、まずもって、「6回に1回」は、超高合格率のときがあります。

 簿記と相性の悪い人も、いるはずです。がんばっているけど、合格できない人がいるかと思います。しかし、あきらめず、受け続けてみてください。

 いつか、『救済試験』に当たって、何とか首の皮一枚で合格できるからです。せっかく受験料を払ったのですから、「資格」という形で、回収しましょう!!!

 なお、合格率の詳細な推移については、「簿記3級:合格率と挫折率」をお目汚しください。

独学合格のポイント

 合格する勉強方法を、単刀直入にいいます。

 まず、テキストを読みます。で、テキストの問題を解きます。テキストの問題を解いたら、すぐさま問題集で、テキストでやったところの問題を解きます。

 テキストで骨子をおさえ、問題集で肉付けする、という感じです。

 で、復習(超大事!常にやる)を織り交ぜながら、テキストと問題集の最後までやります。

 で、もう1回同じことをします。で、まだ不安が残るようなら、もう一度、テキストと問題集を繰り返します。

 できそうかなーという実感が出たら、過去問を解き始め、過去問でわからないことを、テキストや問題集でケアしていきます。

 過去問は「3回」やります。これで、まず合格圏に入れます。

簿記は「量」

 結論から言うと、簿記3級の勉強とは、「量」です。

 「簿記3級を勉強する前に知っておきたい3つのこと」でも述べているように、「簿記」とは「帳簿記帳」が略された「動作」であり、「身体で憶える」ものなのです。

 頭で理屈がわかっただけでは、ダメなのです。何回も何回もやって「反射・反応」くらいに身体に憶えこまさないと、合格は覚束ないです。

 小手先のテクニックなど、試験傾向が変われば、もう通用しません。確実な勉強方法とは、「量」です。つまり、テキストを「3回」読み、問題集は「3回」解き、過去問は「3回」繰り返せば、まず合格する、といった次第です。

 本試験で、新しい傾向の問題や新論点と遭遇したとき、一番物を言うのは、「量」です。

 (あ、ここ解けそう)とか、(こうやったらいいんじゃない?)的なひらめきは、「量」をこなした者だけに起きます。底の浅い勉強では、取っ掛かりすら浮かばないはずです。

 試験勉強では、「どう勉強するか?」よりも、「どれだけ勉強するか」「どうしたら量が確保できるか」を念頭に、取り組んでください。

肝は、取引の8要素(仕訳の8要素)

 初めて簿記を勉強する人は、「できるかどうか」不安なはずです。わたしもそうでした。しかし、重要なことは、「1つ」しかないのです。

 結論から言うと、試験勉強を始めたら、まずは、簿記の根底を為している、『取引の8要素(仕訳の8要素)』を、完全に物にしてください。

 『取引の8要素(仕訳の8要素)』とは…、


左側(借方) 右側(貸方)
  資産の増加

負債の減少

資本の減少

費用の発生

  資産の減少

負債の増加

資本の増加

収益の発生

 …です。テキストには必ず載っているはずです。

 ぶっちゃけ言うと、先の『表』を丸暗記するだけで、簿記3級の理論の勉強は終わりです。

 兎にも角にも、当該「取引の8要素(仕訳の8要素)」を、ぎっちぎっちに脳みその中に詰め込みます。ガチ暗記・ド暗記・丸暗記・棒暗記。騙されたと思って、諳んじるまで憶えてしまってください。

 もっと実践的なことを言うと、当該「仕訳の8要素」を冷蔵庫に張りましょう。トイレに張りましょう。カレンダーに、玄関に張りましょう。スマホや携帯の待ち受けにしましょう。

 そして、3日間、見続けましょう。暇があれば憶え直し、脳に刻みつけます。

 売掛金の入金と聞いたら、即、条件反射的に、「資産」の仕訳が切れるようになっていないと、戦えません。

 中途半端に、あれー売掛金は資産項目だったかなあ、なんて考えるようじゃダメです。

 簿記に挫折する人の多くは、超最重要論点である「取引の8要素(仕訳の8要素)」が、不十分のまま先に進んでいます。で、よくわからなくなって中断したり放棄したりしています。

 テキストでは、高々2~3ページの記載でしょうが、簿記最大かつ根幹の“論点”が載った最重要ページであります。8要素は、「反射・反応」のレベルまで、憶え切ってください。

 「取引の8要素(仕訳の8要素)」が、簿記3級の天王山です。ここがわかれば、簿記がわかり始めて、不安はかなり減ります。まずは、3日間、『表』のガチ暗記に励んでください。

仕訳&計算機こそ、独学合格の最短

 簿記3級の絶対方針は、問題ごとに、「必ず仕訳を切り、必ず計算機を叩くこと」です。

 絶対にやってはいけないこと、つまり、最も合格から遠ざかる勉強は、「頭の中」で終わらせることです。

 (あーわかったわかった、こうすればいいんでしょ)みたいな、頭の体操で済ませてはなりません。

 わたしが幸運だったのは、一番最初に手にしたテキストに、「仕訳を切れ」と「計算機を叩け」と書かれていたことです。このアドバイスだけで、ストレートに2級に受かりました。

 合格者は皆、口を揃えて言いますが、「頭だけで済ます勉強」が、最も受からない勉強です。

 たとえわかっていても、念には念を入れて、仕訳を切って計算機を叩きます。

 確信を持って言いますが、“愚直に”仕訳を切って、“めんどくさがらずに”計算機を叩くのが、遠回りに見えて、実は、独学合格の一番の近道です。どんな問題も、最後は『仕訳』に戻るからです。

 簿記3級で仕訳を徹底的に切っておくと、3級のみならず、後々の簿記2級や、建設業経理士や管理業務主任者、FP技能士などの資格で、必ず生きてきます。将来のことも考えて、仕訳を切る作業に、完璧になっておきましょう。

新傾向対策3つ

 簿記3級は、今後も難化が予想されます。

 新傾向の問題への心構えを見ていきます。

目利きと見切り

 本試験で大事なことは、「目利きと見切り」です。

 今後も、「新しい問題」が出題されるはずで、また、従来型の問題に、「新論点」を挿し入れてくる可能性も“超”高いです。

 しかし、とはいえ、本試験問題の大半は、定番問題や基礎・基本問題、頻出問題で構成されていることを忘れてはいけません。。

 確かに、難問・奇問・珍問のほか、新傾向の問題も出ます。が、決して数は多くないのです。

 ですから、本試験では、「取れる問題・取れない問題・取りにくい問題」の『目利きと見切り』が重要になっています。

 つまり、試験では、おなじみの「定番問題や基礎・基本問題、頻出問題」を優先して解き、「難問・奇問・珍問」や「新傾向の問題」は、後回しにする、といった寸法です。

 新問題や新論点は、おおむね、よくよく考えたら解けるものが多いです。

 しかし、見慣れないものですから、予想以上に、時間を取られる危険があります。ですから、1問1問に拘泥せず、解けるところから解いていって、『部分点を確保する』姿勢が重要になります。

 現状の簿記3級の試験戦術は、『取れる問題で点数を確保した後で、ややこしい・手強い・時間がかかる問題に本腰を入れる・時間を割く』となっています。

 言うなれば、「退路を確保した上で攻める、若しくは、新しい恋人を見つけてから、別れ話を切り出す」といった寸法です。

 先の話かもしれませんが、本試験が始まったら、まず、全問題を見通して、問題を目利きし、解答の当否を見切りましょう。で、取れる問題から解いていきます。必ず第1問目から解かねばならぬ“必然性”は、全くありません。

問題文・資料を読むクセ

 試験勉強中は、まず、問題文をしっかり目を通すことを意識します。

 出題者は、「底の浅い受験生」を、まず落としにかかっているように見受けられます。

 表面的には「従来の問題」でも、問題文に何気ない指示や指定があったりして、不注意な受験生を、引っかけに来ています。

 典型的な例でいえば、仕訳問題の「第141回‐仕訳過去問(2015/11実施)」です。多くの受験生が引っかかったはずです。このように、漫然と問題文を読んでいると、思わぬ失点を蒙ることになります。

 資料も、同様に、しっかり目を通さなくてはいけません。

 とりわけ、設問にて、見知らぬ処理を求めている場合は、要注意です。

 何気に、資料中に、指示やヒントがあるので、“即、あきらめる”のではなく、まず、資料を丁寧に読むようにします。

 解答は、気が急きます。だからこそ、出題者は、その隙を突いて、資料の目立たないところにヒントを潜ませています。

 常日頃の試験勉強のときから、それが、何回か解いた問題であっても、問題文・資料には、丁寧に当たってください。

テキスト読解も‐理論穴埋め+帳簿問題

 かつての試験は、「計算偏重」だったため、テキストが“かなり軽んじられて”いました。

 しかし、現在の簿記3級では、テキストの熟読も、大事な勉強となっています。

 本試験では、ときおり「理論穴埋め」が出題されることがあり、簿記や経理、会計の基礎的な用語や語句が頭に入っているかどうか、“試験される”ようになっています。

 当該理論穴埋め問題は、おおむね「語群選択」なのですが、出題者は常に受験生の斜め上を行きます。

 いつ、『語群』をなくして、“自筆で書かせるか”わかったものではありません。「ガチの、完全な穴埋め問題」が出てもいいように、テキストの記述に丁寧に当たっておく必要があります。

 また、「実務重視」路線に舵が切られているので、『帳簿問題』対策として、テキストの読み込みが必須となっています。帳簿の組織図や構成、繋がりを、頭に叩き込んでおきましょう。

 このように、簿記3級は、明白に、「計算のみでは受からない」ようになっています。

 過去問や問題集に目が行きがちですが、テキストも精読しておいて下さい。

簿記3級の勉強時間

 答えから言うと、「1ヶ月から3ヶ月」を見ておくことを推奨します。

 簿記3級の勉強時間は、“3日で受かる!”なんていう極論までが吹き荒れる、錯綜した世界です。

 そこで、このくらいの時間を見ておけば、仕事や家事、学業等を抱えた人でも、余裕をもって合格できるだろう勉強時間を、「簿記3級の勉強時間」の方に挙げています。

 簿記3級だけの人、2級も考えている人等、ケース別に挙げているので、皆さんの実情に適った勉強時間を把握してみてください。

簿記3級の難易度

 答えから言うと、「鼻歌が出るほど余裕では受からないが、仕事や家事、学業を抱えていても、勉強量は支障のないボリュームであり、本試験は定番の出題が大半なので、きちんと勉強したらまず1回で受かる」難易度です。

 合格率の検証など、詳しいことは長くなるので、「簿記3級の難易度」にまとめています。

独学向け教材

 独学合格の前提は、いい教材と電卓です。

 簿記3級は明らかに難化しており、きちんと試験勉強をしない限り、受からない試験に変貌しています。

 このため、3級でも、『本格教材』を使うのが一番、無難となっています。

 詳細は「教材レビュー」で述べてますが、読むのがメンドクサイ人は…、

 テキストは「合格テキスト 日商簿記3級」で…、

 問題集は「合格トレーニング 日商簿記3級」で…、

 過去問は、TACの「合格するための過去問題集 日商簿記3級」か…、

 ネットスクールの「日商簿記3級未来のための過去問題集 」で揃えば、支障ありません。どれも、ド定番出版社のド定番教材です。

 また、高品質な電卓を使います。計算ミスは格段に減少し、計算は速く、集計は正確になり、全体能率が格段に向上します。

 簿記2級では必須の高品質電卓と避けるべきペラペラ計算機 高品質な計算機

 左から100円のペラペラ計算機、1代目・2代目の高性能電卓と続き、一番右のが、現在、わたしが愛用中の電卓です。打ちやすさが違います。

 詳細は、「計算機(電卓)選び」や「売れ筋電卓」に述べてますが、読むのがメンドウなら、わたしが愛用している「DF-120GT」を使えば支障ありません。

簿記3級のこまごましたもの

 簿記3級の中で異色のメンドクサさを誇るのが為替手形です。当該論点についてはブログの方にまとめているので、「ブログ:簿記3級-為替手形」を参考ください。

 仕訳問題は、「簿記3級の仕訳問題」を参考ください。

 そのほか、簿記3級に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。興味のある方は、「簿記3級:ブログ記事」をばご参考ください。

 また、電卓の打ち方についてを、「簿記のコツ-それは計算機」や「計算機打ち方例」で述べてます。お目汚しください

 「検算のコツ」を知っておくと、計算ミスを結構防げます。

 なお、お手持ちの電卓が、試験で使えるかどうか不安な方は、「簿記の電卓」を参考ください。

 また、簿記3級の求人数等を、「簿記3級独学資格ガイド」に挙げていますので、ご高覧をば。

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