簿記2級・商業簿記第2問‐個別論点・伝票問題の対策

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 簿記2級の商業簿記の第2問の独学に必要なことを最小限にまとめています。伝票問題は「慣れ」。仕訳も集計もカンタンだが、記入・記帳などの実務要素まで見ておく。個別論点は「仕訳」に尽きる。仕訳したところを重点に記入・記載して、わからないところは後回しか捨てる。理論穴埋め対策と、実務要素へ備えるため、テキストの読み込みは必須。

ひとくち基本方針

 最近の第2問では、個別論点の出題が多くなっています。有価証券や固定資産の一連の取引や株主資本等変動計算書、銀行勘定調整表が出題されました。

 今後も、難易度の点で、個別論点の出題が見込まれますが、しかし、第2問では、過去に猛威を振るった「伝票問題」が出題されることも考えられ(後述)、変則的な出題傾向となっています。

 また、まことしやかに語られている「理論穴埋め」が出るとしたら、第2問で登場する公算が大です。

 このように、対策を立てにくい第2問ですが、おおむね「仕訳」を切ることさえできれば、ある程度、点数を確保できる問題となっています。

 言ってしまえば、目新しい問題が出るかもしれないが、配点や採点の基準は“相変わらず”、仕訳なり集計なり実務事項なりに置かれている、ってな塩梅です。

 伝票でも個別論点でも、第2問の「仕訳」は、基礎・基本的なものが多いので、「点の取れる問題」が多いです。

 しかし、3匹の子ぶたのオオカミ以上に卑劣な出題者は、仕訳すら切れない、新論点や新手の問題を、“受験生への恫喝目的”で、採択する可能性も捨て切れません。

 試験が始まったら、第2問をまずはチェックです。第2問の出題で、試験全体の厄介さが計れるはずです。

 以下、出題形式ごとに第2問対策を見ていきます。まずは、一番“おいしい”伝票からです。

伝票+実務

 伝票問題は、最近は出題されていませんが、「実務上、伝票で経理をしている」ところはまだまだあるので、簿記試験が「実務重視」をうたう以上、依然として出題可能性の高い論点となっています。

 出題者は、フランダースの犬の脇役のように冷酷なので、「忘れたころ」に伝票問題を出すはずです。

 伝票問題は、「仕訳日計表の作成」「総勘定元帳への転記」「得意先元帳・仕入元帳への転記」、「伝票の推定」などです。

 現在は「3伝票制」なので、入金伝票・出金伝票・振替伝票の3つの『見方』を、しっかり養っておけば、先の問題形式もそつなく解答できます。

 「伝票の推定」が少しアレですが、まあ、決して難しくありません。難しく感じるのであれば、練習量が不足しているだけです。

 端的に言うと、当該伝票問題の仕訳は複雑ではないし、集計も苦労するものではないので、問題演習を通して、伝票という取引様式と仕訳と集計に「慣れ」さえすれば、論点の半分は終わりです。

 で、仕訳と集計に慣れたら、伝票問題の難関「実務」に駒を進めます。

難所は、実務

 はっきり言いますが、伝票問題の仕訳と集計は、「かんたん」です。

 元々の仕訳が複雑ではなく、また、集計も「三伝票」で多岐にわたるものではないので、手を焼かないのです。

 仕訳と集計とは、「慣れ」さえすれば完璧なはずです。

 しかし、伝票問題では、「実務」的なことが求められるので、頭が痛い問題となっています。

 ご存知のように、現状の簿記2級は「実務重視」路線に舵を切っているため、当該第2問においては、「元帳への転記や記入」にも、注意しなくてはいけない、という次第です。

 明け透けに言うと、「摘要欄」「仕丁欄」「元帳欄」「借/貸」、そして、「日付」、そのほか、元帳や特殊台帳の「締切」や「繰越」、帳面によっては「開始仕訳」や「再振替仕訳」などの記載にも、配点がなされる可能性が高い、という塩梅です。

 第2問では、「ちゃんと帳簿付け(記帳)ができるかどうか?」も試されているので、テキストの読み込んで、「実際の経理職員になったつもり」で、帳簿の要領を押さえておかねばなりません。

 第2問の伝票問題は、仕訳や集計の「数字以外の部分」にも「採点」があることを、頭にきっちり入れておきます。

 まあ、帳簿の付け方や構成などは、基本カンタンで、「わかってしまえば」、ぜんぜんどうということはないです。

 多くのテキストでは、実務重視の傾向を受けて、帳簿付け方等々に、ページを割いているはずです。そこを、じっくり読めばことは足ります。

 しかしながら、簡易廉価版のテキストでは載ってない場合もあるので、簿記3級のテキストを引っ張りだしてくるか、カンタンな経理入門の本をざっと読むなどしておきます。ゆめ、実務要素をおろそかにしてはいけません。

個別論点

 第2問の個別論点では、固定資産や有価証券の一連の取引、株主資本等変動計算書、銀行勘定調整表が出題されています。

 ポイントは、「仕訳」です。

 個別論点では、まず「仕訳」が正確に切れるかどうかが、試されています。

 ときおり、ぶっ飛んだ処理が出題されますが、それでも、基礎・基本的な仕訳が切れておれば、満点は無理でも、部分点は確保できる公算が大です。

 言うなれば、「伝票問題」がきちんと仕訳を切れれば点が取れるのだから、“試験の公平さ”の点において、個別論点でも、正確な仕訳が切れたら点が取れる、という塩梅です。

 先に挙げた「株主資本等変動計算書」の問題も、仕訳問題にてド定番の仕訳を切って、たとえば、増資した→商法上の最低額を資本金に云々を、表に記述するだけのものでした。

 焦って適当な仕訳を切ることこそ、誤答の大原因です。まずは、「仕訳」を正確に切る、です。

記入・記帳は落ち着いて

 で、残る作業は、「記入・記帳」ですが、見慣れない表なり帳簿に記入していくので、気後れすることでしょう。

 しかし、先も述べたように、帳簿関係なら、「摘要欄」「仕丁欄」「元帳欄」「借/貸」、そして、「日付」などに配点がなされるはずです。それらはどれも同じ意味合いです。

 帳簿によっては、前期繰越・次期繰越等、締め切り・開始等の記入が求められる場合もありますが、伝票で帳簿関係の勉強を丁寧にこなしていれば、穏当に点は確保できるはずです。

 怖いのは「動揺」です。

 最も致命的なことは、冷静に対処すれば「できる問題」や「解ける問題」を落とすこと。

 テキストや問題集、過去問でやったことを思い出しながら、「できる」と「解ける」で部分点を確保し、で、残りは後回し、です。

 (よく知らないんだから、完答なんて無理に決まってんじゃん)的な、森三中・大島さん風の「泣き顔・ひらきなおり」が大切です。

 さて、最後に、銀行勘定調整表ですが、第2問のみならず第3問でもお馴染みの論点なので、テキスト・問題集でしっかり勉強しておきます。

 「銀行勘定調整表」が苦手な人は、「簿記2級‐銀行勘定調整表:ブログ記事」の一連の投稿記事を参考にしてみてください。

新論点・新問題が出たら

 第2問では、実験的な問題が出題されることが考えられ、今後も受験生を絶望させる新手の問題が出ることが予想されます。

 まず、以下の事実を押さえておいてください。

 『テキストや問題集、過去問にて、未出題の論点が出たら、ほとんどの受験生は解けない』と。

 見慣れない論点が、メイン出題として第2問に鎮座しているのを見て、パニックに陥っているのは、ほぼすべての受験生です。

 怖いのは「動揺」です。

 先述したように、浮き足立って「取れる問題」と「できる問題」まで失うことが致命的なのです。

 これまでにない論点が出題された場合は、「これは、部分点ねらいですなー。早速取れそうなところを調べましょう。」と、脳内・巨大不明生物特設災害対策本部・事務局長(長谷川博己似)とお話してきてください。

 で、未知の個別論点が出題されたら、こうすると良いでしょう。

 まず、「第2問そのものは、仕訳」であることを思い出してください。

 新問題でも、おそらくは、当該論点の頻出・定番仕訳が問われるはずです。

 ですから、まずは、落ち着いて、当該論点の正確な仕訳を切ることに尽力します。

 残るは、表なり帳簿なりへの記入・記帳ですが、ポイントは…、

 わかるところから埋める。(仕訳を切ったところから埋める)。

 わからないもの・不明なものは後回し。

 …です。

 見なれない台帳なり帳面なり表に記入していくので、かなりのプレッシャーがあるはずです。

 しかし、落ち着きましょう。怖いのは、繰り返しますが「動揺」です。

 第2問は、その出題意図からして、「正確に仕訳が切れて、それを、ちゃんと記入できていれば得点」なので、帳面なり表なりが完成してなくても、得点できるはずなのです。

 よくよく、表なり帳簿を眺めていれば、「何をどこに書けばいいか」は見当がつきます。で、「できるところ・わかるところから記入」していけばいい、という次第です。

 昨今の簿記2級は、簿記1級や税理士試験同様に、「完全解答ができない」試験に変わりつつあります。

 第2問でも、「解けなくても仕方がない」出題を、否定できません。

 ですから、まずは「仕訳を切れた」ものを、どこに書けばいいかを優先して探して記入し、で、どこに書けばいいかわからない、何を埋めたらよいか不明なところを“ちょっとだけ考えて”、いけそうならそのまま解答するが、???なら、深追いせず、他の問題に駒を進める、といった手合いです。

 で、最後の最後の余った時間に、空白について、おいおい考える、くらいの処置で上々であるかと思われます。

 簿記2級は、7割で合格です。3割は間違ってもいいので、「わからない」があっても大丈夫です。

 ダメなのは、拘泥してしまうこと。他の問題でカバーすればいいので、わからないところは捨てます。知らない以上、解答精度には、“絶対に”限界があります。

 わたしなら、第2問の不明なところは捨てて、第3問の貸倒引当金の検算に時間を割くでしょう。

理論穴埋め対策

 出題可能性がまことしやかに語られている「理論穴埋め」ですが、まあ、出るでしょう。

 簿記1級と3級で出題実績がありますから、2級で顔を出しても全く不思議ではありません。

 かつて、簿記2級は、パターン学習と「足し算と掛け算」で合格できたため、簿記や経理、会計の基本的な用語が全く欠落した合格者が多数、輩出されたのです。

 「B/S?入ってますよ」とか、「P/L?なんすか?花火?」とか、「T/B?TBFアベンジャーのことですか?」ってな塩梅で、(2級もっとるゆーけど、あいつ、何も知らんがや)ってな批判があったのです。

 

 こうした背景があるので、簿記や経理、会計に関する基礎的な語句や用語を、知っているかどうかを試す、という次第です。

 対策としては、「テキストを読み込む」「語句や用語を流し読みしない」です。

 長年、簿記2級では、テキストが軽視されてきましたが、今後は、テキストを流し読みせず、記述にしっかりと目を通しておく必要があります。

 なお、杞憂かもしれませんが、「理論穴埋め」が出題された際は、まず、「語群選択」かと思います。(以下の語群より選び、記号を解答用紙に書け的な問題。)

 が、出題者は、白雪姫の継母よりも悪質なので、「漢字で書かせる」ことも考えられるのです。漢字のあやふやな語句・用語は、丁寧にケアしておきましょう。

 転ばぬ先の杖です。知っているのに「書けない」は、無念極まれりです。

第2問の伝票・個別論点まとめ

 第2問で伝票問題が出題されたらラッキーです。

 伝票問題は、テキストや問題集、過去問できっちり問題演習をしていれば、仕訳も集計も記帳も、問題はないはずです。

 注意すべきは、実務的要素への採点ですが、これも、意識して問題演習をしていれば、大丈夫なはずです。

 第2問で厄介なのは、個別論点の問題で、とりわけウザイのが、出題実績のない「新」問題です。

 「新」問題の試験に当たった場合は、深呼吸を1つして、「第2問はまず仕訳」であることを思い出し、当該論点の定番の仕訳を正確に切ります。

 で、「完全解答」をあきらめて、できるところだけ、解答していきます。残る不明なところ・わからないところは、即、「後回し」です。試験問題は、全部で『5問』あることを忘れてはいけません。

 「新」問題では、部分点を確保することを第1に考えます。動揺を抑えて、落ち着いて解答したら、他の問題に活路を見出しましょう。第2問以外で、難易度調整があることも否定できません。

 最後に、「テキスト」です。理論穴埋めの出題も考えられるし、実務的なことが問われるので、テキストは斜め読みせず、しっかりと目を通しておきます。

 なお、使用教材の詳細は、「教材レビュー」で述べていますが、読むのがメンドクサイ人は…、

 テキストは「合格テキスト 日商簿記2級 商業簿記」を、問題集は「合格トレーニング 日商簿記2級 商業簿記」を、過去問は「合格するための過去問題集 日商簿記2級」にしておけば支障ないです。

簿記2級のこまごましたもの

 簿記2級に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。興味のある方は、「簿記2級:ブログ記事」をばご参考ください。

 そのほか、「簿記のコツ-それは計算機」や「計算機打ち方例」なども役に立つかと思います。

 さらに、「検算のコツ」も知っておくと、磐石でしょう。

 また、簿記2級の求人数等を、「簿記2級独学資格ガイド」に挙げていますので、ご高覧をば。

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