コデインリン酸塩‐登録販売者

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 コデインリン酸塩は、「呼吸器官に作用する薬」の「鎮咳去痰薬」の「麻薬性鎮咳成分」として配合されています。試験のポイントをまとめたり、出題傾向を「○×」形式の過去問で紹介したりしています。通勤・通学時のおさらい用にどうぞ。

傾向と優先順位

 ご存じのように、「コデインリン酸塩」は、「鎮咳去痰薬」の「麻薬性鎮咳成分」として登場します。

 市販薬には、「【指定第2類医薬品】アネトンせき止め錠 48錠 」などがあります。

 出題実績はかなりあります。

 後述するように、要注意の成分なので、試験で問われないことはありません。

 鎮咳去痰薬のコデインリン酸塩とジヒドロコデインリン酸塩は、厚生労働大臣が指定する「濫用の恐れのある医薬品」に指定されています。

 「適正使用」の「使用(服用)しない」等の論点もあります。

 優先順位は「高い」です。

過去問○×問題

 コデインリン酸塩は…、

 ① 咳を抑える成分(鎮咳成分)として、コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩、ノスカピン、チペピジンヒベンズ酸塩がある。

 …といった感じで出題されます。

 ①の正誤はこちらです。

例題解説

 先の○×問題の解説です。

 ①の「咳を抑える成分(鎮咳成分)として、コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩、ノスカピン、チペピジンヒベンズ酸塩がある」ですが、定番の「成分名‐作用」の問題です。

 ごぞんじのように、コデインリン酸塩とジヒドロコデインリン酸塩は、「麻薬性鎮咳成分」です。

 んで、ノスカピン、チペピジンヒベンズ酸塩は、「非麻薬性鎮咳成分」です。

 両方とも「鎮咳成分」です。

 よって、①は、「○」となります。

 なお、「非麻薬性鎮咳成分」には、憶え方があります。ブログの「非麻薬性鎮咳成分‐登録販売者 医薬品の語呂合わせ」を、お目汚しください。

試験ポイント

 コデインリン酸塩の「鎮咳去痰薬」でのポイントを、おさらいのためにまとめておきます。

 コデイン・ジヒドロコデインがモルヒネと同じ基本構造を持ちます。

 長期連用や大量摂取により、倦怠感・虚脱感・多幸感が現れ、薬物依存に繋がる恐れがある。内服液剤は、不適正な使用があります。

 成分の一部は、胎児へ移行します。

 分娩時の服用の際、新生児に呼吸抑制が現れたという報告があります。

 母乳移行により、乳児にモルヒネ中毒が生じたという報告があります。授乳中の女性は使用を避けるか、授乳を避けます。

 胃腸の運動を低下させ、副作用として、便秘になることがあります。

 コデインリン酸塩には、依存性の問題があってそちらばかりに目が行きがちですが、当該「便秘」の副作用を見落としがちなので注意してください。出題実績あります。

 なお、当該便秘ですが、「ジヒドロコデインリン酸塩」で、「関西広域連合 R2 23問:かぜ薬・解熱鎮痛薬の配合成分」の選択肢4に、出題されています。

「適正使用」対策

 先のポイントと被るものもありますが、「適正使用」用のまとめです。

 「コデインリン酸塩・ジヒドロコデインリン酸塩」ですが、濫用の恐れがあるなど、要注意の成分です。

 「適正使用」でも、注意しておくべきかと思います。

 すべての論点を押えておきましょう。

授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること

 まずは、「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」です。

 「授乳中」の方は、「コデインリン酸塩・ジヒドロコデインリン酸塩」を、「使用(服用)しない」となっています。

 「理由」は、「コデインで、母乳への移行により、乳児でモルヒネ中毒が生じたとの報告があるため。」です。

 キーワードの「モルヒネ中毒」は、ガチ暗記です。これだけで、選択肢を判断できます。

 参考:女性系

運転操作をしないこと

 次に、「運転操作をしないこと」です。

 「コデインリン酸塩・ジヒドロコデインリン酸塩」を服用した場合、運転操作をしてはいけないことになっています。

 「理由」は、「眠気等」です。

 「医薬品」でも定番なので、おさらいしておきましょう。

 参考:運転操作しない

過量服用・長期連用しないこと

 次に、「」です。

 「コデインリン酸塩・ジヒドロコデインリン酸塩」には、「過量服用・長期連用しないこと」という固有の注意があります。

 長期連用ダメに加えて、過量服用もダメなのは、「コデインリン酸塩」のみです。

 「理由」は、「倦怠感や虚脱感等が現れることがあるため。依存性・習慣性がある成分が配合されており、乱用事例が報告されているため。」です。

 キーワードの「倦怠感・虚脱感」や「依存性・習慣性」は、押えておきましょう。

 参考:特徴系+その他

相談すること

 「コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩が配合されたかぜ薬、鎮咳去痰薬」ですが、「相談すること」も、よく出るので、押えておきましょう。

 それは、「妊婦又は妊娠していると思われる人」です。

 「理由」は、「麻薬性鎮咳成分であり、吸収された成分の一部が胎盤関門を通過して胎児へ移行することが知られているため。コデインリン酸塩については、動物実験(マウス)で催奇形性が報告されているため」です。

 「医薬品」でも定番の論点なので、押えておきましょう。

 参考:妊婦等

適正使用補足

 混乱しそうなので、まとめておきます。

 「使用(服用)しない」のは、「授乳中の人」です。

 「相談すること」なのは、「妊婦等の人」です。

 妊婦等の人は、相談した結果、使用できる場合もあります。

 対して、授乳中の人は、「使用(服用)しない」なので、使用を避けるべきです。

 「コデインリン酸塩・・・授乳ダメ、妊婦相談」と、整理して憶えましょう。

補足:令和5年度改正‐濫用おそれ

 当該「コデインリン酸塩」ですが、令和5年度の改正により、「濫用等のおそれのあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品」に該当することになりました。

 参考:令和5年度 手引き改正

 「法規」の論点ですが、念のため、チェックしておきましょう。

補足:H30の改正による追加事項

 平成30年に、「手引き」が改正され、コデインリン酸塩には、以下の文言が追加されています。

 一読だけしておいてください。

 『コデインリン酸塩水和物またはジヒドロコデインリン酸塩(以下、コデイン類という。)を含む医薬品(以下、本剤と言う。)については、米国等において、12歳未満の小児等への使用を禁忌とする措置が取られたことを踏まえ、平成29年度第3回薬事・食品衛生審議会薬品等安全対策部会安全対策調査会で本剤の安全対策について検討された。その結果、本剤による死亡例の国内報告はなく、日本での呼吸抑制のリスクは欧米と比較して遺伝学的に低いと推定されること等から、国内で直ちに使用を制限する必要性は考えにくい一方、本剤による小児の呼吸抑制発生リスクを可能な限り低減する観点から、一般用医薬品・医療用医薬品とも、予防的な措置として以下を行なうこととされた。

 ① 速やかに添付文書を改定し、原則、本剤を12歳未満の小児等に使用しないよう注意喚起を行なうこと。

 ② 1年6ヶ月の程度の経過措置期間を設け、コデイン類を含まない代替製品や、12歳未満の小児を適応外とする製品への切り替えを行なうこと。

 ③ 切り替え後、12歳未満の小児への使用を禁忌とする使用上の注意の改定を再度実施すること。(一般用医薬品は「してはいけない」に「12歳未満の小児」に追記する使用上の注意の改定を再度実施すること。)』

 …詳しくは、「H30改定‐法規以外」を一読ください。

コツ的なこと

 登録販売者の勉強方法等は、「登録販売者の独学」に述べています。独学の概要・注意事項などはこちらで。

 次いで、医薬品の成分の暗記が苦手な人へのアドバイスです。

 実地が一番頭に入ります。成分・効能が頭に入らない方は、机の前の勉強を止めて、ドラッグストア等で、実際の医薬品を手にしてみてください。

 先に挙げた、「【指定第2類医薬品】アネトンせき止め錠 48錠 」などのページを見ながら、テキストと突き合わせるだけでも、記憶に残ります。

 テキストの字面だけでは、記憶の残りは悪いので、実物を目で見て触って確かめて、憶えていきましょう。


他のページ

 「鎮咳去痰薬」の他の「麻薬性鎮咳成分」へのリンクです。

 コデインリン酸塩

 ジヒドロコデインリン酸塩

独学向け教材

 使用教材の詳細は「教材レビュー」に述べていますが、読むのが面倒な人は…、

 テキストは、初心者向けでオマケ付きの「 らくらく完全攻略!登録販売者試験合格テキスト&問題集 第4版 」で…、

 過去問は、掲載問題数が一番多い「 超重要!登録販売者過去問題集 '23年版 (2023年版) 」を使えば支障ありません。

こまごましたもの

 登録販売者のこまごましたことは、ブログに投稿しています。

 興味のある方は、「登録販売者の投稿記事 」の「登録販売者:語呂合わせ」や「登録販売者:まとめ」、「登録販売者:憶え方」などをお目汚しください。

 そのほか、「登録販売者:医薬品」や「登録販売者:生薬」、「登録販売者:漢方処方製剤」で、ヒマな時間を潰してください。

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