コデインリン酸塩は、「呼吸器官に作用する薬」の「鎮咳去痰薬」の「麻薬性鎮咳成分」として配合されています。試験のポイントをまとめたり、出題傾向を「○×」形式の過去問で紹介したりしています。通勤・通学時のおさらい用にどうぞ。
復習用に、手引きを抜粋すると…、
「中枢神経系に作用して咳を抑える成分(鎮咳成分)」
「咳を抑えることを目的とする成分のうち、延髄の咳嗽中枢に作用するものとして、」
「コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩、ノスカピン、ノスカピン塩酸塩水和物、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、チペピジンヒベンズ酸塩、ジメモルファンリン酸塩、クロペラスチン塩酸塩、クロペラスチンフェンジゾ酸塩等がある。」
「これらのうちコデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩については、」
「その作用本体であるコデイン、ジヒドロコデインがモルヒネと同じ基本構造を持ち、依存性がある成分であり、麻薬性鎮咳成分とも呼ばれる。」
「長期連用や大量摂取によって倦怠感や虚脱感、多幸感等が現れることがあり、薬物依存につながるおそれがある。」
「特に内服液剤では、その製剤的な特徴から、本来の目的以外の意図で服用する不適正な使用がなされることがある。」
「コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩は、妊娠中に摂取された場合、吸収された成分の一部が血液-胎盤関門を通過して胎児へ移行することが知られている(※1)。」
「また、分娩時服用により新生児に呼吸抑制が現れたとの報告がある。」
「また、母乳移行により乳児でモルヒネ中毒が生じたとの報告があり、授乳中の人は服用しないか、授乳を避ける必要がある。」
「そのほか、コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩は胃腸の運動を低下させる作用も示し、副作用として便秘が現れることがある。」
「また、コデインリン酸塩水和物又はジヒドロコデインリン酸塩を含む医薬品については、米国等において12歳未満の小児等 への使用を禁忌とする措置がとられたことを踏まえ、」
「平成29年度第3回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会で本剤の安全対策について検討された。その結果、本剤による死亡例の国内報告はなく、日本での呼吸抑制のリスクは欧米と比較して遺伝学的に低いと推定されること等から、国内で直ちに使用を制限する必要性は考えにくい一方、本剤による小児の呼吸抑制発生リスクを可能な限り低減する観点から、一般用医薬品・医療用医薬品とも、予防的な措置として以下を行うこととされた(※2)。」
「① 速やかに添付文書を改訂し、原則、本剤を12歳未満の小児等に使用しないよう注意喚起を行うこと。」
「② 1年6ヶ月程度の経過措置期間を設け、コデイン類を含まない代替製品や、12歳未満の小児を適応外とする製品への切換えを行うこと。」
「③ 切換え後、12歳未満の小児への使用を禁忌とする使用上の注意の改訂を再度実施すること(一般用医薬品は「してはいけないこと」に「12歳未満の小児」に追記する使用上の注意の改訂を再度実施すること)(※3)」
…と、相なります。
『コデインリン酸塩水和物については、動物実験(マウス)で催奇形作用が報告されている。』
選択肢の1つとして出そうです。押えておきましょう。
『コデインリン酸塩水和物又はジヒドロコデインリン酸塩を含む医薬品の「使用上の注意」改訂の周知について(依頼)(略)』
押さえなくていいです。問題にしようがないです。
『コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩又はトラマドール塩酸塩を含む医薬品の「使用上の注意」改訂の周知について(依頼)(略)により禁忌とすることとされた。』
一読だけしておけばいいでしょう。
ご存じのように、「コデインリン酸塩」は、「鎮咳去痰薬」の「麻薬性鎮咳成分」として登場します。
市販薬には、「【指定第2類医薬品】アネトンせき止め錠 48錠 」などがあります。
出題実績は、かなりあります。「大阪府 H30第29問」や「栃木県 R5 第71問」、「愛知県 R3 第26問」といった出題実績があります。
依存性のある要注意の成分なので、実によく出題されています。
コデインリン酸塩とジヒドロコデインリン酸塩は、厚生労働大臣が指定する「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
「適正使用」の「使用(服用)しない」等の論点もあります。
優先順位は、「とても高い」です。
コデインリン酸塩は…、
① 咳を抑える成分(鎮咳成分)として、コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩、ノスカピン、チペピジンヒベンズ酸塩がある。
② コデインリン酸塩水和物は、妊娠した女性でも安心して使用できる。
③ コデインリン酸塩水和物は、長期連用や大量摂取しても、薬物依存にはならない。
④ ジヒドロコデインリン酸塩は、妊娠中に摂取された場合、吸収された成分の一部が血液脳関門を通過して胎児へ移行する。
⑤ コデインリン酸塩水和物は胃腸の運動を低下させる作用も示し、副作用として下痢が現れることがある。
…といった感じで出題されます。
先の○×問題の解説です。
①の「咳を抑える成分(鎮咳成分)として、コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩、ノスカピン、チペピジンヒベンズ酸塩がある」ですが、正しい記述です。
定番問題です。
選択肢の言うように、当該コデインリン酸塩は、「鎮咳成分」です。
よって、①は、「○」となります。
②の「コデインリン酸塩水和物は、妊娠した女性でも安心して使用できる。」ですが、誤った記述です。
間違っているのは、「妊娠した女性でも安心して使用できる」のところです。
先の手引きでも見たように…、
「コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩は、妊娠中に摂取された場合、吸収された成分の一部が血液-胎盤関門を通過して胎児へ移行することが知られている。」
「コデインリン酸塩水和物については、動物実験(マウス)で催奇形作用が報告されている。」
…となっています。
コデインリン酸塩水和物が胎児に移行するおそれがあり、動物実験では、催奇形作用が報告されているので、決して、安心して使用できないです。
よって、「×」となります。
③の「コデインリン酸塩水和物は、長期連用や大量摂取しても、薬物依存にはならない。」ですが、誤った記述です。
間違っているのは、「薬物依存にはならない。」のところです。
先の手引きでも見たように…、
「その作用本体であるコデイン、ジヒドロコデインがモルヒネと同じ基本構造を持ち、依存性がある成分であり、麻薬性鎮咳成分とも呼ばれる。」
…となっています。
当該コデインリン酸塩水和物ですが、依存性があります。
よって、「×」となります。
また、「法規」では、「濫用等のおそれのあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品」に該当しています。
この点からも、判断できるかと思います。
④の「ジヒドロコデインリン酸塩は、妊娠中に摂取された場合、吸収された成分の一部が血液脳関門を通過して胎児へ移行する。」ですが、誤った記述です。
間違っているのは、「血液脳関門」のところです。
正しくは、「血液-胎盤関門」です。
こういう出題もあるので、テキストを精読しておきましょう。
よって、「×」となります。
⑤の「コデインリン酸塩水和物は胃腸の運動を低下させる作用も示し、副作用として下痢が現れることがある。」ですが、誤った記述です。
間違っているのは、「下痢」のところです。
正しくは、「便秘」です。
当該コデインリン酸塩水和物の副作用に、「便秘」があります。
当該コデインリン酸塩は、依存性の問題があってそちらばかりに目が行きがちですが、当該「便秘」の副作用を見落としがちなので注意してください。
最近では、副作用は、ほぼほぼ出題されるようになっているので、ガチで押えておきましょう。
よって、「×」となります。
なお、かぜ薬のところの「注記」にも、同様の記述があるので、要チェックです。
その「注記」は、「便秘が現れることがある主な成分:コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩」です。
コデインリン酸塩の「鎮咳去痰薬」でのポイントを、おさらいのためにまとめておきます。
コデイン・ジヒドロコデインがモルヒネと同じ基本構造を持ちます。
長期連用や大量摂取により、倦怠感・虚脱感・多幸感が現れ、薬物依存に繋がる恐れがあります。
内服液剤は、本来の目的以外の意図で服用する不適正な使用がなされることがあります。
成分の一部は、胎児へ移行します。
分娩時の服用の際、新生児に呼吸抑制が現れたという報告があります。
母乳移行により、乳児にモルヒネ中毒が生じたという報告があります。授乳中の女性は使用を避けるか、授乳を避けます。
胃腸の運動を低下させ、副作用として、便秘になることがあります。
「12歳未満の小児等」への使用は、不適当です。
先のポイントと被るものもありますが、「適正使用」用のまとめです。
「コデインリン酸塩」と「ジヒドロコデインリン酸塩」ですが、濫用の恐れがあるなど、要注意の成分です。
「適正使用」でも、注意しておくべきかと思います。
すべての論点を押えておきましょう。
まずは、「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」です。
「授乳中」の方は、「コデインリン酸塩・ジヒドロコデインリン酸塩」を、「使用(服用)しない」となっています。
「理由」は、「コデインで、母乳への移行により、乳児でモルヒネ中毒が生じたとの報告があるため。」です。
キーワードの「モルヒネ中毒」は、ガチ暗記です。これだけで、選択肢を判断できます。
参考:女性系
次に、「運転操作をしないこと」です。
「コデインリン酸塩・ジヒドロコデインリン酸塩」を服用した場合、運転操作をしてはいけないことになっています。
「理由」は、「眠気等」です。
「医薬品」でも定番なので、おさらいしておきましょう。
参考:運転操作しない
次に、「過量服用・長期連用しない」です。
「コデインリン酸塩・ジヒドロコデインリン酸塩」には、「過量服用・長期連用しないこと」という固有の注意があります。
長期連用ダメに加えて、過量服用もダメなのは、「コデインリン酸塩」のみです。
「理由」は、「倦怠感や虚脱感等が現れることがあるため。依存性・習慣性がある成分が配合されており、乱用事例が報告されているため。」です。
キーワードの「倦怠感・虚脱感」や「依存性・習慣性」は、押えておきましょう。
参考:特徴系+その他
「コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩が配合されたかぜ薬、鎮咳去痰薬」ですが、「相談すること」も、よく出るので、押えておきましょう。
それは、「妊婦又は妊娠していると思われる人」です。
「理由」は、「麻薬性鎮咳成分であり、吸収された成分の一部が胎盤関門を通過して胎児へ移行することが知られているため。コデインリン酸塩については、動物実験(マウス)で催奇形性が報告されているため」です。
参考:妊婦等
混乱しそうなので、まとめておきます。
「使用(服用)しない」のは、「授乳中の人」です。
「相談すること」なのは、「妊婦等の人」です。
妊婦等の人は、相談した結果、使用できる場合もあります。
対して、授乳中の人は、「使用(服用)しない」なので、使用を避けるべきです。
「コデインリン酸塩・・・授乳ダメ、妊婦相談」と、整理して憶えましょう。
当該「コデインリン酸塩」ですが、令和5年度の改正により、「濫用等のおそれのあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品」に該当することになりました。
参考:令和5年度 手引き改正
「法規」の論点ですが、念のため、チェックしておきましょう。
平成30年に、「手引き」が改正され、コデインリン酸塩には、以下の文言が追加されています。
一読だけしておいてください。
『コデインリン酸塩水和物またはジヒドロコデインリン酸塩(以下、コデイン類という。)を含む医薬品(以下、本剤と言う。)については、米国等において、12歳未満の小児等への使用を禁忌とする措置が取られたことを踏まえ、平成29年度第3回薬事・食品衛生審議会薬品等安全対策部会安全対策調査会で本剤の安全対策について検討された。その結果、本剤による死亡例の国内報告はなく、日本での呼吸抑制のリスクは欧米と比較して遺伝学的に低いと推定されること等から、国内で直ちに使用を制限する必要性は考えにくい一方、本剤による小児の呼吸抑制発生リスクを可能な限り低減する観点から、一般用医薬品・医療用医薬品とも、予防的な措置として以下を行なうこととされた。
① 速やかに添付文書を改定し、原則、本剤を12歳未満の小児等に使用しないよう注意喚起を行なうこと。
② 1年6ヶ月の程度の経過措置期間を設け、コデイン類を含まない代替製品や、12歳未満の小児を適応外とする製品への切り替えを行なうこと。
③ 切り替え後、12歳未満の小児への使用を禁忌とする使用上の注意の改定を再度実施すること。(一般用医薬品は「してはいけない」に「12歳未満の小児」に追記する使用上の注意の改定を再度実施すること。)』
…詳しくは、「H30改定‐法規以外」を一読ください。
登録販売者の勉強方法等は、「登録販売者の独学」に述べています。独学の概要・注意事項などはこちらで。
次いで、医薬品の成分の暗記が苦手な人へのアドバイスです。
実地が一番頭に入ります。成分・効能が頭に入らない方は、机の前の勉強を止めて、ドラッグストア等で、実際の医薬品を手にしてみてください。
先に挙げた、「【指定第2類医薬品】アネトンせき止め錠 48錠 」などのページを見ながら、テキストと突き合わせるだけでも、記憶に残ります。
テキストの字面だけでは、記憶の残りは悪いので、実物を目で見て触って確かめて、憶えていきましょう。
「鎮咳去痰薬」の他の「麻薬性鎮咳成分」へのリンクです。
使用教材の詳細は「教材レビュー」に述べていますが、読むのが面倒な人は…、
テキストは、初心者向けでオマケ付きの「 らくらく完全攻略!登録販売者試験合格テキスト&問題集 第4版 」で…、
過去問は、掲載問題数が一番多い「 超重要!登録販売者過去問題集 '24年版 (2024年版) 」を使えば支障ありません。
登録販売者のこまごましたことは、ブログに投稿しています。
興味のある方は、「登録販売者の投稿記事 」の「登録販売者:語呂合わせ」や「登録販売者:まとめ」、「登録販売者:憶え方」などをお目汚しください。
そのほか、「登録販売者:医薬品」や「登録販売者:生薬」、「登録販売者:漢方処方製剤」で、ヒマな時間を潰してください。
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