ジヒドロコデインリン酸塩‐登録販売者

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 ジヒドロコデインリン酸塩は、「呼吸器官に作用する薬」の「鎮咳去痰薬」の「麻薬性鎮咳成分」として配合されています。試験のポイントをまとめたり、出題傾向を「○×」形式の過去問で紹介したりしています。通勤・通学時のおさらい用にどうぞ。

インデックス

  1. おさらい‐手引き抜粋
  2. 傾向と対策、優先順位
  3. 過去問○×問題
  4. 解説
  5. 試験ポイント
  6. 他のページ

おさらい‐手引き抜粋

 復習用に、手引きを抜粋すると…、

 「中枢神経系に作用して咳を抑える成分(鎮咳成分)

 「咳を抑えることを目的とする成分のうち、延髄の咳嗽中枢に作用するものとして、」

 「コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩、ノスカピン、ノスカピン塩酸塩水和物、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、チペピジンヒベンズ酸塩、ジメモルファンリン酸塩、クロペラスチン塩酸塩、クロペラスチンフェンジゾ酸塩等がある。」

 「これらのうちコデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩については、」

 「その作用本体であるコデイン、ジヒドロコデインがモルヒネと同じ基本構造を持ち、依存性がある成分であり、麻薬性鎮咳成分とも呼ばれる。」

 「長期連用や大量摂取によって倦怠感や虚脱感、多幸感等が現れることがあり、薬物依存につながるおそれがある。」

 「特に内服液剤では、その製剤的な特徴から、本来の目的以外の意図で服用する不適正な使用がなされることがある。」

 「コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩は、妊娠中に摂取された場合、吸収された成分の一部が血液-胎盤関門を通過して胎児へ移行することが知られている(※1)。」

 「また、分娩時服用により新生児に呼吸抑制が現れたとの報告がある。」

 「また、母乳移行により乳児でモルヒネ中毒が生じたとの報告があり、授乳中の人は服用しないか、授乳を避ける必要がある。」

 「そのほか、コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩は胃腸の運動を低下させる作用も示し、副作用として便秘が現れることがある。」

 「また、コデインリン酸塩水和物又はジヒドロコデインリン酸塩を含む医薬品については、米国等において12歳未満の小児等 への使用を禁忌とする措置がとられたことを踏まえ、」

 「平成29年度第3回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会で本剤の安全対策について検討された。その結果、本剤による死亡例の国内報告はなく、日本での呼吸抑制のリスクは欧米と比較して遺伝学的に低いと推定されること等から、国内で直ちに使用を制限する必要性は考えにくい一方、本剤による小児の呼吸抑制発生リスクを可能な限り低減する観点から、一般用医薬品・医療用医薬品とも、予防的な措置として以下を行うこととされた(※2)。」

 「① 速やかに添付文書を改訂し、原則、本剤を12歳未満の小児等に使用しないよう注意喚起を行うこと。」

 「② 1年6ヶ月程度の経過措置期間を設け、コデイン類を含まない代替製品や、12歳未満の小児を適応外とする製品への切換えを行うこと。」

 「③ 切換え後、12歳未満の小児への使用を禁忌とする使用上の注意の改訂を再度実施すること(一般用医薬品は「してはいけないこと」に「12歳未満の小児」に追記する使用上の注意の改訂を再度実施すること)(※3)」

 …と、相なります。

注記:※1

 『コデインリン酸塩水和物については、動物実験(マウス)で催奇形作用が報告されている。』

 「コデインリン酸塩水和物」での話です。当該ジヒドロコデインリン酸塩ではないです。(まあ、ここを突っ込んでくる出題は、「ない」と思います。)

注記:※2

 『コデインリン酸塩水和物又はジヒドロコデインリン酸塩を含む医薬品の「使用上の注意」改訂の周知について(依頼)(略)』

 押さえなくていいです。問題にしようがないです。

注記:※3

 『コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩又はトラマドール塩酸塩を含む医薬品の「使用上の注意」改訂の周知について(依頼)(略)により禁忌とすることとされた。』

 一読だけしておけばいいでしょう。

傾向と対策、優先順位

 ご存じのように、「ジヒドロコデインリン酸塩」は、「鎮咳去痰薬」の「麻薬性鎮咳成分」として登場します。

 市販薬には、「【指定第2類医薬品】新トニン咳止め液 60mL 」などがあります。

 出題実績は、そこそこあります。「関西広域連合 R4 第42問」や「秋田県 R3 第28問」といった出題例があります。

 依存性のある成分なので、よく出題されます。

 優先順位は、「とても高い」です。

 ところで、鎮咳去痰薬のコデインリン酸塩とジヒドロコデインリン酸塩は、厚生労働大臣が指定する「濫用の恐れのある医薬品」に指定されています。

 また、当該成分は、「適正使用」の「医薬品的な問題」にも、よくよく問われます。

 「使用(服用)しない」等の論点については、「鎮咳去痰薬:麻薬性鎮咳成分‐コデインリン酸塩」の方でまとめているので、そちらを参考にしてください。

過去問○×問題

 ジヒドロコデインリン酸塩は…、

 ① ジヒドロコデインリン酸塩 ------------------ 痰の切れを良くする。

 ② ジヒドロコデインリン酸塩の入った内服液剤では、その製剤的な特徴から、本来の目的以外の意図で服用する不適正な使用がなされることがある。

 ③ ジヒドロコデインリン酸塩は、分娩時服用により新生児に呼吸促進が現れたとの報告がある。

 ④ ヒドロコデインリン酸塩の母乳移行により乳児で食中毒が生じたとの報告があり、授乳中の人は服用しないか、授乳を避ける必要がある。

 …といった感じで出題されます。

 ①の正誤はこちらです。

 ②の正誤はこちらです。

 ③の正誤はこちらです。

 ④の正誤はこちらです。

解説①

 先の○×問題の解説です。

 ①の「ジヒドロコデインリン酸塩 ------------------ 痰の切れを良くする」ですが、誤った記述です。

 基本問題です。

 当該ジヒドロコデインリン酸塩は、「麻薬性鎮咳成分」です。

 問題文の「痰の切れを良くする」は、「去痰成分」で、「グアイフェネシン」とかが該当します。

 よって、①は、「×」となります。

解説②

 ②の「ジヒドロコデインリン酸塩の入った内服液剤では、その製剤的な特徴から、本来の目的以外の意図で服用する不適正な使用がなされることがある。」ですが、正しい記述です。

 そのとおりの記述です。

 先の手引きでも見たように…、

 「特に内服液剤では、その製剤的な特徴から、本来の目的以外の意図で服用する不適正な使用がなされることがある。」

 …となっています。

 こういう記述も、選択肢の1つに出そうなので、押えておきましょう。

 よって、「○」となります。

解説③

 ③の「ジヒドロコデインリン酸塩は、分娩時服用により新生児に呼吸促進が現れたとの報告がある。」ですが、誤った記述です。

 間違っているのは、「呼吸“促進”」のところです。

 正しくは、「呼吸“抑制”」です。

 登録販売者試験によくある「逆」問題です。

 テキストを精読しておきましょう。

 よって、「×」となります。

解説④

 ④の「ジヒドロコデインリン酸塩の母乳移行により乳児で食中毒が生じたとの報告があり、授乳中の人は服用しないか、授乳を避ける必要がある。」ですが、誤った記述です。

 間違っているのは、「食中毒」のところです。

 正しくは、「モルヒネ中毒」です。

 こういう、つまらない“言い換え”問題も、登録販売者試験の定番です。

 キーワードの「モルヒネ中毒」は、当該ジヒドロコデインリン酸塩とコデインリン酸塩の判別のキーとなるので、押えておきましょう。

 よって、「×」となります。

試験ポイント

 ジヒドロコデインリン酸塩の「鎮咳去痰薬」でのポイントを、おさらいのためにまとめておきます。

 コデイン・ジヒドロコデインがモルヒネと同じ基本構造を持ちます。

 長期連用や大量摂取により、倦怠感・虚脱感・多幸感が現れ、薬物依存に繋がる恐れがあります。

 内服液剤は、本来の目的以外の意図で服用する不適正な使用がなされることがあります。

 成分の一部は、胎児へ移行します。

 分娩時の服用の際、新生児に呼吸抑制が現れたという報告があります。

 母乳移行により、乳児にモルヒネ中毒が生じたという報告があります。授乳中の女性は使用を避けるか、授乳を避けます

 胃腸の運動を低下させ、副作用として、便秘になることがあります。

 ジヒドロコデインリン酸塩には、薬物依存の危険性があるので、そちらばかりに目が行きがちですが、当該便秘の副作用を見落としがちなので注意してください。

 なお、当該便秘ですが、「関西広域連合 R2 23問:かぜ薬・解熱鎮痛薬の配合成分」の選択肢4に、ズバリ出題されています。

 「12歳未満の小児等」への使用は、不適当です。

 「適正使用」の論点については、先述したように、「コデインリン酸塩」の方にまとめています。

補足:令和5年度改正‐濫用おそれ

 当該「ジヒドロコデインリン酸塩」ですが、令和5年度の改正により、「濫用等のおそれのあるものとして厚生労働大臣が指定する医薬品」に該当することになりました。

 参考:令和5年度 手引き改正

 「法規」の論点ですが、念のため、チェックしておきましょう。

H30の改正による追加事項

 平成30年に、「手引き」が改正され、ジヒドロコデインリン酸塩には、以下の文言が追加されています。

 『コデインリン酸塩水和物またはジヒドロコデインリン酸塩(以下、コデイン類という。)を含む医薬品(以下、本剤と言う。)については、米国等において、12歳未満の小児等への使用を禁忌とする措置が取られたことを踏まえ、平成29年度第3回薬事・食品衛生審議会薬品等安全対策部会安全対策調査会で本剤の安全対策について検討された。その結果、本剤による死亡例の国内報告はなく、日本での呼吸抑制のリスクは欧米と比較して遺伝学的に低いと推定されること等から、国内で直ちに使用を制限する必要性は考えにくい一方、本剤による小児の呼吸抑制発生リスクを可能な限り低減する観点から、一般用医薬品・医療用医薬品とも、予防的な措置として以下を行なうこととされた。

 ① 速やかに添付文書を改定し、原則、本剤を12歳未満の小児等に使用しないよう注意喚起を行なうこと。

 ② 1年6ヶ月の程度の経過措置期間を設け、コデイン類を含まない代替製品や、12歳未満の小児を適応外とする製品への切り替えを行なうこと。

 ③ 切り替え後、12歳未満の小児への使用を禁忌とする使用上の注意の改定を再度実施すること。(一般用医薬品は「してはいけない」に「12歳未満の小児」に追記する使用上の注意の改定を再度実施すること。)』

 …詳しくは、「H30改定‐法規以外」を一読ください。

コツ的なこと

 登録販売者の勉強方法等は、「登録販売者の独学」に述べています。独学の概要・注意事項などはこちらで。

 次いで、医薬品の成分の暗記が苦手な人へのアドバイスです。

 実地が一番頭に入ります。成分・効能が頭に入らない方は、机の前の勉強を止めて、ドラッグストア等で、実際の医薬品を手にしてみてください。

 先に挙げた、「【指定第2類医薬品】新トニン咳止め液 60mL 」などのページを見ながら、テキストと突き合わせるだけでも、記憶に残ります。

 テキストの字面だけでは、記憶の残りは悪いので、実物を目で見て触って確かめて、憶えていきましょう。


他のページ

 「鎮咳去痰薬」の他の「麻薬性鎮咳成分」へのリンクです。

 コデインリン酸塩

 ジヒドロコデインリン酸塩

独学向け教材

 使用教材の詳細は「教材レビュー」に述べていますが、読むのが面倒な人は…、

 テキストは、初心者向けでオマケ付きの「 らくらく完全攻略!登録販売者試験合格テキスト&問題集 第4版 」で…、

 過去問は、掲載問題数が一番多い「 超重要!登録販売者過去問題集 '24年版 (2024年版) 」を使えば支障ありません。

こまごましたもの

 登録販売者のこまごましたことは、ブログに投稿しています。

 興味のある方は、「登録販売者の投稿記事 」の「登録販売者:語呂合わせ」や「登録販売者:まとめ」、「登録販売者:憶え方」などをお目汚しください。

 そのほか、「登録販売者:医薬品」や「登録販売者:生薬」、「登録販売者:漢方処方製剤」で、ヒマな時間を潰してください。

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